野手2人が一軍戦力に
2022年のプロ野球界は、ロッテの松川虎生が高卒捕手として史上3人目の開幕マスクをかぶり、巨人の大勢が新人最多タイの37セーブを挙げるなど、ルーキーの活躍が目立つ1年となった。
そこで球団ごとに一軍で活躍したルーキーの通信簿を作成してみた。投手は「球威」「制球力」「奪三振」「総合」、野手は「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」のそれぞれ4項目を5段階で評価している。
今回は惜しくも2年ぶりのリーグ優勝を逃したソフトバンクを見ていこう。
ソフトバンクは昨年、支配下で5選手を指名。その中で一軍デビューを果たしたのは、ドラフト2位の正木智也(慶応大)と4位の野村勇(NTT西日本)の野手2人のみだった。
正木は前半戦こそ一、二軍を行ったり来たりしていたが、8月20日に昇格してからは最後まで一軍の舞台で戦っていた。シーズン終盤にはスタメン起用も増え、最終的には35試合に出場して打率.254、3本塁打、5打点の成績を残した。
一方の野村は開幕一軍入りすると、最初は代走での起用だったが、徐々に打撃でも結果を残しスタメン起用を増やした。また、二塁、三塁、遊撃など複数ポジションを守る器用さも見せ、97試合に出場。打率.239、10本塁打、25打点、10盗塁をマークした。新人での10本塁打は、南海時代の1939年に鶴岡一人が樹立した球団記録に並ぶ快挙だった。
野手の各項目は、パワーがリーグの平均ISO(=長打率-打率:長打力を示す指標)、選球眼は同BB/K(四球と三振の割合から打者の選球眼を見る指標)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定した。
正木は80打席ながら二塁打4本、本塁打を3本放ち、ISOは.194をマーク。BB/Kは0.42と新人にしては選球眼の良さも見せ、パワー、選球眼ともに評価は「4」となった。ただ、出場した試合が少なかったため、wRCは11.0と稼げず貢献度は「2」。来季は持ち前の長打力をさらにアピールし、一軍定着を狙いたい。
野村は今季記録した43安打のうち二塁打が9本、三塁打が3本、本塁打が10本と、長打が半分以上を占め、ISOは.250を記録してパワーは最高評価の「5」、spdは8.10で走力評価も「5」となった。即戦力として素晴らしい働きを見せただけに、来季は松田宣浩の抜けた三塁のレギュラー獲りを狙いたい。