上げるべきか転がすべきか
グリーン周りからのアプローチでは、「ボールを上げるべきか?転がすべきか?」判断が難しい状況になることがよくある。そんな時は「転がし」を選択した方がよい。上げれば上げるほどトップやダフリのリスクが大きくなり、距離を合わせるのが難しくなるからだ。
ただし、ピンポジションやグリーンの傾斜には注意したい。グリーンの入り口からピンまでの距離が短い場合や、ピンに向かって下っている場合に「転がし」を選択すると、ピンをオーバーしてしまうことがあるからだ。
その場合はグリーンの手前でワンクッションさせ、ボールの勢いを消してからグリーンに乗るように打つ必要がある。ただ、キャリー(地面に落ちるまでの距離)が狙いより短いと、グリーンの手前で勢いがなくなりグリーンに乗らなかったり、グリーン手前を狙ったつもりが飛び過ぎてグリーンにキャリーしてしまうと、ピンを大きくオーバーしてしまったりする。
「転がすショット」はボールを上げる場合よりもリスクは小さいが、かなり神経を使うショットなのだ。
番手選び
グリーン周りからのアプローチで使用するクラブを、サンドウェッジ、もしくはアプローチウェッジに決めているゴルファーも多いだろう。
通常、そのようなロフト角が大きなクラブで「転がすショット」を打つ場合は、ボールを右足の前ぐらいに置き、ロフトを立てて打つことになる。しかし、このようなテクニックを使うと、クラブヘッドのリーディングエッジ(ソールのフェース側の角)が地面に刺さるように鋭角にボールに向かうため、大きなダフリをしやすい。
そのため、フェアウェイや浮いているラフから転がすなら、ピッチングウェッジや9番アイアンを使ってシンプルに打ちたい。ロフト角が小さいクラブならボール位置や打ち方で複雑なことをせず、普通に打っても転がすことができるため、強弱の調整だけすればよいからだ。
一方、ボールがラフに沈んでいる場合は、鋭角にクラブヘッドを当てていく必要があるため、右足寄りにボールを置くなど工夫したい。ただ、そうすると打ち出し角は低くなるため、ロフト角が小さいクラブでは、打ち出し角が低くなりすぎる可能性がある。その場合は、サンドウェッジなどのロフト角が大きなクラブを使うとよいだろう。
今平周吾の優勝を手繰り寄せたチップインバーディー
9月2日~5日に開催されたフジサンケイクラシックの最終日、今平周吾は7バーディーノーボギーでプレーし、逆転優勝を飾った。
最終日のバーディーラッシュを加速させたのが、パー4の5番ホール。今平自身も「一番外してはいけない場所」としていたグリーン右奥に2打目を外した。3打目は難しいアプローチショットとなったが、見事チップインバーディーを決め、一気に勢いに乗った。
このアプローチショットで選択したのが、グリーン手前でワンクッションさせ転がすショット。ボールがラフに沈んでいたこともあり、上げるショットは難しいと判断したようだ。使用クラブは60度のウェッジだった。
右足寄りにボールを置き、ロフトを立てて鋭角にインパクト。イメージよりも勢いが消されずにカップに向かっていったボールは、ピンに当たってカップインした。
リスクは小さいが練習は必要
グリーン周りからのアプローチでは、「ボールがフワッと上がるショット」の方がよさそうに思えるが、基本的には転がしを多めに使った方が大きなミスにつながりにくい。
ただ、グリーン手前でワンクッションさせるとなると、グリーンにキャリーさせる場合に比べて、より正確に狙った地点にボールをキャリーさせられる精度が求められる。また、(グリーン手前の)キャリー地点を見て、どの程度ボールの勢いが消されて、そこからどのようにボールが転がるか、といったイメージをより明確に持つ必要も出てくる。
そのため、コースのアプローチ練習場で練習する際は、グリーンにキャリーさせるだけでなく、色々な距離からグリーン手前にキャリーさせる練習もしておきたい。どの程度ボールの勢いが消えるか入念にチェックしておくことで、グリーン手前にワンクッションさせるショットの精度を上げることができるはずだ。
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