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【期待の若手選手たち】東京五輪のマウンドに立っている投手は誰だ!(後編)

2018 3/28 12:15Mimu
田口麗斗
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菅野・千賀に続く投手陣の軸になる選手は?

前半では、菅野智之や千賀滉大の選出が濃厚だと予想したが、彼らに続く投手陣をMLB組を除いて考えていかなければならない。先発した千賀と則本昂大を除き、この強化試合で登板した選手は、以下の10人となる。

1試合目

  • 今永昇太(横浜DeNAベイスターズ)
  • 東浜巨(福岡ソフトバンクホークス)
  • 田島慎二(中日ドラゴンズ)
  • 岩嵜翔(福岡ソフトバンクホークス)
  • 山崎康晃(横浜DeNAベイスターズ)

2試合目

  • 田口麗斗(読売ジャイアンツ)
  • 堀瑞輝(北海道日本ハムファイターズ)
  • 高梨雄平(東北楽天ゴールデンイーグルス)
  • 石崎剛(阪神タイガース)
  • 松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)

大舞台に強い今永!一発勝負の国際試合では期待大

特に今永は面白い存在である。回転が良くノビもあるストレートに、キレのあるスライダー、チェンジアップで緩急もつけられる、非常に完成度の高い選手だ。この強化試合でも2回無失点4奪三振と好投で、新たに習得したパワーカーブも効果的に決まり、相手打者を翻弄した。

何より今永は大舞台に強く、2017年シーズンのホークスとの日本シリーズでは、第2戦で6回1失点10奪三振、第6戦で7回2失点11奪三振している。また、11月のアジアプロ野球チャンピオンシップでも、チャイニーズ・タイペイ戦で先発し6回無失点12奪三振と結果を出した。その堂々たる姿は、エースの風格すら感じさせるものだった。

特に今永の成績で際立っているのが、奪三振数である。2017シーズンは148投球中、奪三振が140。これを奪三振率にすると8.51となり、先発投手としては非常に優秀な数字なのだ。そして大舞台では、さらに高い数字をたたき出すため、相手バッターが今永の球に全く対応できなくなるようだ。初対戦で攻略するのが難しい今永は、一発勝負の国際試合にとって大きなアドバンテージになるだろう。

今永よりもさらに若い選手たちも台頭している

強化試合2試合目に2番手で登板した田口は、これまで2桁勝利を2度達成した実績を持つ1995年生まれの22歳だ。ストレートは140km前後だが、スライダーやシュートを織り交ぜ、左右の揺さぶりをうまく使いながらピッチングを組み立てる。まだ若いが、チェンジアップで緩急もつけ、クレバーなピッチングができる投手だ。

この強化試合では、2回を無失点。今永と同じく昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップにも選出されており、決勝の韓国戦で7回6奪三振無失点という好投を見せている。

まだ代表には選ばれていないが、田口と高校時代からライバルであるオリックス・バファローズの山岡泰輔も面白い。シーズン成績は8勝11敗と負け越したが、キレのあるスライダーが武器であり、初対戦の相手は苦戦する。先発でも中継ぎでも活躍が見込める投手だ。

高卒2年目~3年目の投手も結果を残し始めている

田口より下の世代にも好選手が多い。今回の強化試合でいえば2016年ドラフト1位で、広島新庄高校から日本ハムに入団した堀もその1人だ。高校時代に出場したU-18アジア選手権では、中継ぎとしてフル回転。僅差の試合をきっちりと締めるピッチングを見せ、スカウト陣の評価を一気に上げた。

ルーキーイヤーとなった2017年のシーズンは、4試合の登板に終わったものの、11月のアジアプロ野球チャンピオンシップのメンバーに選出された。2試合に登板し、無失点のピッチングを見せ、強化試合のメンバーにも選出され、またも2イニングを無失点。これで高校時代から数えて、国際試合で6連続無失点となった。

同学年には、シーズンで3勝4敗防御率2.28と結果を出した藤平尚真(楽天)、オープン戦で評価を上げてきている高橋昂也(広島)、一つ上には年々成長を見せる小笠原慎之介(中日)など、楽しみな選手が数多くいる。2年後には、何人の選手が代表争いに食い込んでくるのだろうか。

頼れる中継ぎのスペシャリスト!岩嵜に期待がかかる

先発以上に重要になってくるのが、中継ぎ投手だ。東京オリンピックには6チームしか参加せず、必然的に試合数が少なくなる。先発投手も3~4人いれば、十分回る可能性が高い。そのため、より安定感のある中継ぎ投手が、1人でも多くほしいところだ。

中継ぎ投手で注目したいのが岩嵜だ。89年生まれのため、既に若手とは呼べない立場になっているものの、彼はぜひともメンバーに入ってほしい選手である。これまでは先発・中継ぎを両方こなせる便利屋のような存在であったが、2017年シーズンは中継ぎに専念し、一気に才能が開花。リーグ最多の72試合に登板し46個のホールドポイントをマーク。防御率1.99という数字を残した。

189cmの長身から繰り出される150km/h級のストレートに、フォークやスライダー、カーブといった多彩な変化球。完成度の高さでいえば、菅野に匹敵するレベルだ。セットアッパーとして、岩嵜以上に力のある選手はそういないだろう。

クローザー候補となる2人の若手選手

クローザー候補では、山崎康晃、松井裕樹の名前が挙げられる。チームでは守護神を務めており、ファンの間ではおなじみの選手たちだろう。この強化試合では1試合目を山崎、2試合目は松井が締めくくった。山﨑はツーシーム、松井はスライダーとそれぞれ変化量の大きなボールを持っており、この球がしっかりと決まれば、まず打たれることはない。

松井は田口や山岡らと同じ95年生まれであり、世代の中ではいち早く実績を残し始めた選手だ。一足先に2017年WBC代表にも選出されており、2回2/3で5奪三振という数字を残している。

近年のNPBでは平成生まれの選手たちが中心になりつつあるが、もう数年後には90年代中盤~後半に生まれた世代たちも台頭し始めてくる。その中から、東京オリンピックのマウンドに立つ選手は誰だろうか。