年齢とともに飛距離が落ちやすい
体の柔軟性や筋力は年齢とともに低下する。「昔はあれだけ飛んだのに今はこれだけしか飛ばない」と嘆くゴルファーも多いが、この理由にも体の変化が挙げられる。
トレーニングをしているプロゴルファーも加齢による体の変化には抗えない。ゴルフスキルのピークを迎える年齢は他の競技に比べ遅めだとも言われているが、飛距離は他のスポーツと同じぐらいの年齢から次第にパフォーマンスが下降していく。
しかし、工夫次第で飛距離減を抑制できるようだ。黄金世代やミレニアム世代、さらに西郷真央を筆頭にした新世紀世代など若手の台頭が著しい女子ゴルフ界で、ベテランの藤田さいきが飛距離を伸ばし存在感を発揮している。
飛距離が伸びている藤田さいき
昨年に引き続き好調の藤田は今年37歳。昨季はメルセデスランキングが24位で賞金ランキングが28位。今季(5月15日時点)はともに14位につけており、2011年富士通レディース以来、通算6勝目の期待が膨らむ。また、藤田の過去最上位の賞金ランキングは2010年の10位。37歳になる今季がこれまでで最も成績の良いシーズンになる可能性もあるのだ。
昨季から続く好成績の要因としては、飛距離アップが挙げられる。元々飛距離が出る方ではあったが、ここへきてさらに飛距離が伸びてきているのだ。2017年のドライビングディスタンスは242.81ヤードで20位だったが、今季は249.56ヤードで4位につけている。
ギアの進化が続いているため40歳が近づいても“飛距離を落とさない”ことは可能だが、“飛距離を伸ばす”となると容易なことではない。藤田はなぜ飛距離を伸ばすことができたのだろうか。
腕の脱力と体からの始動
藤田はジュニア時代、通常女子ジュニアには重いとされるバットを使って素振りし、スイングを強化した。また、幼少期の水泳と陸上競技で育まれた基礎体力があったことで、ハードなトレーニングを自身に課すことができた。
結果、「体でクラブを振る」「体のエネルギーをクラブヘッドに伝える」スイングの習得に成功。それは始動に表れており、藤田のスイングは、体、手、クラブヘッドの順を追って動く。始動で時間差を作ることで、切り返しでも時間差を作りやすくなる。体、手、クラブが連動しやすく、クラブヘッドも加速しやすいスイングの流れを体で覚えたのだ。
歩く姿勢の改善
元々クラブを力強く振るパワーはあったが、体のケアやトレーニング指導をしているトレーナーから正しい姿勢で歩く指導を受けたことがさらなる飛距離アップにつながったようだ。
姿勢が改善されたことで長距離を歩く試合や練習ラウンドでも疲れにくくなり、質・量ともに、より高レベルの練習が可能になった。また、スイング時のアドレスにも良い影響を与えたようだ。
この歩く姿勢の改善は多くのゴルファーも参考にするべきポイントだ。デスクワークやスマホを見る時間が長くなると、姿勢が悪くなりやすい。悪い姿勢はゴルフスイングにも影響し、バランス良いアドレスをとることが難しくなる。無理に良いアドレスをとっても、体幹と四肢がしなやかに連動したスイングにはなりにくい。
猫背でも反り腰でもなく、体のアライメントが正しい姿勢での歩行を意識したい。飛距離ダウンを回避するために有効な一手となるだろう。
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