渋野日向子、畑岡奈紗ら女子ゴルフ「黄金世代」をインフォグラフィックで比較

2020 6/8 06:00田村崇仁

Ⓒゲッティイメージズ

6月25日ようやく開幕！

新型コロナウイルスの影響で大会中止が続いていた女子ゴルフの開幕が決まった。日本女子プロゴルフ協会は6月25日から28日までアース・モンダミンカップ（千葉・カメリアヒルズCC）を無観客試合として開催することを発表。ようやくゴルフファン待望のシーズンが到来する。

1998年度生まれの「黄金世代」が人気と実力の両面で輝きを増し、ツアーを席巻している日本の女子ゴルフ界。海外初試合のAIG全英女子オープンで1977年の樋口久子以来日本勢42年ぶりのメジャー制覇を成し遂げた渋野日向子を筆頭に、20代前半で米国を拠点に活躍する実力派の畑岡奈紗やアマチュア時代から注目される勝みなみ、成長著しい有望株の小祝さくら、原英莉花、河本結らに代表される世代の旗手たちにスポットを当て、「通算勝利数」「世界ランキング」「平均ストローク」「平均バーディー数」「平均パット数」「平均ドライバー飛距離」と6つの要素からレーダーチャートで分析してみた。

畑岡奈紗は4項目で1位

各項目の1位だった選手には6ポイント、2位には5ポイント、3位には4ポイント、4位には3ポイント、5位には2ポイント、6位には1ポイントを振り分けてトータルポイントを計算してみると、「通算勝利」「世界ランキング」「平均ストローク」「平均ドライバー飛距離」の4部門でトップだった畑岡が33ポイントでトップとなり、既に米ツアーで3勝を挙げる第一人者の実力が浮き彫りになった。

昨年は日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯と日本女子オープン選手権の二つの国内タイトルも圧勝で獲得。強風の中でも正確なショットを連発し、同世代のライバルをうならせた。17歳で日本女子オープンを制した2016年から「黄金世代」の先頭を突き進み、目標の東京五輪でも金メダルを視界にとらえる。

女子ゴルフ黄金世代レーダーチャート

渋野日向子は平均パット、平均バーディー数トップ

2位の渋野は合計30ポイント。8月のAIG全英女子オープンで最終日の18番、下り5メートルのウイニングパットを強気に沈めたパットに象徴されるように「平均バーディー数」「平均パット数」の2項目で1位となり、その他の3項目でも2位につけた。無名の存在から国内でも4勝を挙げた実力と勢いはデータにも表れている。

「スマイル・シンデレラ」の愛称通り、明るい笑顔と相まって人気が急上昇した渋野は世界ランキングでも畑岡に次いで日本勢２位につけており、大きな目標に置く東京五輪でさらなる飛躍が期待される。

勝みなみは「黄金世代」の先駆者

3位は21ポイントの勝だった。2014年春、高校に入ったばかりの勝が15歳293日でツアー優勝を飾り、最年少記録を塗り替えた快挙が「黄金世代」と呼ばれる世代の先駆者でもあった。

2017年にプロとなってから3勝。「平均パット数」の項目で2位に入ったように安定したパットは定評があり、昨年はイーグル数も国内2位と爆発力を秘める。昨年6月の全米女子オープン選手権では初メジャーで22位と着実に成長している。

河本結は米デビュー戦で8位と健闘

4位は河本で19ポイント。5位は原と小祝が並んで13ポイントだった。

21歳の河本は1月の米女子ゴルフツアー、ゲインブリッジLPGAで待望のデビューを果たし、通算9アンダーで8位と健闘。目標のトップ10入りで自信をつかんだ。2018年に日本の下部ツアーで4勝し、昨年はレギュラーツアー初勝利を挙げて賞金ランキングでも6位と健闘。米ツアー最終予選会は9位で突破し、勝負強さを備える。

原英莉花の魅力はドライバー、小祝さくらも攻めのゴルフ

昨年ツアー初勝利を挙げた原は173センチの長身を生かした豪快なスイングが魅力。「平均ドライバー飛距離」は刺激を受ける同世代の畑岡に次いで2位につけた。

オフは師事するジャンボ尾崎将司宅でトレーニングに励み、体も一回り成長した。師匠の言葉通り「強いゴルファー」を目指し、さらなる躍進を期す。

北海道出身の小祝も攻めのゴルフでバーディー、イーグル数が多く、昨年は年間トップ10回数も5位と安定した成績を残した。

「黄金世代」の多くは引退した宮里藍の背中を見て育ち、憧れと世界への挑戦が原動力となっている。さらにジュニア時代からナショナルチームに入り、最先端のスイング分析や栄養学、メンタル面など幅広いサポートを受けてきたのも大きい。

韓国では1998年からメジャー優勝を重ねた朴セリの背中を追って実力派が次々と育ち「朴セリキッズ」と称された。

どんなスポーツでも人気と実力を兼備した選手が集中する「黄金世代」は存在するが、女子ゴルフ界でここまで顕著に表れるのも珍しい。今季も互いに切磋琢磨して実力を伸ばし、渋野や畑岡が引っ張る「黄金世代」の活躍が楽しみだ。

女子ゴルフ黄金世代インフォグラフィック