サンデーバックナインで優勝争いに残ることが重要
10月18日~20日に千葉県東急セブンハンドレッドゴルフクラブで富士通レディースが開催され、古江彩佳が史上7人目のアマチュア優勝を遂げた。古江はこの優勝でプロ宣言(プロテスト免除)をして、11月11日から開催される三菱電機レディスからプロとして出場することが可能になった。
そして、古江のように勢いに乗って優勝まで突き進んだ選手がいる一方、2日目までは上位にいたにも関わらず、今回もまた最終日に優勝争いに加わることができなかった選手がいる。
それは黄金世代の臼井麗香だ。
臼井は7月のセンチュリー21レディスで最終日の終盤まで優勝を争うなど力を示しており、活躍が期待されている選手の一人だ。しかし、勝負所で本来の力を発揮できず不本意な結果に終わることも多く、優勝にはいまだ手が届いていない。
ラウンドが進むにつれて下がる順位
臼井は予選ラウンドでは上位にいることが多いが、決勝ラウンドで失速する傾向がある。予選ラウンドの平均ストロークは71.7571で24位だが、決勝ラウンドになると72.8926で60位となっている。
第1、第2、第3ラウンドに分けると、各大会期間中、ラウンドが進むにしたがって順位を下げていることが分かる。平均ストロークが第1ラウンドでは71.5248で15位だが、第2ラウンドでは72.0000で44位、第3ラウンドでは73.3542で80位となっている。
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今回の富士通レディスでもこの傾向が表れた。初日の第1ラウンドは67で3位タイのスタート。2日目の第2ラウンドは69で5位タイに後退。最終日の第3ラウンドは71で10位タイとさらに後退した。
女子プロトップクラスのドライバーの精度 課題はショットとアプローチ
今季はドライビングディスタンスが31位(240.55ヤード)、フェアウェイキープ率が30位(68.6384%)、そしてその2つの総合力を表すトータルドライビングが6位となっており、ドライバーショットの精度の高さは女子プロゴルフ界トップクラスだ。
一方、ドライバーの精度が高いにも関わらず、パーオン率が43位(66.7535%)と低い。又、リカバリー率が31位(61.3577%)、サンドセーブ率が89位(31.2500%)と、パーオンしなかった時にカバーしきれていない。
終盤首位に浮上するなど、最も優勝に近づいた7月のセンチュリー21レディスの第3ラウンド(最終日)では、バーディが欲しいパー5の17番ホールでフェアウェイ真ん中からの3打目、グリーン手前のバンカーからの4打目をミスした。さらに、パー4の18番ホールでは第1打をフェアウェイキープしながら第2打でグリーンをとらえることができず、第3打のアプローチを寄せきれずと、ミスが続きボギー。結果2打差で優勝を逃した。
優勝を争う回数を増やし、初優勝を手にする為には、アイアンショットを中心とした2打目以降のショットの精度を向上させる必要がある。
黄金世代10人目のツアー優勝者になるか
これまでに黄金世代は9人優勝している。臼井が10人目になる可能性は十分にある。ただ、現在賞金ランキングが57位(10月20日時点)。初優勝の前に50位までの選手に与えられる来季の賞金シードを確定させたいところだ。
シードを確定させても安心してはいられない。新たに力のあるルーキーが続々と同じ舞台に上がってくるのが今の女子プロゴルフ界。来季からは富士通レディスで優勝した古江彩佳だけでなく、安田祐香など黄金世代の2学年下のプラチナ世代の面々がプロツアーの舞台を主戦場にする。進化が止まっていてはルーキーの勢いにのまれ、第一線からすぐにはじき出されてしまう。
臼井には女子プロゴルフ界トップクラスのドライバーショットを武器にしながらも、現状得意とはいえないアイアンショットやグリーン周りからのアプローチショットを向上させ、決勝ラウンドでも力を発揮し、畑岡奈紗や渋野日向子とともに、黄金世代の一人として活躍し続けることを期待したい。