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楽天・松井裕樹が最年少200セーブへ「あと3」、WBCメンバー随一の奪三振率で世界一狙う

2023 2/7 06:00SPAIA編集部
楽天の松井裕樹,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

山﨑康晃の最年少記録更新は確実

楽天から唯一、第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)の日本代表メンバーに選ばれている松井裕樹。桐光学園高からドラフト1位で入団して10年目となる今季は節目の記録が目前に迫っている。

2019年と2022年に最多セーブに輝くなど、プロ通算442試合登板で23勝43敗197セーブ、防御率2.48をマーク。史上9人目のNPB通算200セーブに「あと3」なのだ。

しかも昨年10月30日の誕生日で28歳になった松井は、DeNA山﨑康晃の最年少記録(29歳10カ月)更新が確実。楽天は3月30日に日本ハムと開幕戦(エスコンフィールド北海道)を迎えるため、順調にいけば4月にも1歳以上縮める新記録を樹立することになる。

また、佐々木主浩が持つ370試合の最速記録には及ばないものの、3試合で3セーブを挙げれば歴代4位・高津臣吾(現ヤクルト監督)の446試合を上回るスピード記録にもなる。

ルーキーイヤーの2014年や2020年など先発に回った時期もあったが、キャリアを通じてほとんどクローザーとして活躍してきた左腕にとって、ひとつの勲章となりそうだ。

NPB通算200セーブ年少達成記録

スライダー以上の武器、フォークは被打率.093

2年生エースとして出場した2012年夏の甲子園1回戦・今治西戦で大会新記録の22奪三振をマーク。分かっていても空振りするほど切れ味抜群のスライダーは高校球界を震撼させたが、プロではさらに進化を続けている。

2022年の投球データでは平均148.5キロのストレートが全体の49.0%を占め、続いてフォークが26.1%となっており、スライダーは全体の20.3%にとどまっている。被打率を見ても、スライダーは.143と打者を封じているが、フォークは.093とさらに強力な武器なのだ。被打率.130のストレートはもちろん、持ち球を磨き続けてきたことが最年少記録を可能にしているのだろう。

2022年の対戦打者で2安打以上を打たれたのは日本ハム・近藤健介(現ソフトバンク=3打数2安打)とソフトバンク・三森大貴(2打数2安打)の2人だけ。二冠王に輝いた西武・山川穂高は4打数無安打2三振、一昨年の本塁打王・オリックス杉本裕太郎も2打数2三振と完璧に封じ込んでいる。

鋭く曲がるスライダーの印象から左打者に強いと思われがちだが、対右打者は被打率.088、対左打者は同.186と右打者の方が抑えている。右打者を苦にしない点も首脳陣が起用する上で心強いだろう。

栗林良吏、湯浅京己、大勢よりも高い奪三振率14.46

クローザーとして最大の長所は三振奪取率の高さ。2022年、1試合9イニングで奪う三振数を表す奪三振率(K/9)は14.46で、各球団のクローザーではソフトバンク・モイネロの14.87に次ぐ数字だ。同じく侍ジャパンに選出されているオリックス・宇田川優希(12.90)、広島・栗林良吏(10.99)、阪神・湯浅京己(10.40)、巨人・大勢(9.47)よりも高い。

対戦打者に占める奪三振の割合を示すK%も同様で、モイネロに次ぐ42.8%で2位となっている。

さらに年々向上しているのがコントロールだ。クローザーを務めたシーズンで最多の40四球を記録した2016年の与四球率は5.78だったが、2021年は同4.39、2022年は同3.31と上昇している。

ただ、クローザーの場合、状況によっては歩かせるケースもあり先発投手に比べると高い数字になるとはいえ、同じリリーフのモイネロは3.42、宇田川は4.84、栗林は2.79、湯浅は1.86、大勢は2.05となっており、まだ改善の余地があると言えるだろう。

いずれにしても、ほぼ毎日ブルペンで準備するクローザーとしてこれだけ長期間にわたって活躍することは簡単ではない。セーブは1974年に公式記録として導入されたため歴史が浅いとはいえ、通算200セーブ達成者がわずか8人しかいないことが証明している。

侍ジャパンで世界一、楽天で日本一を狙うプロ10年目のシーズン。最年少200セーブからさらにその先へ、松井にとって大きな節目のシーズンとなりそうだ。

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