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1回10失点で二軍逆戻り…中日・近藤廉に贈りたい「人生は敗者復活戦」の名言

中日の近藤廉,ⒸSPAIA
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DeNA打線に滅多打ちされ「晒し投げ」の批判も

防御率72.00―。中日・近藤廉が残した今季成績だ。

8月25日のDeNA戦(バンテリンドームナゴヤ)、2-8と6点をリードされた9回表にマウンドに上がった。この日、一軍登録されたばかりで、もちろん今季初登板だった。

佐野恵太、牧秀悟、ネフタリ・ソト、山本祐大、大田泰示らに滅多打ちにされ、1イニング8安打、5四死球で10失点(自責点8)。3アウトを取るのに62球を要した。元々、試合の大勢は決していたとはいえ、結果的に2-18の大敗となり、翌26日に近藤は再び登録を抹消された。

試合後、DeNAの先発として10勝目を挙げたトレバー・バウアーが、自身が勝った嬉しさよりも先に「どんなにいい投手でもこういう日がある。落ち込むことなくこれからも前を向き続けてほしい」とコメントしたことが報じられている。

相手ベンチから見ていてもいたたまれない気持ちになったのだろう。それは球場で観戦していたファンや報道を通じて知ったファンの大多数も同じだったに違いない。

SNSでは「晒し投げ」がトレンド入り。ほとんどが近藤のメンタルを心配する声や、10失点でも交代させなかったベンチの采配を批判する意見だった。近藤のインスタグラムは2年前から更新されていないが、25日以降、励ましのコメントが急増している。

過去には藤浪晋太郎が「罰投」

近藤は豊南高から札幌学院大を経て2020年育成1位で中日入りした3年目の左腕。ルーキーイヤーの2021年3月30日に支配下登録され、同年は2試合に登板している。

今季は二軍で26試合に登板し、1勝2敗、防御率6.48と経験を積んだ。「真っスラ」を武器にようやくつかんだ2年ぶりの一軍マウンドはしかし、あまりにも厳しい現実が待ち受けていた。

立浪和義監督は試合後「近藤のところは気の毒だけど、勝ちパターンしか残っていなかった。酷なことをした」とコメントしたことが報じられている。大差でリードされた展開で藤嶋健人やライデル・マルティネスらを登板させたくなかった内情は理解できる。

過去にも2016年7月9日に阪神・藤浪晋太郎(現オリオールズ)が3点リードされた7回の打席で代打を送られず、8回も続投して結果的に161球を投げて8失点したことがあった。「罰投」の見出しが新聞紙面を賑わせ、当時の金本知憲監督を批判する声もあった。

ただ、当時の藤浪は前年に14勝を挙げたエース格。勝敗の責任を負う立場でもあり、奮起を促す意図も理解できないことはない。

しかし、近藤は今回がプロ3試合目の一軍登板だった。チーム事情もあるとはいえ、続投させることに近藤の今後を見据えた意図はあったのだろうか。近藤自身がどう捉えるかが何より重要だが、観戦していたファンが嫌な気持ちになりはしなかったか。

プロ野球選手である以上、首脳陣の采配には逆らえない。近藤はプロの厳しさをまざまざと思い知っただろう。悔しさを胸にしまい、一からトレーニングを積んで大きく成長してほしい。そして、いつの日か一軍マウンドで見事な投球を披露してほしい。

夏の甲子園決勝で敗れた仙台育英の須江航監督は「人生は敗者復活戦」との名言を残した。結果がすべてのプロの世界でも「敗者復活」の舞台が用意されることを切に願っている。

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