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大型補強失敗のソフトバンク 既存戦力とルーキーで3連覇なるか

2019 1/1 11:00勝田聡
ヤフオクドーム,Ⓒゲッティイメージズ
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リーグ2位も日本シリーズに進出し日本一連覇達成

2連覇を目指して昨シーズンに臨んだソフトバンクは序盤からアクシデントが続いた。ベテラン左腕の和田毅、セットアッパーの岩嵜翔、絶対的守護神のデニス・サファテと3人の軸を呼称で欠いてしまう。その影響もあったのか、前半戦は勝ち越しているものの西武、日本ハムにつづく3位と「らしくない」戦いぶりだった。そして7月は6勝11敗1分と負け越し。一時的に4位になってしまう。

しかし、ここからの巻き返しがすごかった。8月は18勝6敗、9・10月は21勝10敗と驚異的なペースで勝ち進み、日本ハムをかわし2位でフィニッシュ。クライマックスシリーズでは日本ハム、西武を倒し日本シリーズへと駒を進めたのである。日本シリーズでも「甲斐キャノン」で一躍有名になった甲斐拓也の活躍などで広島を倒し2年連続日本一を達成している。

ソフトバンク成績表

ⒸSPAIA

その快進撃を支えたのは柳田悠岐を中心とした破壊力のある打線だ。打率.266、685得点は西武に次ぐリーグ2位だった。しかし202本塁打は西武に6本の差をつけ、リーグ首位。柳田(36本)、松田宣浩(32本)、アルフレド・デスパイネ(29本)、上林誠知(22本)と4人が20本以上をマークし、どこからでも本塁打が狙える驚異的な打線となったのである。

また、若手の成長、代役の選手による活躍もあった。レギュラー不在だった二塁に牧原大成が収まり、デスパイネが戦列を離れた際には、ユリスベル・グラシアルが穴を埋めている。

一方の投手陣は故障者が多く苦しんだ。千賀滉大、武田翔太、東浜巨といった本来であればローテーションを守らなければならない投手たちも離脱期間があり、規定投球回に到達しなかった。今シーズン、規定投球回到達者はなんと「0」。岩嵜、サファテを欠いた中継ぎ陣、そして途中から一軍に合流した新星たちの活躍で勝利を手繰り寄せた。

中継ぎ陣では代役の守護神となった森唯斗、そして加治屋蓮、嘉弥真新也に先発・中継ぎと両方の役割を担った石川柊太。先発ではアリエル・ミランダ、大竹耕太郎らが踏ん張り、全員で故障者の穴を埋めた形だった。

浅村、西は獲得できず、大型補強に失敗

連覇を果たしたソフトバンクだが、ペナントレースでは2位に終わっているため、オフは大型補強を敢行するつもりで動いていた。FA市場に出てきた浅村栄斗(西武→楽天)や西勇輝(オリックス→阪神)の獲得に名乗りを挙げる。しかし、両選手とも獲得できず、大きな補強はできなかった。新外国人選手も現時点では獲得していない。保留者名簿から外れたグラシアルと再契約が濃厚になったのみだ。

3位の日本ハム、最下位に沈んだ楽天が着々と補強を進めるなか、ソフトバンクは既存戦力の上積みで勝利を目指すことになりそうだ。

しかし、ドラフトでは即戦力候補となりそうな選手を多く獲得した。1位では小園海斗(報徳学園高→広島)、辰巳涼介(立命館大→楽天)と2度抽選を外したが甲斐野央(東洋大)を獲得。最速159キロを誇り即戦力の中継ぎとしての起用が見込まれる。

また2位では社会人の投手から杉山一樹(三菱重工広島)を獲得。こちらも即戦力のローテーション候補として、期待がかかる。3位では清宮幸太郎(日本ハム)の後輩でもある野村大樹(早実)を指名。松田の後継者として三塁を守れる高校生を獲得した。

4位以下では板東湧梧(JR東日本/4位)、泉圭輔(金沢星稜大/6位)、奥村政稔(三菱日立PS横浜/7位)と3人の大学生、社会人出身の投手を獲得する。投手陣の強化を中心に考えたドラフトだった。5位では唯一の外野手となる水谷瞬(石見智翠館高)を指名している。

近年は高校生を多く指名していたソフトバンクだったが、このドラフトで高校生は2名のみとなった。なお、育成では4名の選手を指名している。

大型補強に失敗したソフトバンクは既存戦力にドラフトで獲得した新人を加えることで、リーグ制覇そして日本シリーズ3連覇を果たすことができるだろうか。工藤公康監督の手腕に注目が集まる。