「眠れる大砲」細川成也も中日で覚醒?
2022年12月に初めて行われたプロ野球の現役ドラフト。チームのメンバー構成などから実力があるにもかかわらず出場機会に恵まれない選手や埋もれている選手を移籍によって実力を発揮する場を与えようという試みで、12選手が他球団に移籍した。
2023年シーズンが始まり、実際のところ移籍先で活躍しているのだろうか。ここまでの成績を振り返ってみよう。
最もインパクトが強い活躍をしているのは楽天から巨人に移籍したオコエ瑠偉だろう。関東一高時代に高い身体能力で夏の甲子園ベスト4入りし、2015年ドラフト1位で楽天入団。1年目から51試合に出場し、プロ初本塁打も放ったものの、もうひとつ殻を破れず、グラウンド外で週刊誌沙汰にもなった。
しかし、巨人では今春オープン戦からアピールを続けて開幕スタメンをつかむと、4月17日現在、打率.357、2本塁打4打点。1番打者として定着しつつある。原辰徳監督としては嬉しい誤算かも知れない。
DeNAから中日に移籍した細川成也も秘めた素質の開花が近そうだ。明秀日立高から2016年ドラフト5位でプロ入りし、1年目の2017年に史上初のデビュー戦から2試合連続本塁打を放ったスラッガー。二軍でタイトルを獲得するものの一軍ではレギュラーをつかめなかったが、中日ではここまで10試合に出場して打率.429をマークしている。
本塁打こそまだ出ていないが、強力打線のDeNAでは出番が巡ってこなかったスラッガーが、貧打に泣いてきた中日を救う存在としてその打棒が活かされており、まさに現役ドラフトの意義を体現していると言えるだろう。
大竹耕太郎は阪神で先発ローテ入り
ソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎も活躍している。済々黌高から早稲田大を経て2017年育成4位で入団した左腕は、2018年7月に支配下登録されると11試合に登板して3勝。翌2019年も17試合に登板して5勝を挙げたが、2020年以降は出番を減らしていた。
しかし、大学の先輩でもある岡田彰布監督が就任した阪神では先発ローテーションの一角を任され、4月8日のヤクルト戦では6回3安打無失点と好投。貴重な左の先発要員として重宝されている。
巨人から広島に移籍した戸根千明は開幕一軍入りして、ここまで5試合登板で1敗2ホールド。2015、16年には2年連続40試合以上登板した実績もあり、大卒9年目左腕の経験が新天地で活きている。
オリックスからロッテに移籍した大下誠一郎は代打で出番をつかんでいる。白鷗大から2019年育成6位で入団し、2020年9月14日に支配下登録されると翌15日にいきなり初打席本塁打。ヒーローインタビューでは北九州弁で答える陽気なキャラクターで人気だった。ロッテでもファンのハートをつかむ活躍が期待される。
二軍でアピール続ける西武・陽川尚将
阪神から西武に移籍した陽川尚将はオープン戦でアピールしたものの開幕一軍からは外れた。イースタン・リーグでは打率.286、2本塁打、8打点とまずまずの成績を残しており、一軍昇格もありそうだ。
日本ハムからソフトバンクに移籍した古川侑利は開幕一軍入りし、4月4日のオリックス戦で移籍後初登板。プロ9年間で楽天、巨人、日本ハムとわたり歩き、82試合に登板した経験を4球団目のソフトバンクでも活かしたい。
中日からDeNAに移籍した笠原祥太郎は4月2日の阪神戦に先発したが、3回6安打3失点で敗戦投手となり、4月8日に登録抹消された。プロ6年で通算54試合登板で11勝を挙げている左腕の復調が待たれる。
ヤクルトからオリックスに移籍した渡邉大樹は一軍出場はなく、ウエスタン・リーグで8試合に出場して打率.167。広島から楽天に移籍した正隨優弥はイースタン・リーグで13試合に出場して打率.120と実力を発揮できていない。
西武から日本ハムに移籍した松岡洸希はイースタン・リーグで3試合に登板し、防御率1.50。ロッテからヤクルトに移籍した成田翔はイースタン・リーグ4試合登板で防御率5.79となっている。
ここまでは明暗が分かれている現役ドラフト組。新天地で活躍してこそ制度の意義は大きくなるだけに、今後の活躍が期待される。
※成績はいずれも4月17日現在
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