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阪神・伊藤将司の直球はなぜ打ちにくいのか 動くボールを織り交ぜて幻惑

2022 8/3 11:00浜田哲男
阪神の伊藤将司,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

巻き返しの立役者の一人

現在49勝47敗2分けの貯金2でリーグ2位の阪神。開幕戦で最大7点差をヤクルトにひっくり返されると、そこから長らく低迷。借金は最大で「16」まで膨れあがった。しかし、大山悠輔ら主軸に当たりが出始めるとチームは徐々に上向きに。7月も14勝6敗と大きく勝ち越すなど、一気に巻き返してきた。

そんな阪神の巻き返しに大きく貢献しているのが、2年目左腕の伊藤将司。規定投球回には達していないものの、ここまで11試合に投げ、7勝2敗、防御率1.87と安定感抜群の投球を見せている。圧巻だったのは7月14日の巨人戦。阪神の左腕としては53年ぶりとなる対巨人戦2試合連続完封を達成した。

四隅を丁寧につく制球力

伊藤の特長は優れた制球力。打たせて取るテンポのいい投球が持ち味だ。対右打者のゾーン別データを見ると、外角低め(22.1%)の投球割合が最も多く、次に多いのが外角高めと内角低め(ともに14.8%)。内角高め(7.3%)も含む四隅を丁寧に突いていることがわかり、真ん中付近の配球の割合は低い。

右打者に対してはどのコースも満遍なく投げているが、左打者に対しての攻め方はまったく異なり、外角低め(29.8%)の投球割合が圧倒的に多い。同コースの被打率は.143と抑え込んでおり、左打者にとっての泣き所になっている。

動くボールを多めに織り交ぜて幻惑

配球面の特長は、カットボール(23.1%)とツーシーム(20.7%)の割合の高さ。昨季もカットボール(25.1%)とツーシーム(23.8%)の割合が高かったが、動かすボールを多めに織り交ぜていくため直球(37.1%)との見分けがつきにくく、打者を幻惑する。

直球の平均球速は140.5kmと速くないが、カットボール(130.9km)とツーシーム(134.0km)との球速差があまりない上に腕の振りも同じため、打者が直球を打ち損じているシーンが多い。直球の被打率は昨季が.198で今季が187と、球種の中で最も被打率が低いが、動くボールとのコンビネーションの賜物だ。

狙って三振を取るシーンも増えた

打たせる投球が持ち味の伊藤だが、最近の試合では狙って三振を奪うシーンも増えるなど進化を見せている。直近の完封した巨人戦では9個の三振を奪った。奪三振率は4.74と低いが、いざという時に三振が取れれば、自分自身を助けることになる。

現在、防御率は1.87。規定投球回に到達すれば、最優秀防御率のタイトルも狙える位置にいる。同僚の青柳晃洋が防御率1.38でリーグトップを走るが、チーム内にライバルがいることは互いにとっていい刺激になるだろう。前半戦で見せた驚異的な巻き返しを、後半戦でも再び見せることができるか。伊藤にかかる期待は大きい。

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