求められる若手の台頭
昨季はリーグ最下位に沈んだオリックス。山本由伸や吉田正尚といった投打で日本を代表するプレーヤーを擁しながらも、チーム全体の歯車が噛み合わなかった。若手の台頭など戦力の底上げは喫緊の課題。そうした中で、プロ入り3年目・20歳の太田椋と2年目・19歳の紅林弘太郎には大きな期待と注目が集まっている。
昨季はリーグ最下位に沈んだオリックス。山本由伸や吉田正尚といった投打で日本を代表するプレーヤーを擁しながらも、チーム全体の歯車が噛み合わなかった。若手の台頭など戦力の底上げは喫緊の課題。そうした中で、プロ入り3年目・20歳の太田椋と2年目・19歳の紅林弘太郎には大きな期待と注目が集まっている。
太田、紅林ともに非凡な才能を随所に見せている。
太田は3月10日のヤクルトとのオープン戦で猛打賞をマークした。初回に石川雅規の初球をとらえて二塁打を放つと、走者を置いた次の打席では2点適時三塁打。さらに坂本光士郎から二塁打を放つなど3本の長打を放った。2月24日の西武との練習試合でも4打数4安打。オープン戦の打率は.158と苦しんでいるが、固め打ちをできるのは強みだ。
打席では思い切りがいい。初球から迷わずに振りにいき、どんな球種でもしっかりとコンタクトできる。まだまだ荒さはあるものの、自分のタイミングで振り切れるというのも才能だ。テイクバックを大きめにとっているため懐が深く、そこからバットを出していくのでボールを強くたたける。
昨季9月20日の西武戦で放った本塁打は見事だった。見た目は軽く振ったような感じだったが、京セラドーム大阪の5階席上段にたたきこむ特大アーチ。タイミングの取り方といい、スムーズなバットの軌道といい、天性の打撃センスを感じさせる。
守備に少々不安はあるものの、長打力の面では内野を争う他のプレーヤーを凌駕しており、開幕は二塁手でスタメンというのも現実味を帯びてきている。右方向へも飛ばす力があり、太田が打線に入ることで打線は強化されるだろう。
一方の紅林も、オープン戦の打率.182(3月14日試合終了時点)と苦しんでいる。ルーキーイヤーの昨季は、2軍でチーム最多の86試合に出場。シーズン終盤には1軍デビューを果たし、プロ入り初安打を放つなど大器の片鱗を見せた。
1年目と比べ、見た目ではっきりとわかるほど体が大きくなった紅林は、今年に入ってからも躍動。2月23日のロッテとの練習試合では7番・遊撃で先発すると、走者2人を置いた場面で岩下大輝の直球を右翼席へ放り込んだ。続く打席でも中堅右に豪快な一撃、2打席連続アーチを放った。
いずれもライナー性で、中堅から右寄りへの伸びのある当たり。投手も調整段階とはいえ、パワーと技術がなければ打てない打球だった。
しかしオープン戦に入ると、徐々にコンディションを上げてきた各チームの先発候補の投手たちに苦戦。空振り三振や当てにいく打撃が目につく。特に変化球の対応に苦しんでいるようだ。
遊撃には球界屈指の守備を誇る安達了一がいる以上、そのポジションを奪うには打撃でアピールしなければならない。そのためにも一軍レベルの投手と数多く対戦し、対応力を身につけていきたいところだろう。
ポテンシャルを秘めるスター候補の太田と紅林。2人の台頭がチーム力を格段に引き上げることに疑いの余地はない。近年、吉田頼みだった打線も一気に厚みを増すだろう。宜保翔も含むU20世代のブレイクが、今後のオリックスの命運を握っている。
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