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阪神・陽川尚将が現役ドラフトで西武へ、意外に多い西武で花咲かせた元猛虎戦士

2022 12/11 11:00SPAIA編集部
陽川尚将,ⒸSPAIA
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二軍で2年連続二冠王に輝いたスラッガー

プロ野球の現役ドラフトが12月9日に非公開で行われ、阪神・陽川尚将内野手(31)が西武から指名された。

陽川は金光大阪高時代に通算36本塁打を放ち、2009年ドラフトで巨人から育成3位指名されたが拒否。東京農業大でリーグ戦通算109安打、23本塁打をマークし、2013年ドラフト3位で阪神に入団した。

2016年にウエスタン・リーグで14本塁打、62打点、翌2017年は21本塁打、91打点で2年連続二冠王。2018年には一軍で75試合に出場し、6本塁打、48打点、2020年は71試合出場で8本塁打、24打点と成長の跡を示していたが、2021年は41試合、2022年は45試合出場にとどまっていた。

通算成績は301試合出場で23本塁打、93打点、打率.227。背番号55が示す通り、甲子園の浜風が追い風となる右の長距離砲として期待されていだが、確実性に欠けるきらいがある。年齢的にも31歳と若くはない。

推定2200万円ですでに2023年の契約更改を終えていたが、現役ドラフトでリストアップする選手としては「打ってつけ」だったと言えるかも知れない。

現役ドラフトは他球団からの獲得希望を最も多く集めた球団が暫定指名順位1番目となり、その後も指名された球団が次に指名していくため、素質、実力が高く、なおかつ放出しても編成上ダメージの少ない選手をリストアップすることがベターだからだ。

吉竹、平尾ら阪神から西武に移籍して活躍

陽川のポジションはファーストとライトがメインのため、大山悠輔、佐藤輝明という両スラッガーが君臨する阪神ではレギュラー獲得は難しい。しかし、DH制のあるパ・リーグなら打力が活きる可能性は十分にある。

2022年の西武はファーストこそ二冠王の山川穂高がいるものの、ライトは若林楽人や川越誠司、愛斗、岸潤一郎らを併用。DHも栗山巧と中村剛也は大ベテランで、森友哉はオリックスに移籍した。陽川がくい込む余地はあるだろう。

これまでも阪神から西武に移籍して活躍した選手は意外に多い。古くは竹田和史、若菜嘉晴、真弓明信、竹之内雅史と4対2の交換トレードで田淵幸一と古沢憲司が西武に移籍。田淵は阪神時代から活躍していたが、西武移籍後に初めて優勝を経験している。

1986年オフには田尾安志との交換トレードで吉竹春樹と前田耕司が西武入り。吉竹は1996年まで現役を続け、通算1128試合に出場した。

2001年には、谷中真二との交換トレードで平尾博嗣が西武に移籍。大宮東高時代に通算68本塁打を放った平尾は地元球団で躍動した。

左腕キラーとして西武の救世主になるか

投手でも阪神から西武移籍後に活躍した例は少なくない。2000年ドラフト1位右腕・藤田太陽は阪神では芽が出なかったが、西武移籍後の2010年に6勝3敗19ホールドをマークした。

2010年ドラフト1位で阪神入りした榎田大樹も2018年に岡本洋介との交換トレードで西武に移籍。いきなり11勝を挙げる大活躍を見せた。

陽川は2022年は対左投手の打率が.357。12球団ワーストのチーム打率.229だった西武には頼もしい数字だろう。阪神の公式HPは以下のコメントを発表している。

「現役ドラフトで移籍が決まったと連絡をいただいて、凄く驚いたというのが率直な心境です。球団の方からも言っていただきましたが、これは自分にとってチャンスだと思いますし、埼玉西武ライオンズで活躍することが、これまでお世話になったタイガースをはじめ、応援いただいたファンの方々への恩返しになると思うので、ライオンズでしっかり結果を出せるように、また1から精一杯頑張っていきたいと思います。タイガースファンの皆さま、今まで熱い応援をいただき本当にありがとうございました」

「未完の大器」陽川は新天地で花開くか。所沢に新風を吹かせる活躍が期待される。

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