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チーム最下位の楽天で“光る若手野手”田中と内田

2019 1/26 15:00勝田聡
田中和基,Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

光る若手、田中和基と内田靖人

2017年は3位だったが、2018年は開幕から低迷した楽天。6月半ばには、成績不振の責任を取る形で梨田昌孝監督が辞任する事態となった。平石洋介監督代行がチームを率い立て直しを図ったが、巻き返すことはできずリーグ最下位に終わっている。

特に打線がつながらなかった2018年のチーム得点は520、そして打率が.241と、ともにリーグ最下位。勝負事に「たられば」は禁物だが、チーム防御率3.78はリーグ3位だっただけに、打撃陣の奮起があれば違った結果になっていたのかもしれない。

しかし、打撃陣にも希望の光はあった。大卒2年目の田中和基が6月半ばあたりから「1番・中堅」に定着し、規定打席に到達。打率.265(423打数112安打)、18本塁打、21盗塁の結果を残し、パ・リーグ新人王に輝いた。出塁率.323は1番打者として物足りないが、大卒2年目でレギュラーとしては1年目ということを考えれば、上々の数字と言っていいだろう。この活躍が稲葉篤紀監督の目に止まり、11月に行われた日米野球では日本代表にも選ばれている。ここでの経験も田中にとって大きな財産となったはずだ。

高卒5年目の内田靖人も殻を破りつつある。2013年ドラフト2位で常総学院高から楽天へ入団。高校時代の捕手からプロ入り後に内野手へ転向したものの思うように結果はついてこず、4年目まではわずか24試合の出場に留まっていた。

ところが、2018年シーズンは自己最多の58試合に出場し、12本塁打を放った。打率こそ.198とまだまだ改善の余地はあるが、12本塁打はチーム内の日本人では田中に次いで2位。大砲候補が覚醒の兆しを見せたと言っていいだろう。

ライバル多い内・外野

田中のポジションは中堅を主とした外野で、一方の内田は一塁と三塁。内外野に若手が登場したような状態だが、両選手ともレギュラーが約束されている訳ではない。

このオフ、ドラフト1位で獲得した辰巳涼介(立命館大)のポジションは中堅。走攻守揃った外野手として期待されており、ハズレ1位とはいえ4球団が競合した逸材である。その他にも両翼を守ることのできる島内宏明、4年目を迎えるオコエ瑠偉、そして新外国人選手のジャバリ・ブラッシュが加わった。

さらに秋季練習のため、本来は内野手である茂木栄五郎や銀次も外野の守備位置に。よって、外野は激戦区となっている。新人王を受賞したとはいえ、再び競争を勝ち抜かなければ、試合に出ることはできない。

内田も同様で、一塁と三塁にはゼラス・ウィーラーと今江年晶、そして銀次と実績ある選手が多くおり、攻守ともに先輩たちを追い越すことが求められる。期待の大砲候補とはいえ、育成のために無条件で試合に出れるほど甘くはない。

もちろん、ブラッシュやウィーラーといった外国人選手やベテラン選手たちは、指名打者で出場する可能性もある。それでも内外野が激戦であることには変わりない。

楽天はこのオフに多くの選手を入れ替え、大型補強として浅村栄斗やブラッシュ、アラン・ブニセッツを獲得した。そこに注目が集まりがちではあるが、生え抜きの若手野手も育ちつつある。実績のある浅村やブラッシュに加え、若い選手が絡み合うことで上位浮上を狙いたいところだ。

※数字は2018年シーズン終了時点

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