清宮は7本塁打、万波は10本塁打
パ・リーグ最下位の日本ハムは交流戦でも浮上のきっかけをつかめず低迷している。それでも若い芽が少しずつ成長していることは確かだ。
首位打者を突き進む28歳・松本剛、4番を任されることも多い21歳・野村佑希、元気印の25歳・今川優馬、ルーキーながらクローザーを務める22歳・北山亘基ら次々に若手が台頭。中でもまだまだ粗削りながらキラリと光る魅力を持つのが23歳・清宮幸太郎と22歳・万波中正だ。
2人に共通するのは、何と言っても長打力。広い札幌ドームをものともせず、清宮が7本塁打、万波はチームトップの10本塁打を放っている。来年から北広島市に建設中の新球場に本拠地を移すチームにおいて、2人とも新生ファイターズの目玉となり得る選手だろう。
ヤクルト村上宗隆に水をあけられた清宮
ラグビー界で名監督として名高い清宮克幸氏を父に持ち、リトルリーグ世界選手権で優勝した実績などから高校入学前にはすでに有名だった清宮。早稲田実進学後、甲子園には2度しか出場できなかったが、史上最多の高校通算111本塁打をマークした。早実が出場する日は常に満員。高校野球人気を上昇させた一人で、今以上に動員力があったと言えるだろう。
2017年ドラフトでは7球団競合の末に日本ハム入団。しかし、プロ入り後は1年目から3年連続7本塁打どまりで、昨年は一軍出場なしに終わった。2年目に大ブレイクを果たした同期のヤクルト村上宗隆(九州学院高)や4番を務めることもあったロッテ安田尚憲(履正社高)に水をあけられる格好となっていた。
昨年就任した新庄剛志ビッグボスに秋季キャンプで「もうちょっと痩せない?」と声をかけられ、オフにダイエットを敢行。明らかにスリムになった体でキレを取り戻した。真芯で捉えた打球はピンポン球のように飛んでいく。スラッガー特有の美しい放物線は、清宮の素質を雄弁に物語っているだろう。
万波のAB/HRは15.8
万波は横浜高から入団4年目。コンゴ人の父と日本人の母との間に生まれ、通算40本塁打を放った高校時代から身体能力を高く評価されていた。
2018年ドラフト4位で入団後はなかなか芽が出ず、二軍で下積み生活を送ったが、3年目の2021年の交流戦でDeNA今永昇太からプロ初本塁打を放つなど一軍で5本塁打をマーク。新庄ビッグボスに見出された今季は、開幕から一軍で活躍し、ポテンシャルの高さを発揮している。
本塁打を1本打つまでにかかる打席数を示すAB/HRは清宮が20.0、万波が15.8と高い。打数が違うとはいえ、ソフトバンクの柳田悠岐で22.9、楽天の浅村栄斗で23.8だから、2人のパワーはすでに一流打者に引けを取らないのだ。
2人の今後の課題
ただ、2人とも粗さが目立つことは否定できない。清宮は162打席で47三振、万波は161打席で55三振を喫している。三振を1つ記録するまでにかかる打席数を示すPA/Kは清宮が3.45、万波が2.93。最も三振の少ないオリックス吉田正尚は17.56、首位打者のチームメイト松本剛は12.06だから、2人がいかに三振が多いか分かるだろう。
そして、2人とも穴が多い。ストライクゾーンを9分割した清宮のゾーン別成績は下のようになっている。
打率3割以上を示す赤色は真ん中低めと外角ベルトラインの2コースのみ。5コースは打率2割未満の青色に染まっている。低めのボールをすくい上げて右翼席に放り込むことが多いが、苦手を克服しないと相手投手に攻められるのは明白だ。
万波のゾーン別成績も下のようになっている。
清宮ほど多くはないが、3コースは打率2割未満の青色に染まっている。打率3割以上はど真ん中のみだ。清宮同様に苦手コースを減らして全体的に確率を底上げる必要がある。
振り返ればヤクルトの村上も36本塁打でブレイクした2019年は、シーズンワースト4位の184三振を記録した。失敗を恐れずにバットを振る経験は何物にも代えがたい。今季の経験は間違いなく今後に活きるだろう。2人の成長を長い目で見守りたい。
※成績は6月8日現在
【関連記事】
・日本ハムの通算本塁打ランキング、張本勲、中田翔、小笠原道大ら個性派ズラリ
・日本ハム今川優馬「新庄イズム」受け継ぐスター候補が赤丸急上昇
・ドラフト下位指名から逆襲した選手たち、日本ハム今川優馬、北山亘基らが活躍