12人の日本人王者のうち7人が初防衛戦で敗戦
プロボクシングで史上2人目の2階級4団体統一を果たした井上尚弥(31=大橋)は、日本で12人目の世界スーパーバンタム級王者。55.34キロがリミットの同級世界王者を団体別に時系列に並べたのが下の表だ。
改めて振り返ってみると個性派の王者が多いが、意外なほど防衛回数が少ない。11人のうち初防衛戦で敗れて無冠となったのはロイヤル小林、畑中清詞、佐藤修、李冽理、下田昭文、小國以載、久保隼の7人もいるのだ。
長谷川穂積はウーゴ・ルイス(メキシコ)と真正面から打ち合ってバンタム級、フェザー級に続く3階級制覇を果たし、防衛戦を行わずに引退。2018年にWBC暫定王座を奪った亀田和毅は次戦で正規王者レイ・バルガス(メキシコ)に判定負けした。
岩佐亮佑は2019年12月のIBF暫定王座決定戦で、現WBA・IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)を11回TKOで破って2度目の戴冠となった際はコロナ禍で防衛戦を行えず、2021年4月にムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との統一戦で敗れている。いずれにしても防衛回数は「0」だ。
これは単なる偶然ではないだろう。最軽量のミニマム級やライトフライ級、フライ級などに比べると、スーパーバンタム級はアジアだけでなく中南米選手の層が厚い。畑中清詞が初防衛戦で敗れたダニエル・サラゴサは、あの辰吉丈一郎を2度も破ったメキシコの名王者。久保隼が初防衛戦で敗れたダニエル・ローマン(アメリカ)は4度防衛した。
バンタム級とフェザー級という人気階級に挟まれているが、過去にはロイヤル小林も倒された17連続KO防衛のウイルフレド・ゴメス(プエルトリコ)、3階級制覇のジェフ・フェネック(オーストラリア)、IBF王座を13度防衛したブヤニ・ブング(南アフリカ)、6階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)、4階級制覇のエリック・モラレス(メキシコ)、3階級制覇のマルコ・アントニオ・バレラ(メキシコ)、5階級制覇のノニト・ドネア(フィリピン)、シドニー、アテネ五輪金メダルからプロでも2階級制覇したギジェルモ・リゴンドウ(キューバ)ら世界的な強豪がスーパーバンタム級で戦っている。