パ・リーグ首位打者争いは松本と吉田の一騎討ち?
今日29日からプロ野球の後半戦が始まる。各チームとも残り50試合前後。ペナントレースの行方とともに、個人タイトル争いの注目度も高まっていく。
パ・リーグは日本ハムの松本剛が3割5分台の高い打率をキープして首位打者争いを独走していたが、7月19日のオリックス戦で自打球を受けて左膝蓋骨下極骨折。復帰まで4週間の見通しと発表された。
現在.355の高打率だが、まだシーズン規定打席の443には109打席不足しており、復帰してからフル出場しても届かない可能性がある。規定打席に不足しても不足分を打数に加えて再計算し、規定打席到達者を上回れば首位打者となるが、現状の高打率を維持するのは難しい。
一方で、じわじわと上昇中なのがオリックスの吉田正尚だ。現在、打率.314で、パ・リーグの3割打者は松本と吉田の2人のみ。3位のソフトバンク・今宮健太が.296、4位の楽天・島内宏明が.287とかなり差が開いていることから、事実上の一騎討ちと言っても過言ではないだろう。
しかも、吉田は7月に77打数26安打、4本塁打、打率.338と調子が上向き。2020年は打率.350、2021年は.339で2年連続首位打者に輝いた実績の持ち主だけに、今後、優勝争いやタイトル争いが佳境に入ってもプレッシャーに押し潰されるようなことはないはずだ。追われるより、追う者の強みもある。
3年連続首位打者は過去6人のみ
吉田の特長として挙げられるのが三振の少なさ。佐々木朗希に完全試合を許した4月10日の試合で3三振したことが話題になったほど、バットコントロールは超一流だ。
実際、今季も24三振は規定打席到達者でリーグ最少。三振を1つとられるまでにかかる打席数を示すPA/Kも12.33でリーグ1位だ。ちなみに2位は28三振、11.93の松本。三振の少なさと打率の高さはある程度、比例することが分かる。
ただ、吉田のPA/Kは2021年が17.50、2020年が16.97だったから、今季はやや悪化している。5月には左太もも裏の軽度の筋損傷で抹消されたこともあり、万全の体調でシーズンを過ごしてきたわけではない。過去2年より低い打率になっていることと無関係ではないだろう。
それでも巧みなバットコントロールでコースに逆らわない打撃をしていることを示すデータが打球方向だ。
最も多いのが右中間で29%、次いで左中間の22%となっている。ライト方向やセンター方向の18%より、左中間の方が多いのだ。時にフルスイングで京セラドームのライトスタンドに弾丸ライナーの本塁打を突き刺すこともあるが、硬軟自在に使い分ける器用さこそが最大の武器だろう。
パ・リーグで3年連続首位打者を獲得したのは、1994年から7年連続のイチロー(オリックス)が最後。それ以前でも1981年から3年連続の落合博満(ロッテ)、1967年から4年連続の張本勲(東映)の計3人しか達成していない。セ・リーグでもアロンゾ・パウエル(中日)、王貞治(巨人)、長嶋茂雄(巨人)のみで、過去6人しかいない偉業なのだ。
独走状態の松本で決まりかと思われた首位打者争い。後半戦の見どころのひとつとなりそうだが、願わくば松本が早期復帰し、万全の状態で2人のマッチレースを見たい。
【関連記事】
・オリックス能見篤史43歳、投手としてコーチとして「変えるもの」と「変わらないもの」
・オリックス杉本裕太郎、不振に悩むラオウを救った根鈴雄次氏の助言
・両親に変身誓ったオリックス椋木蓮、ドラ1右腕が七夕に最高の贈り物