羽生結弦を五輪2連覇に導いたオーサー氏
フィギュアスケート女子のエースで全日本選手権を2連覇している19歳の紀平梨花(トヨタ自動車)が、2022年2月の北京冬季五輪を約5カ月後に控えてカナダのトロントに練習拠点を移し、男子の羽生結弦(ANA)を冬季五輪2連覇に導いた名伯楽、ブライアン・オーサー氏に師事することになった。
2010年バンクーバー冬季五輪金メダルの金姸児(韓国)や2018年平昌冬季五輪銅メダルのハビエル・フェルナンデス(スペイン)らも育てた「チーム・ブライアン・オーサー」の下で再出発し、これまで指導を仰いだ浜田美栄氏からも引き続きサポートを受ける。
オーサー・チームはジャンプ指導に定評があるジスラン・ブリアン・コーチ、表現力を引き出すトレイシー・ウィルソン・コーチ、紀平が挑む今季のフリー「タイタニック」で振り付けを担当するデービッド・ウィルソン氏らで構成され、世界トップクラスの充実した環境の下、世界女王アンナ・シェルバコワやアレクサンドラ・トルソワらロシア勢との激しい勝負が予想される勝負の北京五輪シーズンに臨む。
過去3大会金メダリストをアシスト
紀平はマネジメント会社を通じ「多くのトップスケーターを輩出してきたブライアン・オーサー・コーチと彼のチームの指導の下、北京冬季五輪を目指すこととなり大変うれしく思います。また、練習場所となる「トロント・クリケットクラブ」は、素晴らしい施設を備えた、恵まれた環境なので、1日1日を大切に練習を積み重ねていきたいと思います」とコメントした。
1984年サラエボ、カナダ選手団の旗手を務めた1988年カルガリー両冬季五輪男子銀メダルのオーサー・コーチといえば、金メダル請負人とも呼ばれるカリスマ的な指導者。選手時代は当時最難関だった3回転半を巧みに操り「ミスター・トリプルアクセル」とも呼ばれた。
練習拠点となる1827年設立の会員制スポーツ施設「トロント・クリケットクラブ」は専用リンクやダンススタジオも備え、手厚い態勢が整うことでも知られている。2018年平昌五輪には「オーサー軍団」から5カ国5選手が出場。過去3大会金メダリストをアシストしている。
GPシリーズはスケートカナダとNHK杯
トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を代名詞とする紀平は2017年全日本ジュニア選手権で初優勝し、2018年グランプリ(GP)ファイナル、2019、2020年4大陸選手権優勝。2020年12月の全日本選手権ではフリーで高難度の4回転サルコーを初成功。昨季はスイスを拠点にステファン・ランビエル・コーチの下で新たな引き出しを増やしたが、2021年3月の世界選手権はフリーでミスも重なって7位にとどまった。
2021年4月の世界国別対抗戦では腰痛に苦しみ、オーサー氏の下で4回転ジャンプの精度やスケーティング技術など総合力を高めるために再出発を図る。
10月に始まる北京冬季五輪シーズンのグランプリ(GP)シリーズに向け、まずは第2戦のスケートカナダ(10月29~31日・バンクーバー)にエントリー。第4戦のNHK杯(11月12~14日・東京)にも出場を予定しており、真価が問われるシーズンがいよいよ始まる。
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