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【中山記念】開幕週で先行有利の馬場 高配当の使者は「もう1頭の4歳馬」

中山記念4角通過順位別成績 インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

開幕週で前有利

2月28日(日)に中山競馬場で行われる中山記念(GⅡ・芝1800m)。有力馬が集まる春先の名物重賞に15頭が顔をそろえた。例年ならここを春始動戦と位置づけた有力馬が多数参戦してくるところだが今回はGⅠ馬の出走はなく、昨年までとはレースの性格が大きく異なっている点に注意する必要があるだろう。

下馬評では今年の中山金杯を制覇したヒシイグアスや昨年のラジオNIKKEI賞、セントライト記念を連勝した4歳馬バビット、鞍上ルメール騎手のクラージュゲリエが人気の中心と目されているが、真に狙うべきは果たしてどの馬なのか。また、穴馬の台頭はあるのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、過去10年のレース傾向を分析する。

中山記念・過去10年ⒸSPAIA


近年は有力馬が集まりやすいこともあって手頃な頭数に収まっており、ペースもミドルからスローの淡々とした流れに収まっていることが多い。一方で開幕週という条件が影響してか、好時計が出やすいのも大きな特徴だ。86年以降のこのコースで1分46秒を切ったのは5レースのみだが、そのうち2レースは16年と19年のこのレースで記録されている。良馬場なら高速決着への適性が重要になってきそうだ。

中山芝コースはもともと後方待機勢には厳しい条件だが、このレースに関しても8年連続で4角3~4番手の好位で運んだ馬が勝利を挙げるなど、前が圧倒的に有利。開幕週の馬場を生かしてイン前で運べそうな馬を狙い撃ちしたいところだ。

外枠は嫌わぬが吉

過去5年の中山芝1800m・枠順×脚質ⒸSPAIA


続いて過去5年の枠番別成績と脚質をチェックしよう。コーナーまでの距離が比較的に短いこともあり、ロスなく立ち回れる内枠が有利のようにも思われるが、データ上では比較的に真ん中から外目の枠が有利。特に7~8枠から4角先頭の馬は複勝率50%超を記録しており、外枠先行勢の活躍が目立っている。

このような傾向は15頭以上の多頭数のレースに限った場合でも同様に見られたが、さらに脚質を問わず複回収率で比較したところ、1~2枠が44%、3~6枠が69%に対して7~8枠は90%を記録していた。「多頭数=外枠不利」という思い込みのせいか、外枠の馬がかえって過小評価されているということかもしれない。馬券戦略としては、先行できる馬は外枠でも嫌わず狙いたいところだ。

成長に期待して

これらを踏まえて、本命にはパンサラッサを推奨したい。近走は前目で運ぶも、ゴールまで粘り切れずというレースが続いている。前走の関門橋Sでもゴール寸前で勝ち馬に捉えられて2着に終わったが、開催最終週で外差しが利きやすい馬場状態、しかも先行勢が早々に退く展開でよく粘ったと捉えるべきだろう。

2着に好走した昨夏のラジオNIKKEI賞以来の芝1800m戦ということで、距離短縮もプラスに働きそう。開幕週の馬場なら粘りこむ余地は十分だ。

対抗にバビット。2走前の菊花賞、前走の有馬記念と結果こそ出なかったが、やはり距離が長かったという印象でそこまで悲観する必要はなさそう。1800m戦ではラジオNIKKEI賞を勝利しており、開幕週の馬場を活かせれば持ち味の粘りが発揮できる。

3番手にヒシイグアス。堀厩舎らしく1800~2000mに条件を絞って非常に安定感のある競馬を続けており、ここでも上位に評価したい。ただし開幕週の1800mという条件はこの馬には少し忙しいレースになるという懸念もあり、あまり過信はできない。

4番手にウインイクシード。中山金杯では11番人気と低評価だったが小回り巧者ぶりを発揮して3着と好走。やや展開に恵まれた感はあるが、上位2頭の斤量がそれぞれ54kg、53kgに対して自身は56kgだったのを思えばまずまず強い競馬をしたと言えるだろう。今回はGⅡだが、メンバーレベルが前走から大きく変わった感じはなく、前走以上の着順も見込めると考えたい。

その他では今回が半年間の休み明け初戦となるトーセンスーリヤは、昨年の宝塚記念で果敢に逃げを打つなど前に行けば怖い一頭。日経新春杯3着のクラージュゲリエは、ルメール騎手に乗り替わりで人気を集めそうだが、近走の内容的にはもう少し長い距離が向きそうな印象。そして最後に、休み明け初戦のAJCCは不良馬場と出遅れで力を出せなかったサンアップルトンまで押さえておく。

▽中山記念予想▽
◎パンサラッサ
○バビット
▲ヒシイグアス
△ウインイクシード
×トーセンスーリヤ
×クラージュゲリエ
×サンアップルトン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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