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「1戦1勝の人気馬」「新馬戦で逃げた馬」は買える?2歳重賞攻略データ

2020 8/29 06:00東森カツヤ
2歳重賞に役立つデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

2歳重賞は荒れにくい!

今回は2歳重賞を予想する上で押さえておきたいポイントをいくつか紹介する。予想の材料が不足しがちな2歳重賞を攻略する上での一助になれば幸いだ。なお、データは2015年以降を参照している。

まずは人気に注目すると、2歳重賞は1番人気が非常に強いという特徴が見られる。

1番人気馬の成績

1番人気馬の成績ⒸSPAIA



1番人気の勝率は42%で、複勝率は驚異の73%。比較対象として3歳重賞・古馬重賞の数値も書くと、どちらも1番人気の勝率30%、複勝率60%程度なので2歳重賞とは10%ほどの隔たりが生じている。

したがって、必然的に2歳重賞は堅い決着が多い。出走全馬の単勝を均等買いした場合の回収率は3歳限定重賞で69%、古馬重賞で71%に対し、2歳重賞では56%に留まる。複勝均等買いの回収率も同様の序列になっている。ここから類推すると、2歳重賞において多点数・均等買い(手広いボックスや流し)など、高配当決着ありきの買い方をするのは得策でないと判断できる。

各馬の情報が少ないのに意外なデータだが、2歳戦は荒れにくい。点数を絞って、1番人気を厚く買うことを心掛けたい。

「1戦1勝の人気馬」は買えるのか

2歳重賞特有の現象として、新馬戦を勝った直後の1戦1勝馬が人気になるケースが頻発する。得てしてこういう馬が大敗すると、「1戦しか経験してないのに人気しすぎだった」と悔やむのが競馬ファンあるあるのひとつ。今年も函館2歳Sでモンファボリが敗れ、このような感想を抱いた人もいるのではないだろうか。

この「1戦1勝の人気馬は重賞で買えるのか」問題に白黒ハッキリつけるべく、データを調べてみた。結論から言えば、「1戦1勝の人気馬は2歳重賞で買える」。新馬勝ち直後で重賞に出走して3番人気以内に推された馬は単回収率125%という好成績を残しており、むしろ積極的に買っていくべきである。

1戦1勝馬の重賞出走時、人気別成績ⒸSPAIA

なお、1戦1勝の4~9番人気馬は勝率わずか2.4%で単回収率も22%という低数値。わざわざ言われることは少ないが、「1戦1勝の不人気馬」を狙うことこそ禁物だ。また、実力と経験値のバランスがよく馬券の上で非常に頼もしいのが、『新馬負け→2戦目で勝ち上がり→3戦目で重賞挑戦』というパターン。

昨年の札幌2歳Sを勝ったブラックホールや、朝日杯で14番人気ながら3着に入ったグランレイなどがこれに該当し、勝率9.2%ながら単回収率は155%と超優秀。一度土がついていることで人気になりにくい割に頑張ってくれるので、ぜひ覚えておこう。

「新馬戦で逃げた馬」は危険

競走馬にとって初のレースとなる新馬戦では将来を見据えて教育的な騎乗をすることも求められる。新馬戦から逃げの戦法をとると、その後の折り合いなどに悪影響を与えるというイメージは根強い。そこで、実際に「新馬戦で逃げた馬」(以下、「新馬逃げ」と表記)とそれ以外で2歳重賞成績にどんな差が出るのか検証してみた。

新馬戦の戦法別、2歳重賞成績ⒸSPAIA

すると「新馬逃げ」は2歳重賞での勝率が5.0%、逃げなかった馬は8.1%と、やはり逃げなかった馬の方が重賞での勝率が高いことが分かった。「新馬逃げ」は単回収率も22%と極めて低調で、なるべく買わない方がいい。

余談だが、「新馬逃げ」でのちにGⅠ馬となったのは過去10年で6頭(モズスーパーフレア、タワーオブロンドン、ミスターメロディ、コパノリチャード、ロードカナロア、カレンブラックヒル)。見ての通り5頭がスプリントGⅠ馬で、残る1頭はマイルGⅠ馬となっている。

「新馬戦で逃げなかった馬」の中では、新馬戦で2着だった馬が2歳重賞で勝率12%と好調。これに該当するケースは単複の回収率も100%を超えている。

最後にポイントをまとめると
・2歳重賞では1番人気が強く、荒れにくい
・1戦1勝の人気馬は買える。また、2戦目で勝ち上がった馬の3戦目が重賞なら買い
・「新馬戦で逃げた馬」は苦戦。「新馬戦で逃げずに2着」の馬に妙味
となる。2歳重賞を予想する際は以上の点を押さえておくと的中に近づくはずだ。