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球界の常識を覆す 細川成也は筒香嘉智の後釜となるか

2019 1/23 11:00勝田聡
バッター,ⒸShutterstock.com

筒香がMLB挑戦も視野に

「日本の4番」と言っても過言ではない筒香嘉智(DeNA)を日本で見ることができるのは、今年限りかもしれない。早ければ、2019年シーズンオフにポスティング制度を利用して海を渡り、MLBへと挑戦するかもしれないからだ。

昨年末に行われた契約更改の席で筒香は、球団に対しポスティングシステムでのMLB移籍の容認を求めた。それについては、直後に行われた記者会見でも明らかにしている。もちろん、ポスティングの権利は選手のものではなく、球団のものである。また、今年はDeNAの選手として優勝、そして日本一を目指す立場ということも理解した上での発言だった。

現時点で、筒香のポスティングに対し態度を明らかにしてない球団側。しかし、現場を預かるアレックス・ラミレス監督は、「筒香の後釜」を育成していくことをはっきり明言している。その筆頭候補となっているのが、今年高卒3年目のシーズンを迎える細川成也だ。

華々しいデビューを飾った1年目

細川は2016年ドラフト5位で明秀学園日立高からDeNAへと入団する。即戦力というわけではなく大砲「候補」としての指名、また高卒ルーキーということもあり、開幕は二軍スタートだった。

その二軍では多くのチャンスを与えられた。チーム最多となる114試合に出場し、435打席で打率.201(388打数78安打)、10本塁打、33打点の成績を残している。435打席、10本塁打はともにチーム最多。チーム2位の出番を与えられた同期入団である松尾大河(ドラフト3位)が353打席となっており、82打席もの差がついていることからも、首脳陣の細川に対する期待が大きかったことはよく分かるはずだ。

そしてシーズン最終盤に一軍へと昇格する。早速「5番・右翼」でスタメン出場を果たし、迎えた一軍での初打席。初スイングから放たれた打球はセンター方向に一直線で、横浜スタジアムのバックスクリーンに直撃する本塁打となった。高卒新人による初打席の初本塁打は、前身球団含みDeNA史上初の快挙となった。

さらに、その翌日も本塁打を放った細川。高卒新人によるデビューからの2戦連発は、ドラフト制以降初の快挙であった。

球界の常識を覆し、細川は4番に育つか

2018年には2年目ということもあり、春季キャンプから期待されていた細川。そこで、右翼のレギュラー候補として実績のある梶谷隆幸と細川の名前を挙げたラミレス監督。梶谷は、前年(2017年)に12球団で唯一「20本塁打・20盗塁」を達成した実力者である。本来ならレギュラー確約でもおかしくない梶谷と、まだ実績がない細川をあえて競わせようとしたのだ。

細川にとっては大きなチャンスとなったが結果が伴わず、一軍キャンプに帯同したものの2月末には二軍へ降格してしまい、2年連続での開幕二軍スタートとなってしまう。

細川のように、ドラフト下位指名で高卒2年目の選手が開幕二軍スタートをすることは、決して珍しいことではなく、むしろ当たり前のことなのだが、期待していたファンにとっては残念な結果となってしまった。

2018年は一軍で11試合に出場したものの、打率.222(18打数4安打)、1本塁打、2打点と、それほど良い成績を残せていない。一方、二軍では81試合、打率.231(286打数66安打)、8本塁打、29打点と、高卒2年目としては上出来といえる。だがやはり、1年目の数字から見ると少し物足りなく感じる。

そして、このような結果にもかかわらず筒香の後釜に細川を指名しているラミレス監督。パワーはもちろん、三振を恐れないフルスイングと何より一発の魅力を持つ細川に、長距離砲の資質を見いだしているのだろうか。

かつて、野村克也(元・楽天監督)は「エースと4番は育てられない」「外国人選手やドラフト1位を含む上位指名の中から連れてくるしかない」と語っていた。確かに筒香はドラフト1位の選手で、近年結果を残している長距離砲の山田哲人(ヤクルト)や柳田悠岐(ソフトバンク)、山川穂高(西武)に中村剛也(西武)と、皆ドラフト上位指名選手だ。

はたして、細川は下位指名から長距離砲、そして「筒香の後釜」として育つのだろうか。3年目の2019年シーズンに注目したい。

※成績は2018年シーズン終了時点

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