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【オリンピックとMLB】東京五輪のマウンドに立っている投手は誰だ!(前編)

2018 3/28 12:10Mimu
菅野智之
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Ⓒゲッティイメージズ

2020年東京オリンピックのマウンドに立つ投手は

2020年の東京オリンピックに向けた侍ジャパン強化試合である、ENEOS 侍ジャパンシリーズ 日本vsオーストラリアが、2018年3月3日・4日に行われた。同じアジア地区のライバル国であるが、日本はオーストラリアに対して2試合連続の完封勝ちを収めることができた。相手がフルメンバーではなかったこともあるが、投手陣の充実を見せつけられたように思う。

しかし、今回の強化試合に選ばれた選手が、全員2020年の東京オリンピックのメンバーに入るわけではない。これから約2年半をかけ、熾烈な競争が行われる。今、好成績を残していても、2年後に絶不調になってしまえば選出は見送られることもある。2020年の夏、マウンドに立っているのは誰だろうか。

菅野・千賀が最有力!2本柱でチームを引っ張る

侍ジャパンのエースと呼ぶべき選手は、読売ジャイアンツの菅野智之だ。今回の強化試合のメンバーには選出されていないが、2017年のWBCでは大事な試合を何度も任され、その度に使命を全うしてくれた。威力ある直球とキレがある変化球、そして抜群のコントロールで、シーズン中も安定した成績を残している。

福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大も、有力候補だ。落差の大きな「お化けフォーク」は、海外の選手にとっても脅威となる。第1試合の先発を任された今回の強化試合では、フォーク以上にストレートが素晴らしく、ノビのある150km/hストレートの連発で、相手打者のバットが次々と空を切った。スライダーにもキレがあり、2イニング6奪三振とパーフェクトな結果だった。

93年生まれの千賀は、オリンピック開催時には27歳とまだ若く、シーズン成績も安定しているため、このままいけば菅野と共に先発の軸になることが期待されている。

オリンピックには非協力的なMLB

ENEOS 侍ジャパンシリーズ 日本vsオーストラリア、2試合目の先発だった東北楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大も、素晴らしいピッチングを見せていた。千賀に負けない力のあるストレートと、キレのあるスライダーで相手打者を圧倒。2イニング5奪三振と、完璧な内容であった。シーズンでの成績もここ数年は安定しており、実力も実績も十分な選手だ。

しかし東京オリンピックの代表となると、事情が変わってくる。MLBはあまりオリンピックに対して協力的ではないため、選手を派遣しない可能性が高いのだ。経済的なメリットが少ないことや、シーズンの山場である8月に選手がチームを離れること、それによって大きなリスクがあるなど、さまざまな理由が考えられる。

前回の北京オリンピックも、アメリカ代表はAAAの選手たちが中心であった。日本人選手も、当時はイチローや松井秀喜、城島健司、松坂大輔らがMLBで活躍していたが、彼らは北京オリンピックのメンバーには選ばれていなかった。

その一方、WBCには選手を積極的に派遣しており、アメリカ代表もメジャーの選手で固められていた。こういった点からもMLBのオリンピックへのスタンスがうかがい知れる。

則本は2019年オフでのMLB移籍を目指すと公言しており、もし実現すれば、2020年にメジャー1年目のシーズンを迎えることとなる。そんな大事な時期に、チームが快くオリンピックへ送り出してくれる可能性は極めて低いだろう。

現状では候補に入れられないMLB挑戦中の選手たち

現在MLBで活躍する田中将大やダルビッシュ有、岩隈久志、前田健太、田澤純一らはもちろんのこと、2018年からMLBに所属する牧田和久や平野佳寿、大谷翔平、そして則本と同様にMLB移籍の希望を公言している西武ライオンズの菊池雄星も、現状では候補として考えるのは難しいかもしれない(菅野や千賀もMLBに移籍する可能性も0ではないが、現状では公言していない)。

侍ジャパンにとって、実績ある日本人メジャーリーガーが招集できないのは、かなりの痛手になるだろう。しかし幸いなことに、次世代を担う若い選手たちが次々と、1軍で活躍し始めているのも確かだ。


後編へ続く