オープン戦3試合で防御率0.82
巨人の赤星優志投手(22)の評判がすこぶるいい。オープン戦3試合に登板し、計11回で被安打10、奪三振8、1失点、防御率0.82をマーク(3月16日現在)。開幕ローテーション入りが有力視されている。
赤星は東京都世田谷区出身で、日大鶴ヶ丘高3年夏は西東京大会4回戦で駒大高に敗退。甲子園出場は果たせなかったが、プロ志望届を提出し、3球団の入団テストを受験した。そのうち1球団に合格したもののドラフトでは指名されなかったという。早稲田実・清宮幸太郎(現日本ハム)、履正社高・安田尚憲(現ロッテ)、九州学院高・村上宗隆(現ヤクルト)、広陵高・中村奨成(広島)が「BIG4」と呼ばれていた世代だ。
日大に進学した赤星は1年からベンチ入り。4年春の東都2部リーグでは3勝を挙げ、最高殊勲選手、最優秀投手、最優秀防御率の三冠に輝くなど一部昇格に大きく貢献した。
昨秋ドラフト3位で4年越しのプロ入りの夢を実現。バランスの取れた力みのないフォームから投げ込むストレートは最速152キロを計測し、カットボール、カーブ、フォーク、ツーシームなどをコーナーに投げ分ける制球力は抜群だ。
日大出身の宮田征典は「8時半の男」
巨人で活躍した日大出身投手と言えば、宮田征典と門奈哲寛が思い起こされる。大学通算24勝をマークした宮田は1965年に20勝を挙げるなど通算45勝。リリーフで登板する時刻から「8時半の男」と呼ばれた。
門奈は大学通算14勝をマークし、1992年ドラフト2位で巨人入りした左腕。1年目に33試合に登板して1勝を挙げたものの、プロでの白星はこれが最初で最後だった。通算44試合、1勝3敗の成績が残っている。
現役では8年目を迎える左腕・戸根千明も日大出身。巨人以外を見渡すと、通算165勝をマークし、引退後はコーチとして多くの投手を育て上げた佐藤義則、1991年ドラフト1位で中日入りし、現在は一軍ヘッド兼投手コーチを務める落合英二、日大卒業後に東芝を経てロッテ入りし、通算105勝を挙げた清水直行、ヤクルトで通算85勝を挙げた館山昌平ら名投手を輩出している。
「元祖赤星」は5年連続盗塁王
赤星がつける背番号31は阪神・掛布雅之のイメージがいまだ色濃く残っているが、実は巨人でも由緒ある番号だ。かつては三原修監督が背負っていた時代もあり、1984年からは池田高時代に甲子園夏春連覇し、通算39勝を挙げた水野雄仁現スカウト部長が背負った。その後も通算28勝の三沢興一現二軍投手コーチが受け継ぎ、2019年から2年間は畠世周が背負った(2021年は松原聖弥)。
そして何より、赤星という名前は阪神で5年連続盗塁王に輝くなど通算381盗塁をマークし、「レッドスター」と呼ばれた赤星憲広のイメージが強い。「赤星」と聞いて巨人の投手を思い浮かべるファンはまだまだ少数派だろう。
プロ野球の長い歴史で定着してきた「日大出身」「背番号31」「赤星」のイメージ。赤星優志には自らの右腕でそれらを塗り替えていくような活躍が期待される。
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