2020年に松坂大輔を獲得
戦力の補強手段のひとつに、他球団を自由契約となった選手の獲得がある。2年連続で日本一を目指しているヤクルトでは、今野龍太(前楽天/2020年加入)や坂口智隆(前オリックス/2016年加入)が戦力となりチームを支えている。他の球団でもこのような事例はあるのだろうか。昨シーズンの最下位から巻き返しを図る西武を振り返ってみたい。
西武はここ2年、他球団を自由契約となった日本人選手の獲得はないが、2020年に松坂大輔(前中日)を獲得した。松坂はレッドソックスへと移籍する前年の2006年以来、14年ぶりの古巣復帰だった。だが、故障があり手術を受けたため、移籍1年目は一軍・二軍ともに登板はなかった。
しかし移籍2年目も故障は癒えず、登板がないままシーズン半ばに現役引退を発表。10月18日に引退登板として1試合(打者1人)に登板しただけで、2年間で戦力としては機能しなかった。
松井稼頭央や工藤公康といった大物OBを獲得
西武は松坂以前にも実績のある選手を複数獲得している。2018年に獲得した前楽天の松井稼頭央は2003年以来、実に15年ぶりの復帰だった。
かつてはトリプルスリーを達成したほどのスーパースターだったが、当時は42歳(10月で43歳)と往年の輝きを見せることはできず、一軍では30試合の出場で打率.154(39打数6安打)、0本塁打、2打点、1盗塁の成績にとどまり現役を引退。翌2019年からは指導者として西武のユニフォームを着ている。
2010年には、すでに224勝を挙げ名球会入りも果たしていた工藤公康(前横浜)を獲得。1994年以来16年ぶりの古巣復帰となったものの、年齢は47歳。かつてのような輝きはなく、10試合の登板のうち4試合で失点。防御率も10.50と結果を残すことはできず同年オフに自由契約となった。現役引退後は2015年からソフトバンクの監督に就任し、2021年まで7シーズンに渡って監督を務めている。
OB以外では森本稀哲やMICHEALを獲得
2014年には前DeNAの森本稀哲、2012年には前巨人のMICHEAL(マイケル中村)と、西武のOB以外からも実績のある選手を獲得している。森本は前年にわずか4試合のみの出場だったが、移籍初年度から99試合に出場。“ゴールデングラブ賞3度の受賞歴がある外野”というだけではなく、一塁としての出場も増えた。
一塁での出場49試合は、主砲のメヒア(94試合)に次ぐチーム2位。そのなかで本塁打こそ1本もなかったが、打率.252(147打数37安打)と結果を出している。翌2015年は12試合の出場でノーヒットに終わり現役を引退した。
日本ハム時代は最多セーブを獲得し前所属の巨人でも中継ぎがメインだったMICHEALは、西武でも中継ぎとして起用され、8月までに15試合で0勝2敗、1セーブ、4ホールド、防御率3.00とまずまずの成績を残していたが、9月に入り先発に転向。2試合に登板し勝ち星をあげることはできなかった。トータル17試合の登板で0勝3敗、1セーブ、4ホールド、防御率2.86の結果だったが、この年限りで現役を引退している。
2010年以降の西武はOBで「ある」「なし」に関わらず、他球団を自由契約となった実績ある選手を複数獲得してきた。しかし、シーズンを通して戦力となったのは森本ぐらいで、それ以外の選手は加入後に結果を残すことができていない。今後、”掘り出し物”を発掘することはできるのだろうか。
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