「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

伝説の名投手が背負った栄光の投手ナンバー プロ野球における背番号14の選手たち

2023 6/1 11:00SPAIA編集部
DeNAの石田健大・楽天の則本昂大・阪神の岩貞祐太,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

2023年現役選手の背番号「14」

投手の番号としての印象が強い背番号「14」。2023年シーズンは永久欠番となっている巨人を除く10球団で投手が背負っている。2023年の背番号「14」は下記の通り。

オリックス:不在
ソフトバンク:又吉克樹投手
西武:増田達至投手
楽天:則本昂大投手
ロッテ:小島和哉投手
日本ハム:加藤貴之投手

ヤクルト:高梨裕稔投手
DeNA:石田健大投手
阪神:岩貞祐太投手
巨人:永久欠番(沢村栄治)
広島:大瀬良大地投手
中日:谷元圭介投手

不在:1球団
永久欠番:1球団
投手:10球団
捕手:0球団
内野手:0球団
外野手:0球団

沢村賞の由来となった伝説の投手である沢村栄治が巨人時代に背負っていた「14」は、1947年に黒沢俊夫(巨人)の背番号「4」とともに日本球界初の永久欠番となった。

現役では楽天・則本昂大や広島・大瀬良大地といったエース級のほかに、DeNA・石田健大、ロッテ・小島和哉、日本ハム・加藤貴之ら主戦クラスのサウスポー、西武・増田達至、ソフトバンク・又吉克樹ら不動の守護神、セットアッパーが背負っている。

2023年から背負うのが阪神の岩貞祐太だ。2014年の入団以来「17」を背負ってきたが、チェン・ウェインが退団して空き番となっていた14に変更。2020年まで同じ左腕で憧れの先輩投手でもある能見篤史が背負ってきた番号を継承した。

オリックスは昨季「14」を背負っていたジョー・マッカーシーが退団したため、12球団で唯一の空き番となっている。

次章以降では、背番号「14」を背負った歴代の名プレーヤーを紹介する。

伝説の名投手・沢村栄治

巨人の背番号「14」は永久欠番となっている。その番号を背負っていたのが、戦前に活躍した沢村栄治だ。沢村は京都商業学校時代に甲子園に3度出場。また、日本代表として日米野球にも出場している。

メジャーリーグ選抜との一戦で、沢村は8回を投げて被安打5、ルー・ゲーリッグの本塁打による1失点のみに抑える好投を見せた。0勝16敗と力の差を見せつけられた日本代表の中で、唯一の接戦を演じている。

その後、大日本東京野球倶楽部(現巨人)に入団し、エースとして活躍。戦争の影響もあり、わずか5シーズンのみだったが、史上最多タイのノーヒットノーランを3度達成するなど、63勝(22敗)をマークした。

しかし、太平洋戦争で戦死。1943年が最後のシーズンとなった。巨人は沢村の功績をたたえ、背番号「14」をプロ野球史上初となる永久欠番に制定(同時に黒沢俊夫の背番号「4」も永久欠番となった)。また、優秀な先発投手に贈られる賞として「沢村賞」が設立されている。

沢村の生誕100年となった2017年には「沢村栄治生誕100周年記念展」が催されるなど、現代においてもその影響力は大きい。記念展の一環で行われた巨人対日本ハムのオープン戦では、巨人は全員が背番号「14」を背負ってプレーした。

「炎のストッパー」津田恒実

広島のリリーフエースとして「炎のストッパー」と呼ばれた津田恒実。先発から中継ぎに回った1985年から引退まで背負っていたのが背番号「14」だった。津田は1981年ドラフト1位で社会人野球の協和発酵から広島に入団。先発投手として11勝をマークし、新人王に輝いた。

しかし、故障もあって1985年から中継ぎに転向し、1986年からはクローザーを任されることになった。転向初年度に22セーブをマークすると4年連続で2桁セーブを記録。1989年には最優秀救援投手のタイトルを獲得している。

その後の活躍も期待されていたが、1991年に脳腫瘍により離脱を余儀なくされる。懸命のリハビリに励んだが復帰はならず、同年に現役引退。闘病生活の末、1993年に32歳の若さで亡くなった。

津田の剛球の威力を示すエピソードがある。原辰徳が津田のストレートをファウルした際に左手有鉤骨を骨折、シーズンの残り試合を全て欠場した。その後も長らく後遺症に苦しんだという。ストッパーとして必要な球威において、津田のそれはプロの打者が骨折するほど抜きん出ていた。

津田の背負った「14」はその後、鈴木健、澤﨑俊和、篠田純平らが受け継ぎ、2014年から大瀬良大地が着用している。

楽天のエース則本昂大

2012年ドラフト2位で三重中京大から楽天に入団した則本昂大。背番号「14」を与えられたことからも、球団の期待の大きさがよくわかる。

2013年、新人ながら開幕投手を務め、田中将大とともに先発ローテーションの柱として活躍。15勝(8敗)をマークして新人王に輝き、球団創設以来初の日本一にも大きく貢献した。

翌2014年から2018年まで5年連続最多奪三振のタイトルを獲得、2017年には8試合連続2桁奪三振のNPB記録を樹立するなど球界を代表する投手となり、チームを支えている。2017年に行われた第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも背番号「14」を背負い、日本代表として戦った。

則本は2019年に異例の7年契約を締結。事実上の「生涯楽天」となった。今後も楽天の背番号「14」が永久欠番となるほどの活躍が期待される。

メジャー通算最多安打記録保持者ピート・ローズ

1960年代から1970年代にかけてシンシナティ・レッズなどで活躍したピート・ローズは、メジャーリーグ記録となる通算4256安打を放ったレジェンドだ。

1970年代は「ビッグレッドマシン」と称され、強力打線を誇っていたレッズにおいて1番打者を務め、ワールドチャンピオンに2回輝いた。その後、フィラデルフィア・フィリーズ、モントリオール・エクスポズ、再びシンシナティ・レッズへと移籍しているが、常に背番号「14」を背負った。

しかし、現役引退後の監督在任期間中に野球賭博への関与が発覚し、永久追放処分を受ける。そのため偉大な成績を残しているにも関わらず、野球殿堂入りは果たしていない。

長きに渡り現役生活を送ったレッズでは、球団の殿堂入り、および背番号「14」を永久欠番とすることを認定。1986年の現役引退から30年が経過した2016年のことだった。

【関連記事】
投手も野手も主力が背負う異色ナンバー プロ野球における背番号13の選手たち
源田壮亮、坂本勇人ら現役名ショートが勢揃い プロ野球における背番号6の選手たち
10番台で唯一の投手ゼロに、永久欠番は最多の3球団 プロ野球における背番号10の選手たち