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宇野昌磨、北京冬季五輪へフリー「ボレロ」で4回転4種5本に挑戦

2021 9/12 06:00田村崇仁
宇野昌磨,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

「毎日毎日がいつも特別」

フィギュアスケート男子で2018年平昌冬季五輪銀メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)が9月1日、日本スケート連盟の公式YouTubeに登場し「今シーズンはオリンピックシーズンということで、特別なシーズンと注目されることも多いと思いますが、僕は毎日毎日がいつも特別で、目の前の試合に全力を注いで1年通して自分を成長させられたらなと思っています」と新たな決意を語った。

過去2年に優秀選手賞を受賞した選手の表彰祝賀会が新型コロナウイルスの影響で開催断念となったことで公開されたものだが、特別なシーズンへの意気込みが伝わってくる言葉だった。

23歳の宇野は8月26日、横浜市のコーセー新横浜スケートセンターでアイスショー「フレンズ・オン・アイス」の公開リハーサルに参加し、北京五輪シーズンとなる今季はフリー「ボレロ」にフリップ、ループ、サルコー、トーループの4種類計5本の4回転を組み込む超高難度の構想を明らかにしている。

4回転の4種類5本挑戦は2017年9月にイタリアのベルガモで行われたロンバルディア杯のフリーで、5度の4回転ジャンプを全て成功させた経験がある。曲は「トゥーランドット」。自身4種類目の4回転となるサルコーも実戦初挑戦で成功し、当時自己ベストの合計319.84点で優勝している。

昨季フリーの4回転はフリップ、サルコー、トーループの3種類4本だったが、過去に試合で成功したことがあるループを再投入する計画だ。

SPは「オーボエ協奏曲」が候補に

今季のショートプログラム(SP)は未定だが、4回転はフリップ、トーループの2本を予定。公開リハーサルでは候補として「オーボエ協奏曲」を演じ、荘厳な音楽に合わせて4回転トーループを着氷した。

「オーボエ協奏曲」は昨季のエキシビション曲。SPはマイケル・ジャクソンのナンバー「アース・ソング/ヒストリー」も検討中という。

昨季まではSPはシェイリン・ボーンさんが振り付けた「グレート・スピリット」だった。

今季はスケートアメリカとNHK杯に出場

昨シーズンは最終戦となった4月の世界国別対抗戦の男子フリーで冒頭から高難度のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)―4回転トーループに挑戦。惜しくも着氷できなかったが、大技の2連続ジャンプに果敢に挑戦したことは、次のステップへとつながる道になったのは間違いない。

5歳から師事した山田満知子、樋口美穂子両コーチの下を離れ、指導者不在で迎えた2019年は11月上旬のグランプリ(GP)シリーズのフランス杯で8位に終わるなど不振に陥った。

コーチ不在の事態に陥って苦しんだ時期もあったが、自ら「冒険」に挑んだからこそ、新たな学びがあり、元世界選手権王者のステファン・ランビエルコーチとの出会いも生まれた。そんな苦境を乗り越え、救世主となったランビエル・コーチとの「絆」は着実に深まっているようだ。

今季の宇野はGPシリーズで第1戦のスケートアメリカ(10月22~24日・ラスベガス)と第4戦のNHK杯(11月12~14日・東京)に出場予定。フリーで演じる不朽の名作「ボレロ」の振り付けはランビエル氏が務めるという。SPも含めて「二人三脚の挑戦」が北京でどんな化学反応を起こすか。勝負のシーズンがいよいよ始まる。

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