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変わる日本女子プロゴルフ TP単年登録者はどうする

2018 6/6 07:00hiiragi
三ヶ島かな,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

LPGAの制度改革は何が変わったのか

2018年2月、LPGAより、2019年度のプロテスト及びクォリファイングトーナメント(QT)制度の変更が発表された。変更内容は、これまでは受験年の4月1日時点で18歳以上だった受験資格年齢が17歳以上に引き下げられるというもの。
これにより、高校を卒業しないと受けられなかったプロテストが在学中に受験可能となった。

プロテスト同様QT制度も受験資格年齢が18歳から17歳に引き下げられ、出場資格がLPGA会員に限定されることになった。2019年に限っては一部非会員も出場可とのことだが、2020年からはLPGA会員に限定される。

変更前のQTは、シード権を持たない選手が翌年度のLPGA及び、ステップ・アップ・ツアーへの出場優先順位を決めるために行われた。ファイナルまでの4ステージ中サードステージまで進出すれば、LPGAの会員でなくてもTP単年登録者として1年間の参戦権が認められていた。
また、2017年にはTP単年登録者がLPGAツアーで優勝するか、3年連続賞金シード権を獲得(2018年からは1年に短縮)すれば、正会員になれる制度が復活したばかりだった。

2017年に優勝を果たし、今は正会員となっている韓国出身のイ・ボミ選手やキム・ハヌル選手、台湾出身のテレサ・ルー選手なども、当初はTP単年登録(当時はTPD単年登録)の制度を使って日本ツアーに参戦していた。
QTへの出場資格が、LPGA会員に限定されれば、先にプロテストに合格する必要があり、こうした海外選手にはハードルが高くなる。果たして、2020年以降、日本ツアーに挑戦する海外選手は現れるのだろうか。

海外勢の日本ツアー挑戦はどうなる!?動向が注目される選手たち

LPGAの制度改革により、TP単年登録の海外選手たちにとって今年のツアーにかける思いは、例年以上に強いものとなっている。今年のツアーで優勝するか、賞金ランキングの上位50位以内に入らないと、来年のツアー参加への道のりがかなり険しくなるからだ。

既に18年度シード選手である台湾出身のフェービー・ヤオ選手が「アクサレディス」で優勝し、正会員になったのに続き、韓国出身のペ・ヒギョン選手も「中京テレビ・ブリヂストンレディス」で優勝を収め、会員になる権利を手に入れた。
彼女たちに続けと言わんばかりに、虎視眈々とツアー優勝を狙っている選手がいる。もう一人のシード選手であるユン・チェヨン選手だ。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」では惜しくも2位に終わったが、現在賞金ランク10位と好調だ。仮にツアーで優勝できなかったとしても、シード権を獲得できれば会員資格を得ることができる。今後の戦いに注目だ。

その他にもQT上位30位以内に入っていたジョン・ジェウン(韓国)、カリス・デイビッドソン(オーストラリア)、チャン・ウェイウェイ(中国)選手らも優勝を狙うとともに、シード権獲得に向けて奮闘している。

一方で、厳しい戦いを強いられているのが、アン・シネ選手(韓国)だ。2017年日本女子ツアーに初参戦し、「セクシークイーン旋風」を巻き起こした彼女だが、今季はQTランク71位のため主催者推薦枠での出場に限られている。しかも、ここまで4戦のうち3戦で予選落ちと優勝はおろか、賞金ランクでも125位と大きく出遅れている。
また、主催者推薦での出場は年間最大8試合までと決まっているため、最大でも残り4試合のみとなる。来年も日本ツアーに参加するには、プロテストから這い上がることが重要だ。優勝による一発逆転にも期待したい。

LPGA正会員に向けて奮闘する日本人選手たち

今回の制度変更で影響を受けるのは、海外選手だけではない。プロテストに合格しないままQTを受験し、TP単年登録をしている日本人選手も意外と多い。LPGAツアーにシード選手として参戦している三ヶ島かな選手や、QTランキング34位の資格で参戦している三浦桃香選手もそうだ。

三ヶ島選手は2015年のプロテストで不合格に終わったが、QTでは2015年、2016年と上位通過を果たし、TP単年登録選手として2017年にシード権を手に入れた。2018年は、春先のインフルエンザによる初戦欠場もありフル参戦ができず、5月2週目に開催された第11戦「ほけんの窓口レディース」を終え、賞金ランキング70位とシード圏外で低迷している。
一方、三浦選手は2017年のプロテストに不合格となったが、QTで34位に入った。2018年は、全試合に出場して賞金ランキング47位とシード圏内で頑張っているが、まだまだ先は長く安心できない。

両選手ともこのままツアーに出場を続けシード権獲得を目指すのか、それとも、プロテスト期間はツアーを休みプロテスト合格を目指すのか、難しい選択を迫られている。シード選手は最終プロテストからの出場、前年最終プロテスト進出者は2次予選からとそれぞれ条件は違うが、どちらの選択をするのか動向が注目される。

※ランキング等の順位は全て、2018/6/4現在のもとする