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井上尚弥の3団体統一なるか?カシメロは危険な相手

2020 3/8 11:00近藤広貴
井上尚弥(左)とジョンリエル・カシメロⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

4月25日、ラスベガスで井上尚弥VSジョンリエル・カシメロ

ワールド・スーパー・ボクシング・シリーズ(WBSS)バンタム級で優勝したWBAスーパー・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥は4月25日、ラスベガスのマンダレイベイ・イベントセンターでWBO世界バンタム級王者ジョンリエル・カシメロと三団体統一戦を行う。

フライ級、スーパーフライ級、バンタム級の3階級制覇を達成し、WBSS優勝した井上は、米国のボクシング専門誌「ザ・リング」でパウンド・フォー・パウンド(階級無視のランキング)3位にランクされるなど、世界中の注目を集めるボクサーとなった。

対するジョンリエル・カシメロはフィリピン出身で、井上と同じくライトフライ級、フライ級、バンタム級の3階級制覇を成し遂げている。現在はマニー・パッキャオのプロモートを受け、世界の第一線で結果を出している30歳だ。

ボクシングの本場ラスベガスで行われる一戦は、井上とカシメロ、どちらが有利なのだろうか?

「モンスター」井上尚弥の強みと弱点

井上尚弥は身長165㎝、リーチ171㎝。これまで19戦19勝16KOをマークしており、勝率100%、KO率84%というパーフェクトな戦績を残している。直近の試合でもファン・カルロス・パヤノに1ラウンド1分10秒KO勝ち、エマニエル・ロドリゲスに2ラウンド1分19秒TKO勝ちを収めており、世界王者クラスの選手相手に2試合合わせても3分29秒で勝利を決めている。WBSS決勝でも難攻不落のノニト・ドネアから11回にボディーでダウンを奪うなど井上の攻撃力は突出している。

また、ディフェンスに関しては、ラウンド平均被弾率が21.3%と低く、相手のパンチをおおよそ5発に1発しかもらわない計算。この平均被弾率は世界レベルの選手の中でも低く、井上にパンチを当てることは容易ではない。

ただ、前々戦のロドリゲス戦の1ラウンドに攻め込まれパンチをもらった場面や、前戦のドネア戦で右目上をカットした2ラウンドの左フック、9ラウンドに腰が落ちた右カウンターなど、時折ビックパンチを被弾する点は気になるところだ。

カシメロのパンチ力は脅威

一方のカシメロは身長163㎝、リーチ162㎝。戦績は33戦29勝(20KO)4敗と勝率、KO率とも井上に劣るとはいえ、軽量級にしては高いKO率を誇りパンチ力の強さがうかがえる。

カシメロは好戦的な戦いを望み、遠くから一気に踏み込んで右ストレートや大振りのフックを打ち込む。井岡一翔に完封勝ちしたディフェンスの持ち主であるアムナット・ルエンロンや世界戦最短KO記録を持つゾラニ・テテなど世界の名だたる相手にも早い回でKO勝ちを収めた実績もある。

これまで負けた4試合のうちKO負けは1度のみであり、決して打たれ弱い訳ではない。負けた4試合を振りかえると、身長やリーチ差からくる距離感の違いによってポイントアウトされた敗北。この点からは身長で2㎝、リーチで9㎝上回る井上の有利と見る。

攻撃力は互角でも、体格面やディフェンス面も含めた総合力で井上尚弥の優位は動かない。しかしながら、破壊力のあるカシメロの一発が当たれば、番狂わせがあってもおかしくはない。

2020年4月25日、聖地ラスベガスで行われる世紀の一戦はKO必至の、一瞬たりとも目が離せない試合になりそうだ。