過去10年1番人気は1勝
東京新聞杯には2007年スズカフェニックスから2019年インディチャンプまで1番人気11連敗という記録がある。だが、この2頭はその後の春シーズンでGⅠ制覇。厳冬期ながら東京のマイル重賞は価値が高い。
春のGⅠで好走する馬が出現するかもしれない東京新聞杯について過去10年間のデータをもとに分析する。
1番人気の勝利は19年インディチャンプのみで【1-0-2-7】。過去10回で7頭は馬券圏内にさえ入っていない。時期の影響も手伝い、毎年混戦模様になりやすいレースで押し出された1番人気が多いからだろうか。かといって大波乱も少なく、10番人気以下は【0-0-1-58】。
勝ち馬は過去10年、8番人気【2-0-0-8】以内。複勝率は1~8番人気が横並びといっていい。1番人気が頼りなくとも大波乱は少なく、中波乱決着が多い。
スピードの持続力が問われるマイル戦とあって、7歳【0-1-1-26】、8歳【0-0-0-10】など高齢馬はマイナス。
その一方で主力世代は4歳【4-4-4-26】、5歳【2-4-5-29】、6歳【4-1-0-27】と拮抗。6歳は成績がよく、単勝回収値149とおいしい。6歳の穴馬に注意しつつも、この3世代は対等に扱っておきたい。
前走マイルかつ3勝クラス、GⅠ組
ではここからは具体的にどんな戦歴の馬が東京新聞杯で好走したのかを調べていく。
前走距離に関するデータをみると、距離短縮【3-3-1-27】が目につくも、ひとまずは同距離の前走1600m組【6-7-5-76】に注目しよう。出走頭数も多いが、過去10年馬券圏内30頭中18頭を占めるゾーンだ。
確率で目立つのは前走3勝クラス【2-0-0-3】勝率40%と前走GⅠ【2-0-1-13】勝率12.5%、複勝率18.8%。想定から前者はカラテ、後者はヴァンドギャルドが当てはまる。まずはこの2つから掘り下げていく。
3勝クラス勝利は必須条件だが、勝ち上がり直後に東京新聞杯へ出走した馬は好成績。2着との着差0.2以内だと凡走馬もいるが、着差が0.3~0.5だと【1-0-0-0】。
この1頭が19年インディチャンプ。同馬を含め前走3勝クラス組の1着2頭(残る1頭はヴァンセンヌ)は1、3番人気。カラテの好走条件も人気次第だろうか。
ではヴァンドギャルドが該当する前走マイルGⅠだった馬はどうだろうか。1秒以上負けると【0-0-0-4】と壊滅。負けても0.9以内であれば【2-0-1-8】。
グランアレグリアと0.5差だったヴァンドギャルドはこれをクリア。前走脚質別成績ではヴァンドギャルドが該当する中団は【1-0-1-6】。ちなみに前走後方だった馬は【0-0-0-5】。
複穴候補なら前走GⅢ、オープン組
ここからは京都金杯組が該当する前走マイルのGⅢ組【1-3-3-29】とキャピタルS組の前走オープン【1-4-1-30】を調べる。
想定には京都金杯3着エントシャイデン、8着トリプルエース、12着サトノアーサー、16着ロードマイウェイの名前がある。負けても着差0.5が好走ライン、0.6以上負けた馬は【0-0-0-11】。
サトノアーサー(1.0負け)、ロードマイウェイ(1.3負け)は減点。京都金杯0.3差のエントシャイデン、0.5差のトリプルエースは合格だ。
キャピタルS組は6着トライン、9着カテドラルが想定に名前がある。こちらはGⅢ組よりも好走ゾーンが広く、1秒以上負けは【0-0-0-6】。0.9以内が好走ライン。0.6差だったトラインはOKで1秒差のカテドラルはデータ上では厳しい。
シャドウディーヴァを買う理由
最後は前走マイル組よりも好走確率が高い距離短縮組【3-3-1-27】に触れる。
実は距離短縮組とは前走エリザベス女王杯【3-0-0-1】だといってもいい。3勝の内訳は14年8番人気1着ホエールキャプチャ、16年5番人気1着スマートレイアー、18年3番人気1着リスグラシュー。人気的にもおいしい馬券が多い。
前記3頭は全て0.5差以内。前走GⅠで好走したにもかかわらず、1600mへの一気の距離短縮が嫌われるからだろうか。
シャドウディーヴァはラッキーライラックと0.7差8着。好走ゾーンからやや外れる。もっとも0.6~0.9差の馬は過去10年で出走ゼロ。好走例もないが凡走例もない。
出走した4頭はいずれも中団・後方で、それぞれ【1-0-0-1】、【2-0-0-0】。シャドウディーヴァは初角7番手、4角14番手でこのデータに合致。昨年の東京新聞杯2着馬なので、上位人気になりそうだが、それでも買うべきだろう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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