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セ・リーグ連覇達成の高津ヤクルト 昨季と大きく異なった優勝への軌跡

2022 9/26 06:00勝田聡
ヤクルトの高津臣吾監督,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

主力が一同に揃うことがほぼなかった2022年

ヤクルトは25日、本拠地・神宮球場でDeNAにサヨナラ勝ちし、2年連続9度目のリーグ優勝を決めた。ヤクルト小川泰弘、DeNA今永昇太の両先発で始まった試合は、8回まで0-0の白熱の投手戦となったが、9回裏一死二塁のチャンスで丸山和郁が適時二塁打を放ち、劇的なサヨナラ勝利で優勝を飾った。

”リーグ優勝”と文字に起こすと当たり前だが昨年と同じ。またゲーム差だけを見れば昨年の「0」から「7」(現時点)に広がったことで”楽勝”に見えるかもしれないが、決して順風満帆ではなかったし、中身はまったく異なっていた。

まず昨年は新型コロナウイルスの影響で開幕直後に一時的な離脱はあったものも、故障による離脱者はほとんどいなかった。一方で今年はちがう。

開幕直後に奥川恭伸が戦列を離れた。また、開幕から絶好調だったサンタナも膝の故障で10試合の出場で離脱。手術を受けるために一時帰国している。開幕から3週間もしないうちに、先発ローテーションの柱と頼れる5番打者がそろって不在となってしまった。

7月には高津臣吾監督ら首脳陣に山田哲人や塩見泰隆らレギュラー陣など、20人以上の選手や首脳陣が新型コロナウイルスの陽性判定を受け、危機的状況に陥った。

これだけでは終わらない。勝負どころの9月に入ってからも高橋奎二や小澤怜史らが新型コロナウイルス陽性判定を受け離脱。9月は先発ローテーションを組むこともままならかった。主力が一同に揃うことがほぼないまま、リーグ優勝を成し遂げたのだ。

後半追い込み型から先行逃げ切り型へ

シーズンの歩みも全く違った。昨シーズンは本拠地神宮球場で阪神に開幕3連敗するという苦しいスタート。序盤で大崩れはしなかったものの、一進一退の状態で前半戦を折り返した。後半戦に入ってからは巨人、阪神との三つ巴に持ち込み、最後は阪神とのマッチレースを制して栄冠を手にした。言うなれば後半追い込み型だった。

一方で今シーズンは敵地京セラドームで同じ阪神相手に開幕カードで3連勝。その後も、セ・パ交流戦前後で11球団連続勝ち越し、14カード連続勝ち越しと前半戦から飛ばしに飛ばして一気に抜け出した。7月2日の時点で史上最速となるマジック「53」を点灯させるほどの圧倒的な勢いだった。

しかし、前述した新型コロナウイルスの影響で主力が離脱すると、状況が一転する負けが込んだ。7月は7勝13敗、8月はなんとか勝ち越したものの12勝11敗。5月が16勝7敗1分、6月が19勝4敗だったことを考えると大きな低迷だ。

それと同時に最大17.5ゲーム離れていたDeNAが驚異的な追い上げを見せ、一時は4ゲームにまで差は縮まった。その猛追を振り切って優勝を決めたのだ。

後半の追い込みで混戦を抜け出した昨シーズンとは異なり、前半戦の勢いによる先行逃げ切りで押し切ったのが今シーズンだった。

中継ぎの登板を管理、長岡や内山ら若手を抜擢

選手の起用法も大きく変わった。

さまざまな理由で離脱者が多かったこともあり、昨シーズン話題にもなった登板間隔を通常より空ける”ゆとりローテ”もほとんどできなかった。

また後半戦の大事な試合に奥川と高橋を意図的に並べるような起用もなかった。小川泰弘とサイスニードが終盤戦の柱となったが、ほぼ先発ローテーションの順番通り。ただしこれは起用法が変わったというよりも、離脱者多発でそう起用せざるを得なかったと言えるのかもしれない。

中継ぎは──新型コロナウイルスの影響による離脱の影響もあるが──昨シーズン3人いた60試合以上登板がひとりもいない。

守護神のマクガフとセットアッパーの清水昇につなぐのは同じだが、6回や7回に投げる投手を分散させた。後半戦でやや息切れしたものの、結果的に登板数を抑えながらシーズンを乗り切った。

野手陣では高卒3年目の長岡秀樹を遊撃のレギュラーに抜擢。新型コロナウイルスの影響で離脱した期間はあったものの、シーズンを完走。主に8番打者として8本塁打、47打点は文句のつけようもない。

守備範囲も広く攻守に渡ってチームを支えた。また高卒2年目の内山壮真も新型コロナウイルスによる離脱期間以外は一軍に帯同し69試合に出場。一軍初本塁打を含む3本塁打とパンチ力を見せた。その他でもルーキーの丸山和郁(65試合) や右の大砲候補で高卒4年目の濱田太貴(73試合)も積極的に起用してきた。

昨シーズンはルーキーの元山飛優こそ97試合に出場したが、その他の若手をここまで多く起用することはしなかった。それと比べると今シーズンは多くの若手を戦力に変えながら「勝利と育成」を両立させた。

ここからは球団史上初となる日本シリーズ2連覇へ向けて進んでいくことになる。昨シーズンは奥川と高橋の2枚看板を軸にしてクライマックス・シリーズと日本シリーズを勝ち抜いた。その2人は現時点でポストシーズンに登板できるかわからない。

ペナントレースだけでなくポストシーズンも異なる戦い方をみせてくれるのだろうか。あるいは……。最後の最後まで目が離せない。

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