良いインパクトのためには良いテークバックが必要
スイングのチェックポイントをどこに置くことが多いだろうか。主にダウンスイングやインパクトを意識してスイングしているゴルファーが多いかもしれないが、“より良いスイングを作る”ことを目指す場合、アドレスに近い局面から重要度が高くなる。アドレスやグリップが最も重要で、その次がテークバックだ。
基準となるテークバックは、クラブが腰あたりの高さでシャフトが飛球線と並行か、ヘッドがやや外側(アウトサイド)に上がる状態(グリップは外側に上がらず体の近く)。
より良いテークバックをすることで、よりしなやかなダウンスイングからインパクトへの流れになりやすくなる。
インサイドにクラブヘッドを引いてしまう2つの理由
多くのゴルファーはクラブヘッドをインサイドに引いてしまっている。その理由として2つ挙げられる。
1つ目が、クラブヘッドの重さの作用。ゴルフクラブはクラブヘッドがとても重く、重心がグリップ側よりもクラブヘッド側に偏っている。テークバックでこの重さが作用すると、クラブヘッドは下がる。体が回りながらクラブヘッドが下がれば、インサイドに引くことになってしまう。
これを防ぐためにポイントとなるのがグリップにかける力。右手を支点にして左手でグリップエンド側を適度に下げる力をかける必要がある。クラブヘッドが下がるとグリップエンド側が浮き上がるが、この浮き上がりを抑えることでクラブヘッドが下がらずインサイドに引きにくくなるのだ。
2つ目が、ダウンスイングでインサイドアウト軌道を意識し過ぎている、というもの。スイングのアウトサイドインのヘッド軌道はスライスや、飛距離ダウンの大敵だが、無理にインサイドアウトにスイングしようとすると、テークバックでインサイドに引きやすくなる。
インサイドに引いていた場合、適性のポジションにクラブがおさまるテークバックをすると、ダウンスイングでアウトサイドインの度合いが強まりそうな感じがするかもしれない。だが、力みを抑えてクラブの慣性を生かすことができると、インサイドからクラブヘッドを下ろすことができる。
外めに上がって内から下りる、このやや八の字を描くヘッド軌道が基準となる。程度の差はあるが、ほとんどのツアー選手のダウンスイングのヘッド軌道はテークバックよりも内側を通っている。
ツアー初制覇の大西魁斗のスイング
9月1日から4日に開催されたフジサンケイクラシックでは23歳の大西魁斗が初優勝を飾った。大西のバーディ率は1位(9月11日現在)。平均パット数が1位で、賞金ランキング3位、平均ストローク2位の原動力になっているのはパットだが、パーオン率も8位とショットの安定感もトップレベルを誇っている。
より良い練習環境下で練習をするべく9歳から大学までアメリカで過ごした大西のスイングは個性的。だが、テークバックは基本に忠実な動きをしている。グリップが腰の高さあたりでシャフトが地面と平行。この時のヘッドは手よりもアウトサイドにある。
もともと大西はこのようなテークバックではなかった。シャフトが地面と平行になる局面ではクラブヘッドはグリップよりもインサイドにきていた。意識して今のテークバックに変えたことがうかがえる。
大西はアウトサイドに上がったクラブヘッドの慣性を生かしながら、ダウンスイングでインサイドからクラブヘッドを下ろしている。八の字を描くスイング軌道だ。これはグリーンまわりからのアプローチショットでも表れている動き。インパクトで物理的な力が大きくなる要素がつまったスイングの流れになっているので、多くのゴルファーに参考にして欲しい。
【関連記事】
・男子ゴルフのロリー・マキロイ、年間王者で24億円超獲得より大事な価値
・【女子ゴルフ】全米女子アマ覇者、馬場咲希が第2のネリー・コルダになるために必要なこと
・渋野日向子のニュースイングに学ぶ フラットなスイング軌道のメリットと注意点