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主力流出で若手台頭が急務のオリックス 野手・投手の年齢別成績を分析

2019 1/2 07:00SPAIA編集部
オリックス,2018年,年齢別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ベテランの退団が相次いだオリックスの「年齢別成績」

4年連続Bクラスとなったオリックス。このオフは中堅からベテランの主力に退団が相次ぎ、大きな転換点を迎えている。順位を上げるには、若手の成長が不可欠という状況だが、今年のチームはどのような年齢構成で成り立っていただろうか。

オリックス,2018年,年齢別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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近年のプロ野球選手の平均引退年齢は29歳前後となっている。若手・中堅・ベテランをどこで区切るかはスポーツによって異なってくるが、プロ野球の場合は29歳がひとつの分岐点といえそうだ。

そこで、29歳未満・以降を大きなくくりで「若手」と「ベテラン」に分けて考えてみる。さらにそれぞれを2つに区切って「23歳以下」「24歳~28歳」「29歳~33歳」「34歳以上」と4つの年齢層に区分(2018年シーズン一軍出場があった選手)。単純な出場機会だけでなく、各年齢層がどのくらいチーム成績に寄与していたのかインフォグラフィックで可視化してみた。

野手はT-岡田ら「29歳~33歳」が力を発揮できず

<主な野手>
■「23歳以下」
西浦 颯大(19)
西村 凌(22)
宗 佑磨(22)
若月 健矢(23)
吉田 雄人(23)

■「24歳~28歳」
武田 健吾(24)
大城 滉二(25)
山足 達也(25)
後藤 駿太(25)
吉田 正尚(25)
福田 周平(26)
伏見 寅威(28)
西野 真弘(28)

■「29歳~33歳」
小田 裕也(29)
安達 了一(30)
マレーロ(30)
ロメロ(30)
T-岡田(30)
宮﨑 祐樹(32)

■「34歳以上」
山崎 勝己(36)
中島 宏之(36)
小谷野 栄一(38)

オリックス,2018年,年齢別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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野手陣はリーグ5位のチーム打率.244、4位のチーム得点538。チームOPSは12球団ワースト。主軸に故障者が相次ぎ、なかなか打順を固定できない状況が続いた。

年齢層別成績を見ると、「24歳~28歳」が人数・打席数とともに最も割合が高く、各年齢層へバランスよく戦力が散らばっている。今季は貧打と言わざるを得ないチーム状況だった中、それもベテラン頼りの打線では立て直しに時間がかかるところだが、若いメンバーの出場機会はまずまずといったところだ。

「24歳~28歳」は控えメンバーが多いものの、打率.321・26本塁打・86打点でベストナイン外野手に輝いた吉田正尚が該当。3年目の大城滉二が428打席に立ち、ルーキーの福田周平も徐々に1・2番の二塁手スタメンに定着していった。「23歳以下」も宗佑磨が5本塁打を放つなど台頭している。

「29歳~33歳」は出場人数に対して打席数が多く、レギュラーが多く該当する年齢層だが、ここの選手たちが2018年シーズンは本来の力を発揮できなかった。T-岡田、マレーロ、ロメロの大砲と安達了一が打率2割台前半。ロメロは25本塁打をマークしたが、T-岡田とマレーロは故障でフルに働くことができず、長打力において大きなマイナスになった。

来季はここ数年の主軸打者であった「34歳以上」の中島宏之、小谷野栄一が退団。打棒復活が期待される「29歳~33歳」のT-岡田、安達らには、精神的支柱としての役割もますます重くなってくる。

金子・西退団の投手陣は「23歳以下」が充実

<主な投手>
■「23歳以下」
山本 由伸(20)
榊原 翼(20)
田嶋 大樹(22)
山岡 泰輔(23)

■「24歳~28歳」
澤田 圭佑(24)
黒木 優太(24)
小林 慶祐(26)
岩本 輝(26)
近藤 大亮(27)
山田 修義(27)
松葉 貴大(28)
西 勇輝(28)

■「29歳~33歳」
吉田 一将(29)
東明 大貴(29)
ローチ(29)
アルバース(33)

■「34歳以上」
増井 浩俊(34)
ディクソン(34)
金子 千尋(金子弌大)(35)
比嘉 幹貴(36)
岸田 護(37)

オリックス,2018年,年齢別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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このオフは長年エースとしてチームを引っ張ってきた金子千尋(金子弌大)、そこに次ぐ優秀な2番手投手だった西勇輝が移籍。今季は12球団トップの防御率3.69を記録し、非常に安定した働きをみせた投手陣もナンバーワン・ツーの退団で危機的状況を迎えている。

その金子と西を含めてのものだが、2018年シーズンの年齢別成績は各年齢層に均等に戦力が散らばる形になった。

年齢層別の防御率は「34歳以上」3.20、「29歳~33歳」3.62、「24歳~28歳」4.09、「23歳以下」3.77。金子のほか、FA加入したクローザーの増井浩俊や今季復活を果たしたリリーフの比嘉幹貴、外国人先発のディクソンら、人数としては少ない34歳以降のベテランが特に好成績を残していた。

その一方で、「23歳以下」の充実ぶりも光る。2年目の山岡泰輔は2017年シーズンより成績を落としたものの、ローテーション投手として最低限の仕事は果たした。高卒2年目の山本由伸は若きリリーフエースとしてリーグ2位の32ホールド。ドラフト1位ルーキーの田嶋大樹も6勝を挙げ、開幕直前に支配下登録を勝ち取った榊原翼も3試合に先発して好投している。「23歳以下」での防御率3点台は立派な数字だ。

野手との共通部分として、成長段階の若手がそれなりの出場機会は得ている。チームロゴも新しくなる来季、若手の躍進でオリックスは生まれ変わることができるだろうか。

(本文:青木スラッガー)