「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ロッテ佐々木朗希が山本由伸をもぶっちぎる12球団断トツのデータ

2022 4/22 06:00SPAIA編集部
千葉ロッテマリーンズ,佐々木朗希,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

被打率もWHIPも12球団トップの佐々木

人の評価やイメージは実績の積み重ねによって定着するもので、一定の時間が必要だ。いくらインパクトが強くても色眼鏡で見られたり、年齢や経験の浅さによる先入観のために正当に評価されないこともある。

そういう意味では「令和の怪物」ロッテの佐々木朗希がプロ野球界での評価を不動にするのは、もう少し先だろう。何しろ、1年間を通して先発ローテーションで投げた経験もない、弱冠二十歳の若者だ。完全試合に続く8回パーフェクト投球を見せても、次回登板で打たれれば「若さが出た」「スタミナ不足」という声が挙がるに違いない。

しかし、データは雄弁に佐々木の高い能力を物語っている。勝利数(2勝0敗)や防御率(1.16)だけでは分からないポテンシャルを証明するのが下の表だ。

12球団投手成績の項目別ベスト5


2022年4月20日現在、規定投球回数に到達している投手は12球団合計で33人。その中で佐々木の数値がずば抜けている項目は少なくない。

被打率.071は完全試合を達成したことから、ある程度想像がつくとはいえ、2位のロメロ(ロッテ)が.125、3位の岸孝之(楽天)が.159、4位の千賀滉大(ソフトバンク)が.160ということから考えるとやはり驚異的だ。2021年に12球団トップだった山本由伸(オリックス)で.182だから、とんでもない数字であることが分かる。

1イニングあたりに何人の出塁を許したかを表す指標「WHIP」は0.29で12球団1位。これも2位のロメロが0.60、3位の上茶谷大河(DeNA)が0.61だからずば抜けている。

K/BBは2位の2.5倍の数値

奪三振に関する数値はもっと凄まじい。佐々木は56三振を奪っており、2位で昨季の投手4冠・山本由伸の33奪三振を大きく上回る。念のため断っておくが登板数は同じ4試合だ。

奪三振と与四球の比率を表す「K/BB」は驚異の28.00。2位・加藤貴之(日本ハム)の11.50の約2.5倍の数値だ。いかに無駄なボールがなく、若いカウントで三振を奪っているかが証明されている。ちなみに昨年トップの山本由伸は5.15。佐々木も登板数が増えれば下がっていくだろうが、どのレベルまで維持できるか秋が楽しみだ。

K/9(奪三振率)は16.26で2位・山本由伸の9.90を凌駕している。3位・上沢直之(日本ハム)が9.72、4位千賀滉大が9.62と続いており、球界を代表する本格派右腕の倍近い三振を1試合で奪っている計算だ。

さらに対戦打者に占める奪三振の割合を示す「K%」は実に55.4%。これも2位・千賀滉大の28.4%、3位・山本由伸の28.0%の倍近い。「異次元」という言葉がピッタリの成績だ。

山本由伸が最優秀防御率のタイトルを獲得したのが2019年。昨年、投手4冠に輝き、今では「球界最高の投手」と評されるようになったが、それまでに3年を要した。佐々木も世間的に誰もが認めるまでには、もう少し時間がかかるだろう。

ただ、もしかしたら我々はすでに球界最高の投手を見ているのかも知れない。大谷翔平でもなく、ダルビッシュ有でもなく、山本由伸でもなく、日本が世界に誇る大投手のサクセスストーリーのプロローグを見逃してはならない。

【関連記事】
プロ野球の1試合、1シーズン歴代最多奪三振記録、佐々木朗希は江夏豊に迫る?
佐々木朗希が完全試合で見せた”4球以内奪三振数”と終盤のトップギア ロッテの育成が結実
巨人・槙原寛己の完全試合はなかった?FA宣言と中2日がもたらした奇跡