母国の銅メダル獲得に貢献
13日の試合終了時点で、首位阪神と1ゲーム差のリーグ2位につけている巨人。エースの管野智之の状態は気がかりだが、C.C.メルセデス、戸郷翔征、高橋優貴、山口俊ら先発ローテーションは充実している。中でも、東京五輪にドミニカ共和国のエースとして出場し、銅メダル獲得に大きく貢献したメルセデスには、より一層の活躍が期待される。
五輪の1次リーグ初戦・日本戦に先発すると、7回途中3安打1失点7奪三振の好投。低めを丁寧につく投球で強力な日本打線を封じ込めた。時折チェンジアップを投じるものの、基本は右打者にも左打者にも直球とスライダーの2種のみ。直球を左右高低に適度に散らし、変化の大きいスライダーとのコンビネーションで的を絞らせなかった。
乱打戦となった韓国との3位決定戦では、5番手でマウンドへ。勢いづいていた韓国打線を相手に3回1/3を無失点に抑え、勝利を手繰り寄せた。元来丁寧な投球が持ち味だが、プレッシャーのかかる五輪のマウンドでもそれを実践し、日本野球で積み重ねてきた経験と技術が確かなものであることを証明した。
外角及び低めへの投球を徹底
今季の球種別の投球割合を見ると、直球(61.2%)が最も多く、次にスライダー(19.4%)、チェンジアップ(10.6%)、カーブ(8.3%)、ツーシーム(0.5%)と続く。昨季と比べると、スライダー(昨季12.3%)の割合が増えているが、被打率は.290(昨季.281)と決して良くはない。直球の被打率にいたっては、昨季の.232から今季は.269と悪化している。
それでも、ここまで6試合に先発し、防御率2.31をマーク。五輪で見せたようなコースを間違わない丁寧な投球が功を奏していると言える。配球の割合を示すゾーン別データを見ると、対左打者では外角低め(29.6%)への配球がダントツで、次に外角中程(14.8%)、内角低め(14.3%)と続き、外角及び低めへの投球を徹底していることがうかがえる。
その傾向は右打者でも同様。やはり外角低め(23.4%)が最多で、次に内角低め(22.3%)、真ん中低め・外角中程(12.7%)と続いており、真ん中や真ん中高めなどの甘いコースにはほとんど投じていない。
日頃から対戦しているとはいえ、日本打線はわかっていたはずのメルセデスの投球に苦しめられた。しかし、違う言い方をすれば、コーナーを丁寧につけばそうそう打たれることはない、ということを証明したとも言える。東京五輪で日本を最も追い詰めた投手は、間違いなくメルセデスだった。
ローテーションの柱として期待
今季はここまで6試合に登板し、5勝1敗、防御率2.31と抜群の安定感を誇り、与えた四球もわずか7個。東京五輪で得た経験は自信になっただろう。コンディションさえ維持できれば、後半戦もローテーションの柱としての活躍が期待できる。
2回6失点で降板した6月18日の阪神戦以降は、先発としてしっかりと試合を作り3連勝中。特に7月10日の阪神戦では7回2/3を投げて1失点と好投し、早々にリベンジを果たした。東京五輪でつけた勢いをシーズン後半戦につなげられるか注目したい。
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