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復調傾向の阪神・大山悠輔 さらなる飛躍の鍵は「中堅から逆方向」

2021 4/24 11:00浜田哲男
阪神タイガースの大山悠輔ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

本塁打をきっかけに復調傾向

4月23日試合終了時点で16勝(7敗)を挙げ、開幕ダッシュに成功した阪神。開幕から21試合連続で先発投手が5回以上を投げる安定感を見せ、注目のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明が6番に入った打線は破壊力がアップした。ここまでのチーム打率(.255)、チーム本塁打(27本)、チーム得点(103点)はいずれもリーグトップ。そんな強力打線において今季も4番に座り、打線を牽引しているのが大山悠輔だ。

開幕から4月中旬にかけて打率は2割台前半、本塁打も出ないなど調子がなかなか上向かなかった。だが、17試合目となった4月15日の広島戦で待望の今季第1号を放つと、以降は吹っ切れたのか毎試合安打を重ね、4月20日の巨人戦では1試合2本塁打を放つ活躍を見せた。

これまではフェンス手前で捕られる紙一重の打球が多かったが、そうした打球がフェンスオーバーし始めたのは良い兆し。例年固め打ちで本塁打を稼ぐイメージがあるが、そのきっかけをライバルの巨人戦で作れたことも大きい。

課題は外角球への対応

まだ打席数が少ないが、今季は対左投手の打率が.346とハイアベレージをマークしているが、対右投手の打率が.246と低い。SPAIAのゾーン別データを見ると、打てるコースと打てないコースがはっきりしており、真ん中(.400)や真ん中低め(.333)、内角低め(.364)は得意とする一方で、高めと外角は軒並み1割~2割台と苦手な傾向がある。

大山悠輔のゾーン別打撃成績


今後、打率を上げて高い位置でキープしていくためには、右投手の逃げていく球(外角球)を中堅から逆方向へ打ち返していきたいところだ。例年、打球方向は左翼が多く、今季も左翼は31%と最も多くなっている。中堅から逆方向への意識を高めて球を引きつけることで、外角球にもある程度対応できるはずだ。

大山悠輔の打球方向


20日の巨人戦でエンジェル・サンチェスの外寄りのカットボールを逆らわずに右翼席に運んだアーチは、外角球を攻略する理想の打撃だった。こうした打撃を見せられると相手バッテリーも攻めどころが難しくなる。

リーグトップの打点

現在、3番を打つジェフリー・マルテと5番を打つジェリー・サンズがともに6本塁打を放つなど、大山の前後を打つ助っ人たちが好調だ。2番の糸原健斗はリーグ2位の打率.348、7番を打つ梅野隆太郎はリーグダントツの得点圏打率.643をマークするなど、打線全体に勢いがある。そのためマークが分散し、大山も大きなプレッシャーを感じることなく打席に立つことができ、自分が決めなくては……と力んで長打を狙う必要もない。

18打点はヤクルトの村上宗隆らと並んでリーグトップ。調子が上がらない時でも、1点が欲しい場面で犠飛や内野ゴロといったチームバッティングに徹し、最低限の仕事を果たしてきた賜物だろう。大山が打点を挙げれば19連勝だった(23日DeNAに敗れ記録途切れる)のも、チームの中心である証だ。

つなぐ時はつなぎ、自分で決める時は決める。大山のバットが、今後もチーム浮沈のカギを握っていることは間違いない。

※数字は2021年4月23日試合終了時点

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