4月8日にWBO王者ゴンサレスと統一戦
那須川天心(24=帝拳)のボクシングデビュー戦が行われる4月8日の東京・有明アリーナの同じリングで、WBAスーパー・WBCライトフライ級統一王者・寺地拳四朗(31=B.M.B)が3団体統一戦に臨む。
相手はWBO同級王者ジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)。2019年8月に当時WBOフライ級王者だった田中恒成に挑戦して7回TKO負けし、2021年10月にエルウィン・ソトに判定勝ちでWBOライトフライ級王座を獲得した。
2022年11月には、寺地拳四朗が京口紘人と戦った2団体統一戦の前座で岩田翔吉に判定勝ちして2度目の防衛を果たしている。戦績は27勝(14KO)3敗1分1無効試合。サウスポーのテクニシャンだが、身長157センチで寺地より約7センチ低く、田中戦はボディーブローでダウンしている。順当なら寺地の3団体統一が濃厚だ。
寺地は13日の会見で「(ゴンサレスは)引き出しの多い選手。足を使うときは使って、(前に)行くときは行く。その隙をいかに見つけられるか。引き出しの数で勝つのが重要」と技術戦を予告した。
ゴンサレスがビデオメッセージで「俺の予想は判定決着だ。日本なら公平なジャッジになるだろう。何をすれば勝てるか分かっている」とフルラウンドの戦いを想定していることを明かすと「判定の可能性もあるけど、どっかで倒せる自信がある。KO決着になると思う」と強気に言い切った。
井上尚弥の4団体統一に刺激を受けたことを認め、「僕も今年中に4団体獲りたい」と今回は通過点であることを強調。3団体統一でも井上に続いて日本選手2人目の快挙だが、あくまで目標は4団体統一だ。
父・永会長は元日本ミドル級&東洋太平洋ライトヘビー級王者
井上尚弥と拓真が幼い頃から父・真吾トレーナーの指導を受けていたことは知られているが、実は寺地も「父子鷹」だ。
所属するB.M.Bジムを経営する父・寺地永(ひさし)会長は、かつて日本ミドル級と東洋太平洋ライトヘビー級のタイトルを奪った元王者。立命館大学ボクシング部出身で、商社マンからプロに転身したボクサーとして人気も高かった。
身長189センチあり、日本では最も重い階級だけにスパーリングの相手を探すのもひと苦労。東洋太平洋王座を4度防衛しながらも世界挑戦の機会は訪れず、37歳で引退した。
戦績は20勝(11KO)1敗3分け。唯一の黒星は1992年2月、後に世界王者となる竹原慎二の持っていた日本ミドル級王座に挑戦し、2回KOで敗れた一戦だ。世界挑戦して敗れたなら諦めもつくだろうが、世界戦のリングに立つことなくグローブを吊るした無念さは想像に難くない。
息子に拳四朗と名付けたのは「北斗の拳」の主人公にあやかったとされているが、「拳」の文字には自らの夢を託したい思いを込めたのかも知れない。
テクニックを再評価されている拳四朗
父と違って身長はそれほど伸びなかった拳四朗だが、ボクシングのスキルはぐんぐん伸びた。関西大学時代は国体で優勝するなどアマチュアでキャリアを積み、父のジムからプロ転向。2017年5月に奪ったWBCライトフライ級王座は8度も防衛し、矢吹正道に一度はベルトを奪われたが、再戦で3回KO勝ちして奪回した。
それまでは距離を取る戦いぶりが地味な印象を与えるため、テクニックは一級品にもかかわらず井上尚弥や村田諒太らの前座でリングに上がることがほとんど。テレビでは生中継されず、短いハイライト映像が録画で流されるだけだった。
しかし、コロナ禍とテレビ局の体力低下に伴い、動画配信が主流になった今では完全生中継が増加。目の肥えたファンに寺地のテクニックは改めて評価されている。2022年11月にWBAスーパー王者・京口紘人を7回TKOで破った一戦は見応え十分のファイトだった。
最近の充実ぶりならKOで3団体統一も十分に期待できる。順当にWBO王座も獲れば、残るはターゲットはIBF王者シベナティ・ノンティンガ(24=南アフリカ)のみ。本人が希望する年内の4団体統一も現実味を帯びてくる。
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