パ・リーグで規定投球回に達した左腕は田嶋大樹のみ
2020年ドラフトで最大の目玉だった早稲田大・早川隆久を獲得した楽天。近畿大のスラッガー・佐藤輝明(阪神)と分散したため指名の競合は4球団だったが、即戦力としての評価は相当高い。最速155キロを誇る左腕には、1年目から2桁勝利が期待されている。
近年、パ・リーグは先発左腕が少なく、タイトル争いにからむのは千賀滉大(ソフトバンク)、山本由伸(オリックス)、涌井秀章(楽天)ら右腕ばかり。2020年に規定投球回数に達した左腕はオリックス・田嶋大樹のみで、2019年は一人もいなかった。
逆に今季パ・リーグの打率上位は首位打者・吉田正尚(オリックス)から、2位の柳田悠岐(ソフトバンク)、3位の近藤健介(日本ハム)、4位の西川遥輝(日本ハム)らズラリと左打者が並ぶ。左対左というだけで抑えられるほど甘くないとはいえ、本格派左腕の希少価値は高いのだ。
新人で最多勝なら小川泰弘以来
本塁打王に輝いた浅村栄斗や小深田大翔、鈴木大地らが並ぶ楽天打線は、今季12球団最多の557得点をマーク。ルーキー左腕にとって、これほど心強いことはないだろう。2桁勝利どころか、最多勝のタイトルを争ったとしても驚けない。
新人で最多勝に輝いたのは、1950年の2リーグ分立以降、両リーグ合わせても9人しかいない。1990年に18勝を挙げた野茂英雄(近鉄)、1999年に16勝を挙げた松坂大輔、同年に20勝を挙げた上原浩治(巨人)らそうそうたる顔ぶれだ。
最近では2013年の小川泰弘(ヤクルト)が16勝を挙げて最多勝、最高勝率、新人王に輝いた。早川が10人目になる可能性を秘めていることは確かだろう。
岸孝之、則本昂大とともに2桁勝てば優勝も見える?
今季の楽天はシーズン半ばまで首位争いをしながら終盤で失速し、最終成績は55勝57敗8分けで4位。涌井秀章は11勝で最多勝に輝いたが、岸孝之は7勝、則本昂大は5勝どまりだった。
先発転向が失敗に終わった通算141セーブ左腕の松井裕樹は、来季からクローザーに復帰。メジャー通算25勝左腕のアダム・コンリーも獲得した。
実績のある投手が本来の実力を発揮し、早川が期待に応える活躍をすれば、相当な上積みが見込める。少なくともソフトバンクに16.5ゲーム差も離されるようなことはないだろう。
来年3月で東日本大震災から10年。石井一久GM兼監督がどんな采配をするのかも含め、例年以上に楽天が注目を集めることになりそうだ。
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