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【新潟2歳S】有力馬シュヴァリエローズとフラーズダルムは消し データ予想で残ったのはたった4頭のみ

2020 8/27 17:00門田光生
2020年新潟2歳SデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

「差し馬」というより「差しても問題なさそうな馬」の見極め

2020年8月30日(日)に行われる第40回新潟2歳S。新潟競馬場が右回りだった頃、このレースは1400m以下で行われていた(左回りでも一度1400mで施行されている)。

当時の新潟はそこまで直線が長いわけでもなく、芝1200mの小倉2歳Sと同じ週に行われていたこともあって登録馬も両にらみというケースが多かった記憶がある。ただ、外回りのマイル戦に定着してからは、小回りの小倉2歳Sとのすみわけがはっきりとできた。

ご存じの通り、新潟外回りの直線は長い。デビュー前からこのレースを意識している素質馬は、デビュー戦を能力とスピードに任せて逃げ切る、というわけにはいかないだろう。そこで、まずは前走でどんな競馬をしてここに挑んできたかを調べてみた。参考にするのは2010~2019年に行われた過去10回分である。

新潟2歳S出走馬の前走脚質ⒸSPAIA

結果は逃げて勝った馬が1勝、先行して勝った馬2勝に対して、差して勝った馬が6勝。追い込みで勝った馬も3連対しており、直近で控える競馬をしたことがこのレースに生きた、と考えていいだろう。

ちなみに、新潟2歳S自体の決まり手は逃げ馬0勝、先行馬1勝に対して差し馬6勝、追い込み馬3勝。差し、追い込み馬で合計16連対と先行脚質を圧倒している。開催終盤で馬場が傷んでいることも影響しているのだろう。新潟の外回りらしい結果といえる。

ここで問題なのは、全頭キャリアが浅く「差し馬」と断言できる馬がいないこと。差す競馬で好結果を残している馬はもちろんだが、逃げて新馬勝ちした馬以外は「控える競馬も可能」と思っておいた方がいいかもしれない。

新馬勝ちした馬が断然

新潟2歳S出走馬のキャリアⒸSPAIA
新潟2歳S出走馬の前走クラスⒸSPAIA

ダービー週の直後から新馬戦が行われるようになったので、以前よりレース数を重ねてここに挑むことができるようになった。とはいえ、やはり優勢なのは新馬勝ち組。連対馬20頭中14頭がキャリア1戦の馬だった。

ここで特筆すべきは、前走でオープンを使ってきた馬の成績。これが【0-1-0-29】と散々な数字。この時期は特に目標を定めず、賞金を上乗せするために目先のレースを使っている馬もいるかもしれない。もちろん、それは立派な作戦だし、もし自分が馬主だったらそういう使い方も全然ありなのだが、このレースに関しては、ここを目標に駒を進めて来た馬の方が有利と覚えておきたい。

新潟2歳S出走馬の前走着順ⒸSPAIA

新馬勝ちした馬の成績がいいということは、当然ながら前走1着馬の成績もいいということ。勝ち馬の全てが前走1着で、連対馬20頭中19頭がそれに該当している。例外は2010年の2着馬マイネルラクリマ(ダリア賞3着)だけ。これはほぼ必須条件となるが、今年は何と全頭が前走1着。これは珍しい。

新潟2歳S出走馬の所属ⒸSPAIA
新潟2歳S出走馬の前走回りⒸSPAIA

東西の連対で見ていくと、美浦所属12連対に対して栗東所属は8連対。ただし出走頭数は美浦所属の方が倍近く多いので、勝率、連対率とも栗東所属の方が上。とはいえ、そこまで決定的な差ではなく参考程度でいいだろう。

それよりも傾向がはっきり出ているのは、前走で左右どちらの回りを使ったかというデータ。左回りを経由してきた馬が18連対で、右回りを使ってきた馬を圧倒している。特に栗東所属馬は連対した8頭が全て左回りを経由していた。このレースを意識してデビューの地を選んだのかもしれない。

新潟2歳出走馬の毛色ⒸSPAIA

最後にちょっと面白いデータを。偶然か何か分からないが、このレースは勝ち馬10頭中、8頭が鹿毛である。最も割合が多い毛色とはいえ、ここまで偏るのは珍しいこと。以前に毛色ネタを書いたこともあって、今年はどうなるのか個人的に注目している。

結論は4頭BOXで

このレースは2016年から4年連続でフルゲートを割っているが、今年は登録の時点で11頭と少ない。そこで参考となるのが、同じく少頭数で行われた2018年。

この年は11頭立ての競馬ながら、1、2着馬の4角の位置取りは8、7番手。今回も差し競馬になると見立てて、まずは前走で逃げ切った馬、ジュラメントとロードマックスを消す。今回、この2頭が差す競馬をする可能性は否定できないが、前走で逃げた馬が連対したケースは2017年だけ。確率的には消しが正解だろう。

今回は全頭が前走1着馬。この強いデータを使えないのは痛いが、連対馬20頭中18頭が該当する「前走で左回りを使った馬」というデータは有効だ。少頭数だった2018年も1、2着馬はそれぞれ新潟、東京を使っていた。というわけで、阪神と福島を使ったシュヴァリエローズ、セイウンダイモス、フラーズダルムの3頭が消えた。

勝ちっぷりのよかったシュヴァリエローズとフラーズダルムを切ってもいいのかという話だが、阪神を使った組は一度も連対していないのだから仕方がない。ちなみに、阪神デビュー馬で圏外だった馬には2011年のダローネガ(2番人気)も含まれている。

前走でオープンを使った馬は【0-1-0-29】と厳しい数字が出ていたので、ブルーバードにも消えてもらおう。また、キャリア3戦消化している馬は【0-0-1-12】と連対馬が出ておらず、それに該当するファルヴォーレも厳しそうだ。

残ったのは4頭。このBOXで問題ないと思うが、一応順番付けを。データ上で好走率が高いのは「1戦1勝」そして「美浦所属より栗東所属」となる。この両方を満たしているハヴァスが1番手でいいだろう。

タイガーリリー、ブルーシンフォニーも同じ1戦1勝馬で、しかも控える競馬で勝っているところがポイント。ショックアクションは未勝利勝ちなので新馬勝ちの馬には一歩譲るが、栗東所属に加えてこのレースでの活躍が目立つ「鹿毛」である。父GleneaglesはGalileo系の種牡馬で、英愛2000ギニーなど欧州GIを4勝した一流馬。

ショックアクションは父、母系ともに欧州血脈が多く含まれており、時計のかかる洋芝向きの印象が強い。それだけに、ここで好結果を出せるようなら、来年のNHKマイルの有力候補になるとみていいかもしれない。

◎ハヴァス
〇ブルーシンフォニー
▲タイガーリリー
△ショックアクション

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。この原稿を書いている時、川崎競馬の騎乗予定騎手にコロナ陽性者が出て開催中止の一報が。競馬を含め、ほとんどの興行が中止と隣り合わせの状態で行われていることを改めて思い知らされました。