今年はコロナの影響で乗り替わりが不利だった?
今年はコロナの影響で、4月18日から5月31日まで騎手移動制限(土日で違う競馬場で騎乗できないこと)があったこともあり、乗り替わりが一つのテーマとなった年だった。
期間自体は1か月半のことだったが、騎手移動制限解除後も元の騎手に戻ったり戻らなかったり、影響は続いたと思われる。ところが、実際にデータを調べてみると、
●過去5年(2015-2019)
乗り替わり数140166/同騎手数81577/乗り替わり率63.2%
●今年
乗り替わり数23661/同騎手数13989/乗り替わり率62.8%
というように、むしろ乗り替わり率は若干落ちていたのだ。騎手移動制限による乗り替わりのあと、元の騎手に戻りそのまま騎乗を継続させる「同騎手継続パターン」が今年後半に増えたことが要因だ。
コロナの影響で、例年なら秋シーズンに多数来日する短期免許の外国人騎手が今年はいないことも、この傾向に影響を及ぼしていそうだ。
今年の乗り替わりが例外と理解したうえでの話だが、普通に考えれば前走の乗り味がわからない馬に乗る「乗り替わり」自体、そもそもマイナスなこと。
事実、2020年の「前走と同騎手」と「乗り替わり」の勝率、連対率、複勝率を比較すると、乗り替わりでは軒並み数字が悪くなる。
●同騎手:8.7%/17.5%/26.2%
●乗替り:6.5%/12.8%/19.4%

継続騎乗に比べて難易度の高い、この「乗り替わり」でも馬券に活かせるパターンはあるのか、秋競馬予想のヒントを求めて調べてみる。
負傷中の秋山騎手からの乗り替わりに注目
10月28日に第一腰椎破裂骨折で全治3か月の休養となってしまった秋山真一郎騎手。よって年内は、前走で秋山騎手が騎乗していた馬は全て乗り替わりとなる予定。この「秋山騎手→ほかの騎手」というパターンを整理すれば予想に活かせるのではないだろうか。
●秋山騎手の今年の成績
勝率6.2%/連対率15.0%/複勝率23.3%(今年339騎乗)
秋山騎手からの乗り替わりが一番多く、結果も出せていたのが幸英明騎手の【3-2-2-12】だ。平均6.0人気で、単勝回収率778%を叩き出している。
ちなみに、幸騎手の本年全体成績は【59-78-62-597】で、勝率7.4%、連対率17.2%、複勝率25.0%と今年の秋山騎手の成績よりも少しいい。しかし、この変更を「鞍上強化」と取り立てて考える人は少なく、馬券人気はそれに伴っていないというおいしいパターンだ。
藤岡康太騎手への乗り替わりは【0-3-1-2】で1着こそないが、馬券圏内に多く入っている。2着は全て芝2000mで、3着はダート1200m、着外はいずれも芝の短距離というのも面白い。代表例はサトノソルタスで2着になった金鯱賞だ。
乗り替わりが多いが馬券に絡まないパターン
秋山騎手からの乗り替わりで、幸騎手の次に数が多いのは古川吉洋騎手と藤井勘一郎騎手だが、成績はそれぞれ【0-1-0-11】【0-0-0-10】。
平均人気も7.1、10.7人気なので仕方のない部分はあるが、人気を覆して馬券になることもない。ちなみに、古川騎手唯一の唯一連対2着は1番人気馬でのもので、妙味にも欠けるパターン。
なお、秋山騎手が継続騎乗した際の成績は2020年は【13-14-15-90】で複勝率31.8%と好成績だった。早期の回復、そしてターフに戻ってくる日を心待ちにしたい。
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