スプリント色の強いレース 前走マイル組は大穴の激走あり
2月28日に阪神競馬場では阪急杯(GⅢ・芝1400m)が行われる。マイルGⅠ2勝のインディチャンプ、一昨年の2歳女王レシステンシア、前走で久々の勝利を飾ったダノンファンタジーが3強を形成している。これらの馬たちに付け入る隙はあるのか、データを見ながら検証する。

過去10年の前走の距離別成績を調べると、1200mと1600mの中間に当たる距離のため、スプリンターとマイラー両方の分野から出走数が多く、2000m以上の距離からの出走はなかった。
前走1400m組が【4-4-3-33】、1200m組が【4-3-2-52】と勝ち馬を4頭ずつ出している。一方、前走1600m組は【2-3-5-47】ながら、単勝回収率は101%でトップだった。しかし、勝った2頭はどちらも単勝オッズ30倍前後の穴馬の差し馬で、その後2頭とも馬券圏内に好走することなく引退しており、フロック気味の激走だった。
また前走1600m組の3番人気以内の馬に絞っても【0-2-3-7】と不調。前走1600m組を狙うのであれば、人気馬よりは差し脚質の穴馬が良いかもしれない。
阪神Cで掲示板入りした馬は素直に買い

次に過去10年の前走レース別成績を調べたところ、前走1400mを使った馬で馬券に入った馬のほとんどは阪神Cからであり、【3-4-2-19】という成績だった。また前走、阪神カップ組から連対した馬について精査してみると、2014年8番人気2着のサンカルロ以外は全て4番人気以内の支持を受けており、2015年4番人気2着のミッキーアイル以外は阪神Cでも掲示板入りしていた。
阪神Cで2桁着順に大敗した馬の激走は2013年3着のオリービンのみで、巻き返すのは厳しいと考えられる。2019年1番人気7着のミスターメロディーのように、乗り方次第では人気を裏切ることもあるが、基本的に前走阪神カップの人気馬は買いでいいだろう。
一方で、人気になりやすい前走マイルCS、スプリンターズS組の連対はなく、レース間隔の開き過ぎは割引材料だ。
3強以外でも勝機あり
◎ダノンファンタジー
馬体の変動が大きく調整がうまくいかなかった阪神牝馬Sやヴィクトリアマイル、重馬場に対応できなかった府中牝馬Sと昨秋までの敗因が明確で、得意の阪神良馬場に戻った前走は久しぶりの1400mでも追走に苦労することなく、3番手から上がり2位の末脚で完勝。
人気3頭の中では一番短距離適性が高いと考える。休み明けの仕上げには定評のある中内田厩舎なので2か月休みも不安はないどころか、むしろプラス材料だ。斤量も据え置きなので前走同様の走りができればここでも馬券になるだろう。
○インディチャンプ
前走阪神カップは後方追走から3着に入るも前とは離されてしまった。休み明け緒戦は馬体重の増加が激しく、叩いてよくなるタイプなので、斤量も課される今回は次走を見据えた仕上げになると考える。
しかし阪神Cで1400mのペースを経験できたのはプラス材料で、先述したように阪神C掲示板入りの人気馬は押さえておかないとならない。実績は断トツなので、8割の出来でもレースの流れを覚えていれば前進があるかもしれない。
▲クリノガウディー
前走はモズスーパーフレアの逃げに付き合って大敗。ムラ駆けタイプであるが、同様の例として2018年の勝ち馬ダイアナヘイローが挙げられる。前走のシルクロードSで2番手追走から16着に敗れたところまで同じ。クリノガウディー自身は朝日杯FS2着の実績があり、右回りでは直近3走は小差なので改めて見直したい。
△メイケイダイハード
前走マイル組から一発ありそうなのがこの馬。前走は逃げ有利の展開に恵まれず6着、2走前は不得意の左回りで11着と大敗したが、どちらも着差はわずか。マイルCSでもグランアレグリアやインディチャンプ相手に1秒差なら、GⅢであればまだまだ戦えるだろう。
もともとは1200mや1400mを中心に使っており、2019年のJRAアニバーサリーSでは2番手追走から1分20秒4で勝ち切る優秀な内容だった。得意距離、得意コースに戻る今回こそ買ってみたい。
☆メイショウチタン
前走中京でようやく3勝クラスを卒業。朝日杯FSでは大敗しているものの、2勝クラスまでの勝ち上がりは全て阪神コースで決めている。阪神1400mを継続的に使われており、こちらも得意コースで一発あるかもしれない。
消レシステンシア
休み明けで負けたチューリップ賞とマイルCSは桜花賞の為の叩き台であったり、絞り切れていなかったりと敗因はいくつかあるが、主な敗因は前哨戦では全力で逃げないこと。
切れ味では劣っており、後ろにも脚を使わせながら逃げてこその馬なので、インディチャンプ同様の次のGⅠに向けた仕上げではハイペースの逃げは期待できない。また前走マイルCS組でデータ上、よくない臨戦過程なのも不安。危険な人気馬だと言えるだろう。
今回は▲以下に人気薄を指名してオッズもかなりつきそうなので、ダノンファンタジーからの馬連流し4点以外にも、5頭の3連複ボックスを購入する。(文:福山)
▽阪急杯予想印▽
◎ダノンファンタジー
○インディチャンプ
▲クリノガウディー
△メイケイダイハード
☆メイショウチタン
消レシステンシア
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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