中京芝1400mで2日連続重賞開催
今週末は中京芝1400mで2日連続の重賞開催が控えている。土曜は3歳スピードスターの登竜門・ファルコンS(GⅢ)、日曜は京都牝馬Sからの名称変更という形で短距離重賞に生まれ変わった愛知杯(GⅢ)が行われる。
1400m戦といえば、スペシャリストが生まれやすい条件だ。1200mでは追走に手間取るが、マイルではやや距離が長い、といった馬が活躍しやすい。現役馬では阪神Cや阪急杯、京王杯スプリングCといった1400mの重賞で計3勝を挙げながら、1200mのスプリンターズSでは2着、1600mのマイルCSでは3着とGⅠタイトルにはあと一歩手が届いていないウインマーベルがその筆頭といえる。
ということで、今回はそんな「1400m巧者」を狙い撃つべく、ここでは「芝1400mに強い騎手、種牡馬、調教師」を徹底検証!各章の最後には中京芝1400mについても触れているので、ぜひ週末の2重賞の予想にも役立てて欲しい。なお、参考にするデータは2020年3月22日〜2025年3月16日の直近5年分とした。
芝1400mに強い騎手

<芝1400mに強い騎手>
松山弘平【34-28-17-193】
勝率12.5%/連対率22.8%/複勝率29.0%/単回収率114%/複回収率81%
岩田望来【33-40-30-192】
勝率11.2%/連対率24.7%/複勝率34.9%/単回収率126%/複回収率104%
田辺裕信【14-18-23-107】
勝率8.6%/連対率 19.8%/複勝率34.0%/単回収率130%/複回収率97%
※集計期間:2020年3月22日〜2025年3月16日
この章では「芝1400mに強い騎手」と題して、回収率が100%を超えている騎手を3人ピックアップした。
■松山弘平
まず取り上げるのは松山弘平騎手。第一章で取り上げたウインマーベルとのコンビが印象的だ。
特徴としては大舞台に強く、GⅡでは【4-1-0-8】で単回収率347%、複回収率126%をマーク。ウインマーベルだけでなく、ダノンマッキンリーとのコンビでもスワンS(GⅡ)を制している。
また、全34勝中27勝を逃げ先行で挙げており、狙い目は前につけられる馬。前走4角4番手以内の馬に騎乗した際は【11-12-9-62】勝率11.7%、単回収率203%と妙味たっぷりだ。
■岩田望来
次に取り上げるのは岩田望来騎手。思い返せば、記念すべきJRA重賞初勝利もロータスランドと挑んだ芝1400mの京都牝馬Sであった。
こちらは下級条件での信頼度が高いのが特徴で、未勝利戦で【6-11-10-45】で複勝率37.5%、複回収率118%を記録。1勝クラス戦では【10-3-4-40】で勝率17.5%、単回収率302%となっている。
加えて、全33勝のうち24勝が前走からの乗り替わりに該当しているのも特徴。【24-22-13-121】勝率13.3%、単回収率186%と乗り替わりでの一発回答が多く狙い目だ。
■田辺裕信
続いて田辺裕信騎手も、芝1400m戦の単回収率は130%とプラス域にある。
なかでも狙い目は東京芝1400mで、【12-13-20-84】複勝率34.9%と信頼度は十分。単回収率152%、複回収率95%と妙味の面でも非常に優秀といえる。
ただし、重賞に関しては【0-1-0-10】で複勝率9.1%、複回収率30%と数値を落としており、大舞台ではやや狙いにくい。
最後に、今週末に重賞が開催される中京芝1400mを得意としている騎手は以下の通り。
坂井瑠星騎手【10-1-6-33】勝率20.0%、単回収率103%
岩田望来騎手【9-14-2-52】勝率11.7%、単回収率131%
吉田隼人騎手【9-3-4-39】勝率16.4%、単回収率122%
この中でファルコンSに騎乗するのが岩田望来騎手(ヤンキーバローズ)と吉田隼人騎手(バニーラビット)の2名。愛知杯はいずれの騎手も騎乗予定がない。
芝1400mに強い種牡馬

<芝1400mに強い種牡馬>
モーリス【42-27-31-288】
勝率10.8%/連対率17.8%/複勝率25.8%/単回収率115%/複回収率80%
イスラボニータ【21-15-22-131】
勝率11.1%/連対率19.0%/複勝率30.7%/単回収率121%/複回収率79%
ジャスタウェイ【13-8-15-138】
勝率7.5%/連対率12.1%/複勝率20.7%/単回収率109%/複回収率76%
※集計期間:2020年3月22日〜2025年3月16日
続いてこの章では「芝1400mに強い種牡馬」と題して、回収率が100%を超えている種牡馬を3頭紹介する。
■モーリス
まずはモーリス。芝1400m全体の単回収率も115%と素晴らしいが、特に新潟芝1400mで【8-4-1-39】勝率15.4%、単回収率326%と破壊力たっぷりの成績を残している。
また、間隔を詰めて使った時に成績が向上する傾向にあり、前走から中1週以下での出走だと【4-3-2-16】で単回収率347%、複回収率120%となる。
■イスラボニータ
次に紹介するのはイスラボニータ。こちらは新馬戦に滅法強く、【5-2-5-14】勝率19.2%、単回収率387%と見かけたら即買いレベルの好成績だ。
コースの狙い目は左回りの新潟と東京。新潟芝1400mは【4-1-5-13】勝率17.4%、単回収率270%を記録しており、東京芝1400mでは【10-8-5-41】勝率15.6%、単回収率161%といずれも単回収率が100%を超えている。
■ジャスタウェイ
続いてジャスタウェイは短距離のイメージがあまりないが、芝1400mの単回収率は109%とプラス域にある。
特に狙い目となるのが継続して1400mを使われた馬。前走も同距離だと【9-2-4-41】勝率16.1%、単回収率181%と非常に優秀だ。また、晩成型の産駒が多いのも特徴で、年齢では4歳以上が【7-2-4-66】単回収率139%のプラス域となっている。
最後に、種牡馬の中京芝1400m巧者は以下の通り。
ロードカナロア【13-11-6-99】勝率10.1%、単回収率133%
モーリス【11-5-7-66】勝率12.4%、単回収率133%
ハーツクライ【4-5-0-30】勝率10.3%、単回収率117%
週末重賞の出走馬を見ると、ファルコンSではタイセイカレントがモーリス産駒で唯一該当。愛知杯はグランテストとナナオの2頭がロードカナロア産駒、ベガリスとモリノドリームがモーリス産駒である。
芝1400mに強い調教師

<芝1400mに強い調教師>
杉山晴紀【23-13-8-67】
勝率20.7%/連対率32.4%/複勝率39.6%/単回収率151%/複回収率102%
藤原英昭【19-8-13-96】
勝率14.0%/連対率19.9%/複勝率29.4%/単回収率125%/複回収率115%
斉藤崇史【17-12-9-77】
勝率14.8%/連対率25.2%/複勝率33.0%/単回収率107%/複回収率101%
※集計期間:2020年3月22日〜2025年3月16日
ここでは「芝1400mに強い調教師」に注目。同様に回収率の観点から3人をピックアップした。
■杉山晴紀
まず取り上げたいのが杉山晴紀調教師だ。
芝1400m全体で見ても、単複の回収率はともに100%オーバー。どの競馬場でも狙えるが、特に狙い目なのが東京芝1400mで【6-5-2-9】勝率27.3%、単回収率361%と素晴らしい成績を残している。
また、距離では継続して1400mを使ってきた馬が狙い目。前走も同距離を走っていた馬は【15-7-3-24】で勝率30.6%に複勝率51.0%、回収率も単が244%で複も139%と高水準だ。
■藤原英昭
続いては藤原英昭調教師。こちらも芝1400m全体で単回収率125%、複回収率115%と素晴らしい成績を誇る。
こちらは京都、阪神、中京といった西日本の競馬場が狙い目で、その成績は【17-7-11-66】勝率16.8%、単回収率157%とプラス域。一方、東日本では【2-1-2-30】勝率5.7%、単回収率33%と伸び悩んでいる。
■斉藤崇史
最後に斉藤崇史調教師も触れておきたい。こちらは前走から距離延長の馬が結果を残しており、該当馬は【4-2-2-17】で勝率16.0%、単回収率は184%を記録している。
また、コースでは阪神芝1400mを得意としており、こちらは【6-5-6-20】複勝率45.9%、複回収率124%をマーク。複系馬券の軸にはピッタリだ。
最後に、中京芝1400mに強い調教師は以下の通り。
須貝尚介【9-6-4-28】勝率19.1%、単回収率142%
清水久詞【9-4-3-41】勝率15.8%、単回収率154%
藤岡健一【8-1-2-20】勝率25.8%、単回収率301%
なお、ファルコンSには上述した厩舎からの出走はなし。愛知杯には藤岡健一厩舎のエトヴプレ、清水久詞厩舎のオードリーバローズが出走を予定している。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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