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オリックス・増井、ヤクルト・内川、嶋ら活躍が期待される今季一軍未出場のベテランたち

2022 6/8 11:00広尾晃
ヤクルトの内川聖一と嶋基宏/オリックスの増井浩俊,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

内川、嶋、坂口の3人が未出場のヤクルト

選手寿命が平均“7年強”と言われているプロ野球では、高卒で20代後半、大卒で30歳前後になると引退する選手が多くなってくる。それだけに、30代半ばを超えると1年1年が勝負どころとなる。

今年度35歳になる1987年度以前に生まれたベテラン選手のなかで、6月6日の時点でまだ一軍の試合に出場できていない選手は野手が4人、投手が4人の計8人いる。野手は以下の4人だ。

今季一軍未出場のベテラン野手,ⒸSPAIA


野手4人中3人はヤクルトで1人は広島と、全員がセ・リーグだ。また、ヤクルトの3選手はパ・リーグから移籍経験がある。

現役最多2182安打の内川聖一は、横浜時代の2008年に右打者最高打率の.378を記録し、首位打者を獲得。2011年にも移籍したソフトバンクで2回目の首位打者を獲得している。セ・パ両リーグでの首位打者は江藤慎一(中日、ロッテ)以来という強打者だが、2021年にヤクルトに移籍してからは代打での出場が中心。二軍では84打数28安打1本塁打20打点、打率.333と健在だが、若手が台頭するヤクルトだけに出場機会がない。

坂口智隆は近鉄での出場歴がある最後の現役選手だ。2005年にオリックスへ移籍してからはリードオフマンとして活躍し、2016年にヤクルトに移籍してからもしぶとい打撃で存在感がある打者だった。しかし昨年春に自打球を足に当てて登録抹消、9月にも左手に死球を受け再び登録抹消されるなど怪我が続いたことで、若手にポジションを奪われた。二軍では104打数25安打2本塁打11打点、打率.240だが、出場機会がない。

楽天の正捕手だった嶋基宏は、東日本大震災時には選手会長として「見せましょう、野球の底力を」と力強いメッセージを発信し、全国を感動させた。ベストナイン2回、ゴールデングラブ2回を獲得。2020年にヤクルトに移籍してからは控え捕手にまわり、今年からはコーチ兼任となった。それが影響してか、二軍での出場も2試合だけ。しかし、若手捕手の内山壮真の成長は嶋兼任コーチの貢献が大きいとされる。6月3日に出場選手登録されたが、まだ出場機会はない。

白濱裕太は2020年に2試合に出場したのを最後に一軍出場なし。守備は堅実で、捕手が故障した際にサポートするサブ的な存在として選手登録されている。現オリックス監督の中嶋聡の現役時代と似たポジションと言えようか。

投手ではオリックスが能見ら3人未登板

投手は4人中、オリックスの選手が3人だ。

今季一軍未出場のベテラン投手,ⒸSPAIA


能見篤史は阪神の左腕エース、救援投手として16シーズンにわたって活躍。阪神で通算104勝を挙げたが2020年オフに戦力外となり、オリックスに移籍した。昨年は貴重な左腕の中継ぎとして2セーブ、5ホールドを挙げるとともに選手兼任コーチとして若手投手を指導。さらに中嶋聡監督からブルペンも任され、オリックスのリーグ優勝に貢献した。今季はファームでの登板も2試合にとどまっている。コーチとしての任務が主になっている印象だ。

増井浩俊は、日本ハムのセットアッパーとして最優秀中継ぎ投手を1回獲得している。2018年にオリックスにFA移籍後はクローザーとして活躍。2020年からは先発登板が多くなった。使い勝手の良いベテランだが、今季はまだ出場がない。2軍では8試合1勝1敗、防御率5.50の成績だが、6月7日からのヤクルト3連戦で先発する可能性が報道されている。もし、ヤクルト戦で勝てば史上初の「12球団から勝利、セーブ、ホールド」を達成することになるだけに注目だ。

チェン・ウェインは台湾出身の左腕投手だ。中日で36勝を挙げたのち2012年にMLBに移籍し、オリオールズとマーリンズで先発投手として8年間に59勝を挙げた。2020年にロッテ、2021年には阪神へ移籍するも、NPB復帰後は1勝のみ。今季はファームで5試合0勝1敗、防御率4.58。現在は左肩の故障を訴え、リハビリが続いている。

海田智行は2012年からオリックスで中継ぎとして投げ続けている左腕。2019年には55試合に登板し、22ホールドを挙げたものの、2020年からオリックスの救援投手陣の充実とともに出場機会が減っている。ファームでは17試合1セーブ、防御率1.72と活躍しているだけに、近々登板機会が巡ってくるだろう。

ベテラン選手の現在地は様々だが、次の一軍出場時が“現役続行に向け、勝負のとき”になることは間違いないだろう。

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