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オープン戦首位打者のロッテ・髙部瑛斗がリードオフマンに適している理由

2022 3/23 06:00浜田哲男
千葉ロッテマリーンズの髙部瑛斗,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

オープン戦で首位打者と盗塁王の2冠

3月21日でオープン戦は全ての日程を終了し、ロッテの髙部瑛斗は打率.393でオープン戦の首位打者、さらには5盗塁で盗塁王にも輝いた。コンスタントに安打を重ね、快足を活かして貪欲に次の塁を狙い続けた結果、12球団トップの10得点もマーク。ヒットメーカーとしてのポテンシャルは常々期待されていたが、このオープン戦は期待以上の活躍だったのではないだろうか。

昨季まで不動のリードオフマンとしてチームを牽引した荻野貴司は調整が遅れているが、髙部の台頭により、ただでさえ熾烈な外野手の争いがますます熾烈に。藤原恭大や岡大海らにとっても刺激になっているだろうし、実際に3月21日の中日戦では、岡が3安打、藤原は満塁本塁打を含む2安打を放つなど相乗効果は随所に見られる。

打って打線に勢いをつけるタイプ

髙部は積極的に打っていく打者。オープン戦では62打席に立っているが、四球は5個と少ない。四球が増えれば必然的に出塁率の向上にもつながるが、髙部の場合はバットを振ることでリズムをつかみ、打って出塁することで打線に勢いをつけるタイプでリードオフマンとしても最適だ。「打ってチームに勢いをつけたい」と常々言う荻野も、同様に積極的に打っていく打者で四球は毎年のように少ない。

ボールをじっくり見極めることも重要だが、髙部の場合は出塁率や打率にこだわるよりも安打数を意識する方が、結果として出塁率や打率もいい数字を残せそうだ。シーズンに入れば相手バッテリーの攻め方も変わるだろうし、オープン戦とはいえこれだけ目立つ成績を残したのだからマークもされる。さまざまな壁に当たるだろうが、積極性という“らしさ”を見失わないことが重要だ。

攻撃のバリエーションをキープできる

昨季、ロッテはチーム打率がリーグ4位(.239)、本塁打はリーグ3位(126本)でありながら、リーグトップの584得点をマーク。盗塁(107個)、犠打(106)はともにリーグトップで、足と小技、四球(リーグ2位の514個)を絡めた相手にとっていやらしい攻めが特に前半戦は機能した。

荻野を欠いても髙部が打線にいることで、一つ先の塁を貪欲に狙っていく戦い方を変えずにすむ。レオネス・マーティンやブランドン・レアードの長打力、荻野や藤原、岡、和田康士朗らの足も含め、攻撃のバリエーションをキープできる。また、髙部はオープン戦で62打席に立って、三振はわずか2個。三振が少ない上、器用に広角に打てるので、作戦を出しやすいという長所もある。

昨季リーグトップの犠飛(8個)をマークするなどケースバッティングに長け、犠打もでき、足も使える中村奨吾が3番に入っていることも打線に柔軟性をもたせている。1番・髙部、2番・マーティン、3番・中村、4番・レアードと続く上位打線がどう機能するのか注目だ。

“荻野頼み”からの脱却を

ロッテ打線は荻野への依存度が高く、荻野が離脱するとチームの順位が1つ2つ変わるほどの影響力をもつ。しかし、荻野も今年で37歳。昨季も年齢を感じさせない動きを攻守で見せていたが、“荻野頼み”からの脱却は積年の課題でもある。

2年連続リーグ2位と悔しい結果に終わったロッテだが、荻野以外のリードオフマンの確立が荻野の攻守での負担を減らすことになり、リーグ優勝の実現へ向けた起爆剤になることは間違いない。ファームでは常々好結果を残していた髙部がオープン戦でこれ以上にない結果を出し、シーズンに入って果たしてどうなるか。ブレイクが期待される新たな安打製造機が、ロッテが優勝を目指す上でのキーマンになりそうだ。

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