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【中日新聞杯】「馬体重500キロ以上」「距離短縮」など 中京芝2000mで覚えておきたいデータ

2020 12/6 17:00勝木淳
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斬新なコースレイアウト

中日新聞杯は1965年から1999年まで冬、もしくは春に行われた。2000年から12月開催に移り、中京競馬場の馬場改修後2012年から春開催に戻った。そして2017年から現在まで再び12月開催で行われる。

馬場改修後、現在の施行条件ではたった3回しか行われていないため、いつものように過去10年間のデータで分析できない。そこで今回はコースの傾向をとりあげる。中京芝2000m、オープン以上、馬場改修後8年間という条件に該当する26レース分のデータを使用する。

まず、中京芝2000mのコースレイアウトから。ざっくりいうと、正面スタンド前からスタートしコースをぐるっと一周。ポイントは中山に次ぐ正面直線部分の急坂で、勾配率2%、高低差2mは阪神の勾配率1.5%、高低差1.8mを凌ぐ。

芝2000mは、急坂の途中からスタートする。先行争いは坂をのぼりながら行われ、激しくなりにくい。また、1角から向正面の残り1000m地点までなだらかにのぼりつづける。前半1000mはほぼのぼり区間にあたり自然と流れは遅くなるものの、先行馬がそろい活気がある流れになると、ペース以上にスタミナをロスする。

後半は正面直線の急坂手前まで一気にくだる構造で、後半に脚を使う馬に有利な形態だ。3、4コーナーは下り坂に加えバンクになっているので、外を回る馬のロスも少ない。さらに急坂をのぼり切ってから200mもあり、そこで脚があがる馬もいるためゴール板手前で前と後ろが入れ替わるような競馬もみられる。

中京競馬場は日本の競馬場の様々な要素を取り込んだコースで、ひと言でいえば斬新なレイアウトといっていい。

先行力より末脚

ではここから具体的に好走馬のパターンを分析していこう。

馬体重別成績(12年馬場改修後以降)ⒸSPAIA

440~458キロ【5-7-3-54】勝率7.2%、複勝率21.7%など小さめの馬も悪くない。ここを割引けということではなく、注目は500~518キロ【9-3-10-48】勝率12.9%、複勝率31.4%など500キロ以上の大型馬。

前半のぼり坂、最後に急坂という舞台は坂適性が重要。パワー型が強いという傾向が馬体重にあらわれている。

種牡馬別成績(12年馬場改修以降)ⒸSPAIA

パワー型優勢と言いつつも、トップはディープインパクト【8-9-5-37】。さすがとしか言いようがないが、交配や育成の進歩によって産駒デビュー当初より切れ味一辺倒な馬は減っている印象があり、中京コースをこなすだけのタフさを備えた馬が多くなったともいえる。

次位はやや硬めなタイプが多いキングカメハメハ【4-4-5-23】、3位はサンデーサイレンス特有の柔らかさを伝えるステイゴールド【3-1-1-19】。以下ハーツクライと後半に長く脚を使えるタイプが並ぶ。先行力より末脚に比重を置いた馬が強いといっていい。

特筆すべきは前走2400m出走馬

さらに好走馬の戦歴を分析していこう。

前走との距離比較別成績(12年馬場改修以降)ⒸSPAIA

このコースは距離短縮が効くという点を押さえておきたい。今回短縮は【16-6-9-106】勝率11.7%、複勝率22.6%。同距離が【4-11-11-120】と不思議と勝ち切れない。まずは短縮馬を確認しよう。

今回短縮組の前走距離別成績(12年馬場改修以降)ⒸSPAIA

短縮馬の前走距離について調べた。2200m【6-4-3-57】も悪くないが、2400m【5-2-3-13】、2500m【4-0-3-22】、2600m【1-0-0-2】など極端な短縮が効くことも覚えておきたい。では前走2400m組はどんな馬がいいか。

前走2400m組の前走着順別成績(12年馬場改修以降)ⒸSPAIA

もちろん前走2400m戦を勝った馬は【2-0-0-1】だが、10着以下も【0-1-1-7】と複勝圏内であれば可能性十分で着順は問わない。前走2400m出走馬は成績関係なくチェックしよう。

ただ中日新聞杯出走予定馬は前走2000m組が多いようなので、最後に取り上げる。

前走2000m組の前走競馬場別成績(12年馬場改修後以降)ⒸSPAIA

高確率は左右の回りこそ異なるが似た形態の阪神【2-0-3-7】。同じ急坂があるコースでも中山は【0-2-0-10】でやや微妙だ。

前走2000m組の前走着順別成績(12年馬場改修以降)ⒸSPAIA

こちらも満遍なく好走馬が出ているが、しいてあげると、前走2着【2-3-0-7】、前走3着【0-2-1-6】の惜敗組が好走する。前走2、3着馬はどうしても上位人気になりがちだが、そこを逆らわずに買うか、あえて前走2200m以上で負けた馬を買うか、それは個々の判断に委ねたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

中日新聞杯インフォグラフィックデータ

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