日大三高から入団5年目の23歳
「隠れ首位打者」だった広島の坂倉将吾が7日の中日戦で規定打席に達し、正真正銘のセ・リーグ打率トップに躍り出た。
8月25日の巨人戦から12試合連続安打を継続しており、9月の月間打率は6割。7日現在で打率.332をマークしており、オースティン、桑原将志、佐野恵太、宮﨑敏郎らDeNA勢やチームメートの鈴木誠也を従えて堂々の1位に立った。
今や主砲・鈴木の次を打つ5番として欠かせない戦力。日大三高からドラフト4位で入団して5年目の23歳が、捕手として史上5人目の首位打者に輝く可能性も十分だ。
元々、打撃センスへの評価は高かったが、會澤翼がいたこともあってレギュラー奪取には至っていなかった。昨季は81試合に出場して打率.287と足掛かりをつかみ、今季は開幕2戦目に捕手としてスタメン出場。以降は會澤と併用されながら、ファーストでも起用されてきた。
歴代正捕手で打率2割5分以上は會澤翼のみ
広島に限った話ではないが、「打てる捕手」はどの球団にとっても喉から手が出るほど欲しい存在だ。投手のリードなど守備面で負担が大きいこともあって、下位打線の8番に収まる選手は多い。広島が初優勝した1975年以降、マスクをかぶってきた主な捕手の打撃成績が以下の表だ。
1970年代の扇の要を担ったのが水沼四郎。地元・広島商で甲子園優勝し、東洋大を経て入団した達川光男は1980年代のカープを支えた。
南海からトレードで移籍した西山秀二は1990年代に活躍。法政大からドラフト1位で入団した瀬戸輝信や現一軍バッテリーコーチの倉義和らが投手陣をリードし、通算1620試合に出場した石原慶幸は昨年引退した。
過去を振り返っても通算打率が2割5分を上回っているのは會澤翼のみ。坂倉は待望の「打てる捕手」として期待がかかるのだ。
野村克也、古田敦也、阿部慎之助、森友哉が首位打者
長いプロ野球の歴史上でも首位打者に輝いた捕手は4人しかいない。
捕手として初めて首位打者のタイトルを獲得したのは1965年の南海・野村克也。この年は打率.320、42本塁打、110打点で三冠王に輝いた。
1991年にはヤクルト・古田敦也が打率.340でタイトル獲得。2012年には巨人・阿部慎之助が打率.340、104打点で二冠王に輝いた。
2019年に西武・森友哉が打率.329をマークしたのは記憶に新しい。現役の森以外は全員、名球会入りした球史に残る大打者だ。
坂倉は打力を活かすためにファーストで起用される機会も増えるかも知れないが、やはり次代を担う「打てる捕手」としての大成が期待される。會澤はもちろん、広陵高時代に夏の甲子園で6本塁打を放った中村奨成や、天理大から入団2年目の石原貴規ら若手捕手との競争を制してレギュラーを奪えるか。まずは今季の残り試合に注目だ。
※成績は9月7日現在
【関連記事】
・セに多い右打ちの首位打者、パは9年連続左打者も左投左打は希少価値
・未来の主砲候補、広島・林晃汰は低迷カープの希望の星となるか?
・広島・菊池涼介は史上2人目の300犠打・100本塁打目前!OPSも高水準