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レギュラーと実力は紙一重?現役の「二軍の大打者」通算安打数ランキング

2021 8/15 06:00広尾晃
横浜DeNAベイスターズの中井大介,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

現役1位は通算730安打のDeNA中井大介

日本のプロ野球は一軍、二軍(イースタン・リーグ、ウェスタン・リーグ)の公式戦を行っている。一軍は現在143試合制、二軍は球団によって異なるが130試合以上が組まれており、公式戦の記録も集計され、個人成績も発表される。一軍と同様、各部門のタイトルホルダーは連盟から表彰される。

しかし、そうした数字はほとんど注目されることはない。永年プレーしているうちには「二軍の大打者」とでも言うべき実績を残した選手もいるが、評価されることはあまりない。 では、現役ではどんな野手が二軍実績を積んでいるのだろうか?

現役選手 二軍通算安打数ランキング,ⒸSPAIA


1位は中井大介。宇治山田商から2007年高校生ドラフト3巡目で巨人入りした右打者で、2019年からDeNAでプレーしている。二軍で通算730安打を記録しているが、一軍では通算227安打、16本塁打と二軍の実績の方がはるかに高い。

2位は日本ハムの外野手、大田泰示で二軍通算638安打。2008年ドラフト1位で入団した巨人では芽が出ず、日本ハムにトレードされてから主力選手となった。

3位は2011年ドラフト3位で日本ハム入りした石川慎吾で610安打。2016年オフ、上記の大田泰示、公文克彦とのトレードで吉川光夫とともに日本ハムから巨人に移籍した。一軍では136安打、14本塁打を記録している。

4位は今年6月に加藤匠馬とのトレードで、ロッテから中日に移籍した加藤翔平。通算打率は.321、規定打席未達の年も含めて二軍では9シーズンで3割を7回記録しており、最高打率は2018年の.377。一軍通算では313安打、15本塁打、打率.243となっている。

5位は550安打の中日・山下斐紹。強打の捕手として2010年ドラフト1位でソフトバンクに入団したが、同期で育成6位の甲斐拓也の台頭に伴い、2017年オフ、楽天にトレード移籍した。しかし2020年に戦力外となり、2021年から中日と育成契約、シーズンに入って支配下登録された。

こうしてみると、二軍で実績を残している選手は、もともと期待が高かった選手であることが分かる。明らかに実力が落ちる選手には、二軍でも試合出場の機会はあまり回ってこない。そして数年で戦力外になる。

期待が高い選手はいつか一軍の正選手になるのではと、二軍であっても出場機会を与えられているのだ。トレードされる選手が多いのも、環境を変えることで芽が出るかもしれないという期待感からだろう。ただ、多くの選手は期待に応えられていないのが現実だ。

広島・白濱裕太は17年連続で二軍戦出場

それとは別の事情で、捕手も二軍の成績がかさむ傾向がある。捕手は他の守備位置の選手が簡単に守ることができない特殊なポジション。一軍では2、3人がベンチ入りするが、怪我やアクシデントに備えて二軍の捕手にも常時出場機会を与え、万が一に備える必要がある。

広島の白濱裕太は地元・広陵高から2003年ドラフト1巡目で入団したが、2005年から今年まで17シーズン連続で二軍戦に出場。通算663試合に出場し205安打、4本塁打、打率.194を記録している。一軍では2011年に初めて出場し、以後、86試合出場で23安打、1本塁打、打率.158だが、リザーブ捕手として見えない貢献をしていると言える。

一軍で活躍する選手は、二軍は短期間で卒業することが多い。東京五輪で金メダルに輝いた侍ジャパンで最年少だったヤクルト・村上宗隆は、2017年ドラフト1位で入団。翌年はイースタン・リーグで98試合に出場、17本塁打、70打点、打率.288の好成績を残して1年で二軍を卒業し、2019年に新人王を受賞した。

明暗分かれた大田泰示と中川大志

筆者は2019年まで2人の打者の二軍成績に注目していた。現日本ハムの大田泰示と、元楽天の中川大志だ。

2人とも高卒で大田は2008年巨人ドラフト1位、中川は同年の楽天ドラフト2位。また、ポジション(大田は外野、中川は内野)は違うが、ともに185cm以上、90kg以上の大柄な右の強打者であり、生年月日も中川が1990年6月8日で、大田が1990年6月9日と1日違い。その上、名前も同じ「たいし」なのだ。

2013年台湾でのアジアシリーズでは4番一塁に抜擢された中川に、当時監督だった星野仙一は「4番らしい仕事をしろ」と発破をかけた。一方の大田も2014年9月に初めて一軍の4番に座り、本塁打も打った。2人とも将来の主軸打者として期待が高かったため、早くから一軍出場の機会も与えられたが、なかなかチャンスをつかむことができず一軍に定着できなかった。

2016年11月に大田泰示は日本ハムにトレードで移籍、中川大志は2017年オフに戦力外通告を受けた後、DeNAに入団。ともに新天地で再スタートを切ることとなった。大田は日本ハムで主軸打者として活躍し、2020年にはゴールデングラブ賞を受賞したが、中川は結果が出ず、2019年オフに自由契約となった。

素質的には2人に大きな差はなかったと思う。しかし、巡り合わせや運などの要素もあって、成績には大きな差が出てしまった。大田は再出になるが、2人の一、二軍の成績を比べてみよう。

大田泰示
二軍 614試2394打638安94本354点88盗 率.266
一軍 753試2423打636安75本307点28盗 率.262

中川大志
二軍 831試2793打776安81本457点40盗 率.278
一軍 168試387打79安9本52点2盗 率.204

二軍成績はほぼ互角だが、一軍では大きな差がついた。ここから推察されるのは、二軍の大選手たちと一軍で活躍する選手の実力差は「紙一重」ではないかということだ。実力の世界であるプロ野球だが、運などそれ以外の要素も大きい。そういう観点で二軍戦を見ると、さらに味わい深くなるだろう。

※成績は2021年8月10日現在

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