右へのスウェイ
ゴルフスイングは「体幹の水平回転」と「体幹の側屈(右側と左側の伸展、収縮)」をミックスした回転運動だ。アドレス時の前傾姿勢(前傾角度)のバランスを前後左右崩さずに体を回すと、再現性が高いスイングができる。
しかし、アドレスからテークバックにかけては、腰や頭が右にスウェイしてしまいやすい。その理由としては、クラブの遠心力に腰や頭が持っていかれてしまうことが挙げられる。
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ゴルフスイングは「体幹の水平回転」と「体幹の側屈(右側と左側の伸展、収縮)」をミックスした回転運動だ。アドレス時の前傾姿勢(前傾角度)のバランスを前後左右崩さずに体を回すと、再現性が高いスイングができる。
しかし、アドレスからテークバックにかけては、腰や頭が右にスウェイしてしまいやすい。その理由としては、クラブの遠心力に腰や頭が持っていかれてしまうことが挙げられる。
ゴルフスイングは遠心力や重力との戦いだ。ダウンスイングやインパクトよりも小さいものの、テークバックでも物理的な力がかかってくる。
テークバックではクラブは右方向へ動くため、右へ遠心力が生じる。よって、アドレス時のバランスを崩さずに体を回転するためには、この遠心力と拮抗する力、左方向への力が必要なのだ。
つまり、頭や腰の位置をアドレスから左にずらす力をかけながらテークバックすることで、頭や腰の右へのスウェイを防ぐことができる。
ゴルフスイングでよく耳にする「軸」はアドレス時からあるのではなく、動くことで初めて生まれる。そして、右方向と左方向の力が拮抗しながら体を回転することが、「軸回転」となるのだ。
7月1日から4日まで開催された資生堂レディスオープンでは、鈴木愛が優勝した。2019年11月の伊藤園レディス以来、ツアー通算17勝目となった。鈴木は元々テークバックで上体を大きく右に流すスイングだったが、改造によって右への流れを抑えることに成功。今回の優勝につなげた。
優勝を大きく手繰り寄せたのが、最終日のパー5の16番ホールでのイーグル。ピンまで100ヤードほどの3打目を直接カップインしてのものだった。
この時のショットでは、鈴木はフィニッシュで右手をクラブから離した。タイミングがずれて、イメージ通りのインパクトではなかったのだろう。しかし、結果はカップイン。
ここにテークバックでスウェイを抑えることの意味がある。タイミングがずれても、大きなミスにつながらないのだ。スウェイしても、タイミングが合えばイメージ通りのショットが打てるが、タイミングが合わなくなると、それが顕著に球筋に表れてしまう。
鈴木がスイング改造に踏み切った理由を「これまでのスイングでは3、4日間、良いショットが続かない」としていることからも、スウェイのリスクをはかり知ることができる。
スウェイしてもタイミングが合えばグッドショットになるが、ラウンド毎にタイミングを合わせ続けるのはツアー選手でも難しい。一般のゴルファーならなおのことだ。
ミスを最小限に抑えるために、テークバックの右へのスウェイの度合いは最小限に抑えた方が良い。スウェイしているゴルファーがスウェイを抑えた場合、最初はスイングしにくく感じるかもしれない。だが、次第にタイミングが取れてきて、ミスの幅が狭まることを実感できるはずだ。
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