中京2000mは末脚のある馬が堅実に走るコース
2月7日(日)中京競馬場では、きさらぎ賞(GⅢ・芝2000m)が行われる。ホープフルS3着のヨーホーレイクや京都2歳S2着ラーゴムなど重賞実績のある馬や、重賞大敗から巻き返しを図るドゥラモンドやアクセルなどが参戦。近年のきさらぎ賞にしては多めの11頭が揃った。4、5年置きに勝ち馬がGⅠホースになっているレースでもあり、2016年サトノダイヤモンド以来の大物は現れるのか。楽しみな一戦だ。
まずは過去10年の中京芝2000mの上がり3ハロンの順位別の成績を調べた。但し、能力差だけで順位が決まりやすい新馬、未勝利戦のデータを除いて算出した。

上がり3ハロンが1位の馬は【66-48-27-101】で複勝率は58.3%、2位の馬は【45-47-38-86】で複勝率60.2%と優秀。一方で上がり3ハロン4〜5位の馬は【30-37-49-297】で複勝率28.1%、6位以下になると【27-39-56-1542】で複勝率7.3%と頭数が多いことを考慮しても明らかに不振が目立っている。
中京2000mは最後の直線がある程度長いのと急勾配の上り坂があり、向正面から直線まで緩やかな下り坂となっていてレース後半にスピードが出やすいコース形態になっている。そのためレース後半のスピードが上がった状態を最後まで維持できる持続力や、直線でのギアチェンジの鋭さがより結果に直結しやすく、最後まで脚を使える馬の好走が多いのが要因となっている。上がりの良い馬は人気を背負うことも多いが、素直に信頼していきたい。
キャリア3戦の馬が優秀、馬券内はキャリア5戦まで
次に過去10年のきさらぎ賞出走馬のキャリア別成績を調べた。

勝率、複勝率が最も良かったのはキャリア2戦組。【4-4-1-8】という成績で勝率23.5%、複勝率52.9%と優秀。ただし、これらの馬で連対した馬は大逃げを打ったリキサンマックス(2011年8番人気2着)以外は全て1、2番人気の馬だった。また、1回ある3着も単勝1.5倍の馬が人気を裏切ったもので、単勝回収率は44%と不振。
それよりは人気を問わず好走例があるキャリア3戦の馬を狙ってみたい。キャリア3戦組は【3-3-5-11】で勝率13.6%、複勝率50.0%と2戦組には及ばないものの、単勝回収率は139%、複勝回収率は151%と優秀な成績を残している。
その他では、新馬勝ちから来るキャリア1戦組は【1-1-0-11】と重賞の壁に跳ね返されやすい傾向が出ており、キャリア5戦を積んだ馬は【1-0-1-4】で単勝回収率は496%もある。これは昨年コルテジアが29.8倍の大穴をあけたことによるものが大きい。
キャリアの多い馬、又は少なすぎる馬を積極的に狙うのは得策とは言えないが、穴馬選びでキャリア5戦までの馬は一考する必要があるだろう。
コーナーさえ曲がればGⅢは通過点
◎ランドオブリバティ
前走は少し掛かり気味に先頭に立たされた末、逸走してしまった。原因は不明だが、他馬と比較した際の4コーナーの手応えは良く、逸走さえなければ勝ち負けしていたと思わせる走りだった。ホープフルSまでに走った2戦の内容が前目のポジションからあっさり抜け出す横綱相撲で、新馬戦の2~4着馬と6、7着馬はすでに未勝利戦を勝っていることからも、レベルは高かったと言える。
2走前の芙蓉Sでは今レースに出走してくるアランデルを圧倒しており、勝ち時計もホープフルSより速い。また先述のように好成績のキャリア3戦組。2011年このレース3着だったオルフェーヴルのように超一流馬はこのような気性の持ち主が多いのも事実。今度はコーナーをうまく回って完勝してほしい。
○ヨーホーレイク
ホープフルSは後方から脚を使って3着、キャリア3戦全てで上がり最速の末脚を叩き出している。ただし、勝った2レースとも並んだ相手を何とか競り落としての勝利で、ホープフルSのように位置取り次第では取りこぼす危険性をはらんでいる。
2歳時から活躍する血統ではあるが、兄弟そろって重賞で1着を取り損ねる事が多く、兄ストーンリッジは昨年のこのレースで2着、ベルキャニオンは共同通信杯2着など、クロウキャニオン産駒の中で3歳の2月時点で重賞制覇をした馬はいない。ホープフルSの結果だけで全幅の信頼を置くには危険だと考えて対抗とした。
▲ラーゴム
2走前のアイビーSでは、ホープフルS2着のオーソクレースと対戦して僅差、前走京都2歳Sでも2着と好走している。しかし、京都2歳Sで3着だったマカオンドールはホープフルSで大敗をしており、京都2歳S組とホープフルS組どちらが強いか比較した際にホープフルS組には劣るだろうと考えて3番手評価とした。
△ダノンジェネラル
「中内田厩舎×川田騎手×ダノックス」の黄金トリオ。中内田厩舎が川田騎手を乗せて3歳GⅢ、GⅡに出た時の成績は【4-3-1-5】。それに6番人気以下になったことは一度もないことも驚き。キャリア1戦しかないのは不安材料だが、押さえておかなければならない。
☆タガノカイ
大穴ならこの馬。2走前の京都2歳Sは着順こそ大きいが、上位とそこまで差のない競馬ができていた。逃げが想定されるのはこの馬しかいないので、マイペースに持ち込めたらチャンスはあるはずだ。
人気馬中心の予想だが、馬連ならトリガミの心配がないか。ランドオブリバティから流して馬連4点でしっかり決めたい。(文:福山)
▽きさらぎ賞予想印▽
◎ランドオブリバティ
○ヨーホーレイク
▲ラーゴム
△ダノンジェネラル
☆タガノカイ
買い目
馬連 ◎―○▲△注
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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