「ペナントレース」いよいよ開幕
いよいよ2022年のプロ野球が開幕する。昨季はセ・パ両リーグともに前年度最下位チームが優勝し、大方の予想を覆した。今季も混戦が予想され、ペナントレースは大いに盛り上がりそうだ。
さて、そもそもプロ野球のリーグ戦が「ペナントレース」と呼ばれるのは、優勝チームにペナントが授与されるから。ペナントそのものにスポットが当たることはあまりないが、優勝チームの選手たちがペナントを手に球場内を一周し、ファンの声援に応えるシーンを見たことがあるファンも多いだろう。
努力と苦労を重ねて勝ち取ったペナントは、球場に展示されたり、阪神のように甲子園歴史館に展示されるなど、球団の栄光の歴史を彩る証としてファンを楽しませている。では、2004年にオリックスと合併して消滅した近鉄のペナントはどこにあるのだろうか。
ペナントや優勝カップなどは資料室に保管
近鉄グループホールディングス株式会社の広報によると、2001年当時の優勝ペナントは大阪市内にある資料室に保管されている。西本幸雄監督時代にリーグ連覇した1979年、80年の優勝カップなども同所にあるという。
近鉄球団で編成部長や球団代表などを務めた足高圭亮氏(69)に2001年当時の思い出を聞いた。
「あの年は優勝できるという手応えまではなかったけど、チームがひとつになっていた。梨田(昌孝)監督や真弓(明信)、小林(繁)コーチらがいて、ノリやローズもいた。あとは優勝するだけやなと思っていた」
中村紀洋、タフィ・ローズ、礒部公一、吉岡雄二、大村直之らを擁した「いてまえ打線」の爆発で開幕ダッシュに成功した近鉄は、ダイエー、西武、オリックスと混戦のままシーズン終盤に突入。迎えた9月26日のオリックス戦、この年に阪神から移籍した北川博敏が9回裏に代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打という史上初の離れ業を演じ、劇的な優勝を飾った。
「あの試合はネット裏で見ていて、ここで打ったら偉業やなと話していたら本当にそうなった」と懐かしそうに振り返る。同時に「日本一になれなかったのが悔しかったけど」と12球団で唯一、日本シリーズで優勝できなかった無念を口にした。
球界に残る猛牛軍団の息吹
昨年、オリックスが近鉄と合併後初のリーグ優勝を果たした。オリックスとしては25年ぶりだったが、バファローズとしては20年ぶりだ。近鉄球団は消滅したが、猛牛軍団の息吹は今も球界に残る。
「今でもコーチやスカウトとして球界で活躍してる人もいるし、唯一の現役となった坂口にも頑張ってほしいね」と足高氏。2002年ドラフト1位で近鉄に入団したヤクルトの坂口智隆は、近鉄のユニフォームを着た唯一の現役選手だ。37歳となったベテランは、かつて近鉄に関わった関係者やファンの思いも背負っているのだ。
「近鉄ファンは本当に近鉄が好きで、ありがたかったね。最近は野球人口が減っているし、心配になる。優勝ペナントなど球団の財産を展示するとか、受け継いでいってほしいね」
球団の輝かしい過去が忘れられていくとしたら確かに寂しい話ではあるが、それもプロ野球の長い歴史と繁栄があるからだ。今年は一体どんなドラマが待っているのだろうか。ペナントレース、そしてペナントそのものの行方にも注目したい。
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