打率、安打数ともリーグトップの松本剛
パ・リーグ最下位に低迷する日本ハムで、首位を突っ走っているのが松本剛だ。6月20日現在、61試合に出場して打率.350、79安打はいずれもリーグトップ。プロ11年目で初のタイトルへばく進している。
特筆すべきは穴の少なさだろう。ストライクゾーンを9分割したコース別打率は以下の通りとなっている。
打率3割以上を示す赤色に染まっている。なぜか、ど真ん中は打率.292と他のコースより低いが、内角ベルトラインの球は20打数9安打、内角低めは13打数6安打、真ん中高めは25打数9安打、真ん中低めは37打数13安打といずれも高打率。苦手にする打者が多い外角低めでさえ42打数13安打の打率.310と結果を残している。
苦手コースがないのは、持ち前の広角打法ゆえだろう。打球方向データでは右中間の23%が最も多く、続いてセンター方向の22%、レフト方向の21%となっている。最も少ないライト方向でも15%となっており、コースに逆らわない打撃が数字で証明されている。
帝京高出身でタイトル獲得は過去4人
こうなると期待されるのは初タイトルだ。松本は2011年ドラフト2位で帝京高から入団。2017年に115試合に出場して110安打、打率.274をマークしたものの、その他のシーズンは目立った成績を残していない。
帝京高出身でタイトルを獲得した選手は以下の通りとなっている。
帝京OBで初タイトルに輝いたのは伊東昭光。本田技研を経て1985年ドラフト1位でヤクルトに入団し、3年目の1988年に中日・小野和幸とともに18勝を挙げて最多勝。クローザーとして17セーブをマークし、規定投球回数未達ながらタイトルを獲得した。
2人目はソフトバンクの中村晃。2007年の高校生ドラフト3巡目で入団し、2014年に176安打で最多安打に輝いた。松本がタイトルを獲得すれば、帝京高出身の野手では中村以来2人目となる。
DeNAの山崎康晃は亜細亜大を経て2014年ドラフト1位で入団。2018年に2勝4敗37セーブ、2019年には3勝2敗30セーブで2年連続最多セーブに輝いた。
ヤクルトの清水昇は国学院大から2018年ドラフト1位でプロ入りし、2020年に4敗30ホールド、2021年には3勝6敗1S50ホールドとNPB最多ホールド記録を樹立する活躍で2年連続最優秀中継ぎ投手に輝いた。
6月に入って徐々に打率低下
新庄剛志ビッグボスの信頼を勝ち取った松本は1番で起用されることが多いが、3番や4番を務めることもある。初めてのタイトル争いでプレッシャーや勤続疲労もこれから増していくだろう。
実際、月間打率は3月が.375、4月が.429、5月は.359と高かったが、6月は.236と落ち込んでいる。5月1日時点で.415だった打率も徐々に下がっており、2位のソフトバンク・今宮健太が迫ってきた。
オールスターのファン投票中間発表でもパ・リーグ外野手部門で3位につけており、おそらく出場できるだろう。様々な初体験をしながら、シーズン最後まで駆け抜けることができるか。タイトル獲得となれば、近年は甲子園から遠ざかる帝京高にとっても、来年から本拠地を移すチームにとっても明るい話題となることは間違いない。
※成績は6月20日現在
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